表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の兄は旅をする  作者: 白波
第十二章 魔王城
168/217

第百六十一話 マアサの手紙

 朝。

 窓から差し込んでくる日の光で目覚めた誠哉は、ゆっくりと体を起こす。


「お目覚めですか?」

「……ノエル?」


 誠哉が寝ていたベットのすぐ横にノエルが控えていた。

 彼女はぺこりと頭を下げると、手に持っていた封書を誠哉に差し出した。


「これは?」

「マアサ様からの手紙です。本来なら、すぐに渡すべきものなのでしょうが、セイヤ様が魔王城を訪れてから一晩開けてから渡してほしいとのことでしたので」


 誠哉はその封書を受け取ると封を切って中身を取り出した。




 *




 愛しのお兄様へ


 お兄様がこれを読んでいるということは、くしくも運命とやらを打ち破れずに早々に死んでしまったのでしょう。


 そんなときのためにと思い、これを書いています。


 まず、私はお兄様に謝らなければなりません。




 *




 そんな書き出しから始まった手紙には衝撃的な内容が書かれていた。


 ネラが言ったことを半ば肯定するようなことが書かれていたのだ。

 自分を召還したのは、夢が達せれなかった時の保険だったということについて、謝罪の言葉が書いてあり、念のために誠哉が魔王になっても理想が達成できるように環境を整備していたことなどだ。


 そんな内容のあたりを読み進めていくと、徐々にその内容が変わってきた。




 *




 さて、ここでお兄様に頼みたいことがあります。


 それは、お兄様は魔王にならないでください。ということです。


 よっぽどか、魔王になる木はないのでしょうけれど、念のためにここにそう記しておきます。


 ノエルにはすでに別の手紙で指示が行っていると思いますが、私の代を持って魔王という位は廃止され、魔王の血を引くもの断絶します。


 お兄様に関しましては、義理とはいえ兄妹ですから魔王の継承権が発生いたしますが、それは改めて放棄してください。


 これに関しては、周りに反対するものがいたとしても、秘密裏に工作が行えるようになっています。


 それに関してましても、すでに手配してありますのでご安心ください。


 ただ、魔王亡きあとでも魔族領は存続し、そこに住む国民も存続することになります。


 そのため、魔族領は廃止されますが、それと同時にまったく同じ領土の国を建国し、魔王城付近の城下町を首都としてください。そして、その国に立つ新たな王は現メイド長、ノエルといたします。


 もし、何かしらの理由でノエルがその役割を担えない場合は代わりにお兄様にその地位についてもらいます。


 このことに関しては、別段無視していただいても構いません。


 そもそも、ノエルが素直に“国王”になってくだされば、全く問題はないので……


 国の名前、法律等はご自由にお願いしますが、最低限国民の生活に大きな負担を強いるようなものはダメです。


 ぜひとも、異世界から来たお兄様の本領発揮と言ったところを見たいですわ。


 それでは、このあたりで筆をおかせてもらいます。


 世界最後の魔王 マアサより


 追伸


 私のお兄様への愛情は本物ですわ。

 ですから、受け取ってもらえなくて最後の最後まで残念ですわ。




 *




 手紙を読み終えた誠哉は、視線を窓の方へと向ける。


 彼女はこの手紙をどのような心情でつづっていたのだろう。


 それに、運命がどうだとか、早々に死ぬことがわかっていたかのような書き方だった。


「……なぁノエル。マアサが抱えていた運命ってなんだ?」

「私も存じ上げません。ただ、我々も知らないところで様々な関係を持ち、それを使って様々なところに手をまわしているのは事実です。あくまでこの手紙ではお願いという形で書いてありますが、これは絶対だと思います。私たちがどうあがいたところで彼女の意向通りに動くしかないかと思います」

「そうか……」


 誠哉は深刻そうな表情を浮かべてうつむいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ