第四十話 仲間たち
どうやら、この虹色の空を造りだした張本人は、目の前で倒れている少女だったらしい。
思ってもみなかった形で犯人を特定できた誠哉は、この事件解決のためのヒントを探り始めていた。
あの少女の弱点が闇ならば、あの空も闇に弱い可能性が強い。
しかし、空を覆うあれら全てへ効果があるように闇で覆うというのは非常に困難だ。
「にしても、あれが世界を滅ぼすとは……そこまではさすがに考えてなかったな……」
「私もそんなところかな……まぁいまだに信じられないけど……」
まるでシャボン玉の中にいるようだ……一面に広がる虹色の空を見て思わずそんなことを考えてしまうのは現実逃避の一種なのだろうか。
「セイヤ君!」
その時、村の方からオリーブの声が聞こえてきた。
振り向くとオリーブのほかにマアサ、アンナ、アリスの姿があり、その後ろにたくさんの妖精の姿があった。
「みんな……どうして……」
「村の写し鏡を使って外の世界を見ているときに偶然、おぬしたちが見えたのじゃ。先ほどの会話もずっと、この鏡を持って聞かせてもろうておりました」
真っ白なひげを蓄えた長老がパッと見何の変哲もない鏡を誇らしげに掲げていた。
「まぁわしらとしては、厚く張った結界の中でおとなしくしようと考えておったんじゃが、今回ばかりはそれではいけない気がしての……それで、みんなして出てきたのじゃ。ニンゲンの青年よ。わしらも微力ながらお助けいたしますぞ」
「それはどうもありがとうございます。まぁいろいろ話すのは、あれを何とかしてからにしましょうか」
空を見上げている誠哉の左側にアンナ、右側にオリーブが来て左右の肩にそれぞれアリスとフーリが座る。
「さて、時にセイヤ君。尻尾を巻いて逃げかえるなら今のうちだぞ」
「逃げる? この状況でか? めんどくさすぎてたまらないだろ」
どこぞのインテリがやるようにオリーブはクイッと眼鏡を少し上げるしぐさをした。
「まぁやるからにはしっかりちゃっかりやらないと……じゃないと後悔しそうだしね」
「いや、面倒なことにしっかりやらないと後悔どころじゃすまなそうだな」
アンナは、セイヤのことをからかっているつもりなのか、誠哉の肩に手を置いてにやにやしている。
「皆さん! ちゃんと考えてくださいよ! 世界の命運がかかってるんですよ!」
「まぁまぁアリス。深く考えすぎだって」
「何言ってるんですか!」
「面倒だから、ボクの顔越しで喧嘩してくれるのはやめてほしいな」
「喧嘩か! いや、喧嘩するほど仲がいいなんて言葉があるらしいから、私とアリスはいい友人ってわけか! はっはっはっはっ!」
誠哉の顔越しで繰り広げられる妖精たちの会話は、世界の命運がかかっていることなど忘れされられるほど穏やかなものだ。
誠哉は、そんな皆を見てほほえましく思っていた。
なんだか、温かくていいな。
いつの間にかそんなことを考えていた。
「俺! この事件が解決したら、彼女に告白するんだ!」
「おう! がんばれよ!」
なんか真後ろでフラグを建設している青年妖精がいたので、彼の動向はしっかりと見守ることとしよう。
「お前ら! もしものことがあったら、俺に任せて逃げろ!」
「しかし! 隊長!」
「うるさい! 言う通りにせぬか!」
青年がいた方とはまた別の場所で、隊長と呼ばれている妖精がなんだか場違いなフラグを絶賛建設中であった。
まだピンチにすらなっていないのにその台詞はどうなのだろうか……
「まぁいいや。面倒だけど、みんなはやる気満々みたいだし……」
「そういうセイヤ君が一番やる気満々だと思うけどね」
「私もそう思うな」
「私もですね。主が一番やる気に満ち溢れています」
「だそうだ。がんばりなよ」
仲間たちの声を聴きながら、誠哉は改めて虹色の空を解決する方法を導き出し始めていた……
「なるほど……そういうことかもな」
誠哉は、空を見上げて不敵な笑みを浮かべていた。
読んでいただきありがとうございます。
次回から、虹色の空の事件の解決編に入ります。
これからもよろしくお願いします。




