第百五十二話 集められた面々
ノエルからの知らせを受け、急きょ魔王城に帰った誠哉は客間にいた。
同じ部屋にはユキ、オリーブ、アンナといった面々がそろっていた。
中央に大きな机が置いてあり、向かって左側に奥から誠哉、ユキ。右側には奥からアンナ、オリーブの順に座っていた。
「まさかこんな再会になるなんてね。残念ね」
「そうだな。面倒なことにマアサを含めて全員で笑って再会したかったよ」
そう言って誠哉も肩を落としていた。
森の迷宮の一件からそんなに時間は立っていない。特にアンナとマアサはようやく互いの身分を知ったうえで分かり合えたというところだ。
そんなところでのこの出来事である。彼女にとっても少なからず衝撃的なことであろう。
その時、扉が勢いよく開かれた。
それと同時に何体かの人形が現れ、そのすぐ後にある人物が姿を現す。
「……まったく、そこはかとなく辛気臭いわね。あなたたちがそんなんじゃあいつのことだから、この世にしつこく残り続けるわよ。下手したらそこはかとなく下に降りてくるかもしれないわよ」
「そうか……まぁ面倒なことにこのままじゃ、そうかもしれないな」
そう言って、誠哉は立ち上がる。
その様子を見て、新たに来た客人鈴菜は、満足そうに笑みを浮かべた。
「そこはかとなく私の弟子も来ているようだしな。まぁそこはかとなく姿を現すつもりはなさそうだが……そもそも、マアサもあれも口ではお互いを嫌悪しているように言っていたが、実際はそうではなかったようで安心した。まぁ一度対立すればあれはそこはかとなく力づくでマアサの主張を抑えていたようだが……そんなことも今はいいだろう。ちゃんと訪れているということがそこはかとなく重要だからな」
鈴菜はオリーブの横に座り、人形に紅茶を淹れさせる。
「別にそうしなくても紅茶ぐらい出てくるんじゃないの?」
「私はそこはかとなくこだわりが強くてな。どこに行こうが、そこはかとなくこの紅茶を飲んでいるんだよ」
そう言って、鈴菜は紅茶に口をつける。
なんだか、人形を動かして紅茶を淹れているのを見ると観測者のアルドンサの姿を思い浮かべてしまうが、実際のところ二人の関係はどうなのであろうか?
聞いてみようかと思う一方、それは触れていはいけないと自分の中で何かが警告を発する。
何時しか誠哉は天井を見つめていた。
「それにしても、急ですね。魔族ってもっと長く生きるものだったはずですけどね」
「まぁ全部が全部そうってわけではないでしょ? 確かに彼女がいなくなっちゃったのは残念だけど、ここでその疑問を追ってもマアサは帰ってこないしさ……だから、こういう話題はこれで終わりにしよ? そう……たとえば、迷宮の件のあとみんながどうしていたとかそんな話をしない? お互いの近況報告みたいな感じでさ」
アンナも彼女なりにこの状況を打破しようとしているようだ。
誠哉は、その意向をくみ取るように小さくうなづいた。
「確かにそうだな。面倒なことにこのまま暗いのはまっぴらごめんだ。だから、出来れば楽しい話が聞きたい。誰からする?」
「……そこはかとなく似たような提案を私が先にしていた気がするから、私から行かせてもらおう。そもそも、あまり長くはいなかったんだ。最近の出来事にこだわる必要もないからな……そうだな。あれの話でもしてやろうか」
鈴菜は人形を手元に寄せて羊皮紙を持たせた。
そこにはちょっとした魔方陣が描かれていて、彼女が何かしらの魔法を使おうとしていることが分かった。
「そういうことだから、私の弟子の話だ。あれは今から数百年前、私がそこはかとなく迷宮に別荘を建てて間もないころだった」
鈴菜は、そう言って静かに語り始めた。




