第六十七話 扉の向こう
長い長い廊下を進むと重厚な扉が現れた。
扉の横には、数字を入力する装置があり、八ケタの数字を入力してくださいと書いてあった。
「八ケタか……」
とりあえず、20181224と入力してみたが、赤字でエラーと表示された。
「そんなに都合よくないか……面倒だな」
「主。これはなんですか?」
「これ? まぁ簡単に言うと、こっちの板で正しい順番で数字を打つと扉が開くっていう仕組みの扉だよ。ためしにボクの生年月日を入力してみたけれど、ダメっぽいな」
そう簡単に言ってたまるものかということだ。
もしかしたら、石碑にヒントがあるのかもしれないと思い返してみるが、数字が混じっていたような記憶はなかった。
「主。23456720はどうですか?」
「どうし……まぁ入力してみるか」
アリスの言う通りに入力しても結局、画面には赤字でエラーと表示され、今度は左にご丁寧にあと5回とまで書かれてしまった。
「さて、どうしたものか……」
とりあえず、思いつく数字を次々と入れていく。
マアサの生年月日、アンナの誕生日、王国が成立した日……どれもはずれだ。
「どうする……面倒なパスワードを設定してくれたな」
「そうですね……それじゃ、伝承上で妖精の村が成立した年なんかはどうでしょうか?」
「そうだな。とりあえずやってみるか」
アリスの言う通り、数字を入れるが結局、エラーと出ているままで数字は1回となってしまった。
「考えろ……どうすれば……」
「主。主が一番大切だと思う者に関する数字を入れてみたらどうですか?」
「大事なもの……」
いや、アリスは深く考えるなと言っているのだろう。
「そうだな……考えてもわからないものは分からないか……」
20210831……八ケタの数字を入力したが、なぜか反応がなかった。
「どうしたんだ?」
もしかして、間違っていて、もう反応しないのではないかと思ったその時である。
重厚な扉が巨大な機械音を立ててゆっくりと開き始めた。
「正解なのか?」
「良かったですね。ところで今の数字はなんだったんですか?」
「まぁ……ちょっとな」
単なる偶然だろうか?
数字のことを少し不審に思いつつも誠哉は、扉の奥へと足を踏み出した。
アリスが通った直後、扉は再び大きな音を立て閉じていき、真っ暗だった部屋の明かりがパタンという音とおもに点灯した。
「こらまた現代的な……」
「また、同じような場所ですね。ってひゃっ!」
アリスが触れた場所にブオンという独特の音を立てて青色の半透明のパネルが出てきた。
アリスは、驚いて誠哉のローブの中に入ってしまっている。
「あぁなるほどね……さっきのやつ、結構前時代的だったから、この施設古いかと思ってたんだけどそうでもないのか……」
青色の操作パネルに近づいてためしに「MAP」と書かれたボタンを押した。
すると、別のパネルで施設全体の者と思われる地図が表示された。
誠哉は、魔法でそれを記録すると操作パネルの電源を落としてさらに先に進んだ。
*
遺跡の最奥部に存在するコントロール室。
この場所で、一人の少女……アルドンサ・マリ・モンテジョルは監視カメラに表示された映像を見ながら何やら書き留めていた。
「なるほど……土壇場での逆転、面白いわね……もう少し見てみると面白そうね。いえ、それで普通に来ちゃったらつまらないからもっと楽しませて頂戴。ニンゲンのオキムラセイヤ……そして、この地で後悔させてあげる」
赤いボタンを押すと、一番大きな画面の横に何やら複雑な言語の文字が次々と表示される。
アルドンサは、残念ながらそこに表記されている言葉……出来損ないの神様がプログラミング言語と読んでいた言葉の意味は分からない。
でも、これだけははっきりとしていた。
この言葉こそ、世界を造る鍵であると……
「ふふふ……覚悟しなさい。と言っても、元に戻すとかいう前にこんな言葉読めるわけないだろうけどね」
そういうと、アルドンサはコントロール室を後にした。
そこに設置してある巨大な画面には「侵入者迎撃システム起動中」と表示されていた。




