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魔王の兄は旅をする  作者: 白波
第十六章 新しい課題
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第百九十四話 北からの知らせ

 誠哉が図書館で予言者と接触した次の日。

 ノエルの呼びかけで国の重鎮たちによる会議が開かれていた。


「急にお集まりいただいて申し訳ありません。緊急性がある事案なので非常召集と言う形をとらせていただきました」


 ノエルの顔は真剣そのもので緊急の召集ということもあって、彼女以外の面々にも緊張の色が浮かんでいた。


「すでに一部の方々はご存じかと思いますが新制度に対する一部反対勢力が過激な手段をとろうといているという情報を得ました。これに対策を思案するために皆さんを集めた次第です」


 一気に議場に動揺が走った。

 これは、後から知ったことだが、魔族領と呼ばれていたときに反乱が起きると言うことはなかったのだという。


 反乱どころか政に対する反対がなかったことは普通では考えられないが、そうさせてしまうほど魔王という存在は大きかったのだろう。


 ノエルの説明によれば、首都から北へ50キロほど離れた町で反乱の気があるそうだ。

 それを組織するのは市民団体でその目的は調査中であるが、現状の暫定政府の打倒が目的だと見られているとのことだ。


「それで、どうするつもりなの?」


 誠哉が聞いたがそれに答える者はいない。

 前代未聞の事態だからだろうか? それとも、魔王城内の反対、謀反しか考えていなかったため、対応ができないのだろうか?


 結局、その日は何の結論も出せずに散会となった。


 皆がそれぞれ退室していく中、誠哉はノエルに呼び止められ、立ち止まる。


「……どうかした?」

「まずは、あなたへの報告が遅れたこと、また、このような場での報告になったこと謝罪します。このことに関して、少し話がしたいので執務室から来てもらってもいいですか?」

「わかった。それじゃ行こうか」


 ノエルの後ろに続くように誠哉は歩き出した。




 *




「それで? 用件は?」


 誠哉は執務室に入るなり尋ねた。


「まぁ座ってください。少し長くなりそうなので」


 ノエルは誠哉に着席を促し自信もいすに腰掛け、誠哉は近くにあったソファーに座った。


「用件というのは、先ほど軽く説明しましたが、北部の町であるコリーヌの反乱についてです。単調直入に言えば、あなたにコリーヌへ行ってもらいたいんです」

「ボクが?」

「はい。申し訳ないですが、あまり信頼の置けて実力が伴うものが居ないので……頼まれてくれませんか?」


 誠哉は小さくため息をついた。

 とんでもない役割が回ってきたものだと。


 普通ならば、軍関係者が行くべきなのだ。


「あくまで目的は鎮圧ではなく諜報です。なので、相手をつぶす必要はありません」


 まるで誠哉の心を見透かしたようだ。

 ノエルは落ち着き払った態度でいくつかの紙を手に取り、誠哉の前に放った。


「これは?」

「その反乱について書かれたある貴族からの書状よ。これの信憑性も含めて調べてもらいたいの。いいかしら?」

「……面倒なことに信頼できる相手からの情報ではないと……」


 誠哉が紙を手に取る。

 その内容はいたって簡潔で反乱が起きそうだと言う旨だけである。


「えぇ。こういうたぐいの情報は一般的に天界からもたらされます。そもそも住民の反乱と言う事態がこれまでなかった上に情報がこれだけだとね。対応が後手に回らないように皆には伝えておいたけど……」

「なるほど……それでボクの出番って言うわけか……」


 誠哉は小さくため息をついて頭をかく。


「はい。このようなことを頼んで申し訳ありませんが、頼まれてくれるでしょうか?」

「……それは、ボクに任せてもらってもいいの?」

「はい。マアサ様が信頼を置かれていた方ですから」


 ノエルの顔は真剣そのものだ。

 誠哉はしばらく考え込んだあと、了承の意を告げて部屋をあとにした。

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