第四十五話 迷宮の在り方
空には果てしなく続くかと思わせるような岩盤。
この世界の階層構造についてある人は、すり鉢型だといい、ある学者はピラミッド型だという。また、ある聖職者は、そもそも神がお造りになられたこの世界に端があるなど、有り得ないという。
その中でどれが一番正しいかなど誰にも分からない。
それゆえにくだらなくて、面倒くさい争いが起きるのだろうか?
それはともかくとして、一様に迷宮の階層構造に興味があるというのもまた、事実なのだろう。
そして、その謎が解かれるときは来るのだろうか?
「セイヤ君。難しい顔してるね。考え事?」
「まぁね。面倒だけど、いろいろと……」
答えながら、そもそも自分はなぜ、こんな事を考えているのだろうかという疑問に行き当たる。
あぁそういえば、オリーブに階層構造について尋ねていたんだ。
そうなると、なぜ、オリーブは考え事をしているのか? などと尋ねるのだろうか?
「おやおや、セイヤ君なら大丈夫だとおもったけど、次々出てくる説に混乱したみたいね」
「あっあぁ面倒なことに突拍子もない話もあったしな」
なんだかよくわからないが大切なことが記憶から抜け落ちている気がする。
「お兄様、どうしましたの? 随分と浮かれない顔をされていますが……」
「いや、心配いらないよ。それよりも、マアサ。さっきのオリーブの話どう思う?」
「そうですわね……」
なんだかよくわからないが、ずっと一緒に迷宮を探索しているはずのマアサと久しぶりにあった気がする。
「どうしましたの?」
「いや、なんでもない」
ゆっくりと周りを見ると、自分を囲んでいるのはアリス、マアサ、アンナ、オリーブといった面々だ。
上には青い空が広がっていて、白い雲がのんびりとした速度で浮かんでいた。
「あっそういえば、先ほどのお話ですが、私といたしましては決まった形などないように思えますの。そもそも、神がお造りになられたら無尽蔵に広かったり、形が決まっているのかもしれませんが、あくまで迷宮の発生は自然現象であり、今でも少しずつ拡大しているというのが魔族の中での一般的な見方ですの。そもそも、存在が確認されているのは人間界と呼ばれている第五層までで、その下があるかすら定かではありませんが……」
「なるほど……でも、それってそれぞれの大きさは分かっていないか、測った結果バラバラなのかどっちなの?」
誠哉の質問にマアサは少しばつの悪そうな顔をする。
「正直に言わせていただきますと前者ですわね。第一層には多くの町があったり、地形も変化に富んでいるので今の技術では難しいですの。少なくとも、第二層の端まで行った者の話では、第一層の端が少し向こうに見えたということですので、少なくとも第二層がずれているか、少し大きい可能性がありますの」
マアサが唱えた説がこれまで聞かされた中で一番、現実味を帯びている気がした。
しかしながら、第五層まで存在しているといわれても、第二層にも達していないのに下に大地があるといわれても、まったく実感がわかない。
「まぁ探せばたどり着けると思いますわ。ただ、私たちは、下層を目指しているのではなく、あくまで魔物の発生原因の調査が目的ですので、関係ない話ですわね」
「そうだな……下層の調査まで始めたら面倒過ぎる」
自分の中で何かが違っているという警鐘が鳴らされているがあえて無視をする。
理由はよくわからないがマアサは、下層の話題を避けようとしているばかりか、下層へ興味を持たれることに対して警戒しているような印象を受けた。
そんな風に過ごしているうちにアンナがそろそろ出発したいと言い出し、アリスも同意して二人して誠哉をせかし始めた。
こうして、この場から立ち去るころには、最初に抱いた疑問など思考の海の奥深くへ沈んでいた。
読んでいただきありがとうございます。
さて、今回の話は随分とややこしいことになってしまいましたが次回からは、いつも通りでいくつもりです。
ついでに言わせてもらいますと、話の途中で誠哉がいる場所の描写に矛盾があるのは、わざとやっています。
これからもよろしくお願いします。




