第百八十話 州の分け方
魔王城の一角にある部屋。
元々は、半ば倉庫のように使われていたのだが、今ではすっかりと会議室となってしまったこの場所で十回目となろうかという会議が開かれていた。
参加しているのは魔王城の中でもトップに位置する大臣たちである。
これは、先にノエルが誠哉の助言を参考に各方面ごとに担当大臣を決めたことにより発生した状況だ。
当初は、担当など関係なく最高権力者である魔王がほぼすべての意思決定を行っていた。
マアサの代になって、それは多少改善されていたようだが、これを機に一気に改革に着手したのである。
今のところどこも整備中といった状態であるが、将来的には各方面の大臣を任命し、その下につく各方面の担当部署が仕事を行っていくという形を目指しているのだ。
このころになれば、議員制度もしっかりと出来上がっているのが理想であるのだが……これらをどこまで実行できるかは、これからのノエル次第と言っても過言ではないだろう。
「さて、私たちとしては区割りの最終案をこのように提案したいと思っています」
担当となっている大臣が提案したのは、魔族領を13の州と1つの特別市に分けるというものであった。
これは古くから、山などの大きな地形で区切られ、文化などの分かれ目となっている地域を基準にしていて、魔王城の城下町を新しい首都として特別市にするというものであった。
それぞれの州にはある一程度の権限を与える。ただし、不正などを行った際にそれを取り締まる組織を新たに設置するといった内容である。
それらの整備は、まだまだこれから行うのだが、とりあえずの州の区割りまではこれでほぼ決定だろう。
周りを見ても、ノエルを含め納得したような表情を浮かべている。
「それじゃ、これで決まりということでよろしいですか?」
大臣の言葉に周りの皆はうなづいた。
「一つだけ聞かせてもらってもいいですか? カリナ大臣」
「えぇ何なりと」
「その計画において、基準は文化の境目や元々の地域名称を元にしたといっていましたよね? その根拠は?」
それを聞かれるのは予想の範疇だったようでカリナはすぐに資料を取り出した。
「はい。魔王城内図書館にあった地図をもとにしています。こちらの地図は、大体5年ほど前の者ですのでそこまで古いということもないかと。ただ、厳密にやりたいというのならば少々期間はかかりますが、国内を調査することもできます」
「そうですか。5年前ならいいでしょう。皆さんも納得されているようですし、このままいきましょうか」
「そうだね。面倒だけど、これらはある程度早急にやる必要がある。まぁここでは州の区割りまでで都道府県や市町村の区割りはそれぞれの州に任せるのもありかもしれないね」
誠哉の提案にカリナは、ポンと手をたたいた。
「それはいいですね。その地域のことはその地域をよく知っている者たちに任せる。これがしかるべき形なのかもしれません」
「その通り。まぁこれについてはもっと詳しく検討しなくちゃいけないね。暫定の州知事も決めないといけないし。今日の会議はこれまででいいかな?」
「はい。私としてはこれで……皆さんは?」
ノエルの了承があるからか、皆はあっさりと納得し会議は散会する。
すると、カリナが誠哉の方へと歩み寄ってきた。
「先ほどはありがとうございました。ノエル様とセイヤ様の貴重なご意見。これから参考にさせてもらいます」
「それはどうも……まぁこれからもお世話になるだろうけれど、がんばってね」
「はい」
誠哉は、パタパタとかけていく彼女の背中を見送った後、資料をまとめて部屋から出る準備を始めた。




