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後日談・陸と海




「…………」

「…………」


 にっこり。

 正座したまま、向かいの男を見据える。


 冷や汗を滲ませているその人は。

 太陽(かあさん)の夫でありーー私たち五人姉妹の、父親。


 七年間、いなかった人。


 クリスマスの夜に、帰ってきた。

 まるで、遅すぎる贈り物みたいに。


 事情があることくらい、わかってる。

 全部は聞かされていないけれど、それでいいとも思う。でも。


 ーーだからといって、何もなかったことにはならないのよね。


 にっこり。

 少しだけ、笑みを深くする。

 びくり、と父親の肩が揺れ、


「……ご、ごめんなさい……」


 深々と頭を下げた。

 それを見下ろして、ひとつ頷く。


「よろしい」


 短く、それだけ伝える。

 許す、というより。

 ーーここからちゃんとやりなさい、という合図。


 その後、苦労人な陸にもようやく春が訪れる事になる。

 会うたび「変態!」と罵っている相手と、まさか夫婦になり、三人の子供に恵まれる事になるのだが、この時の陸は、まだ知る由もないのだった。






「あたしの分〜、(ムツ)姉の分〜、空と渚の分〜。そんで、オカンの分と、(うしお)の分、だっ!」


 七年間行方不明だったオヤジが、ひょっこり帰ってきた。

 帰ってきたらぶん殴る。そう決めてた。

 他は、みんなが分担してくれる、って知ってるから。

 事情があるのは、もちろん知ってる。

 ウチの血に流れる、末子だけが継ぐ〈不思議な力〉。それ関係だってのは。

 けど、事情と事実は別だから。


 迷惑をかけた事。

 心配をかけた事。


 それでも。

 生きて帰ってきてくれた事。


 その全部をひっくるめて。

 オヤジは、終始ポカンとしていたけど。


「あと。オヤジは、もうメシは作んな」

「え……」


 その言葉の方に、ショックを受けてたみたいだった。なんでだよ?


 そんな父親との再会を果たした(あみ)は。

 家族との時間も大切にしながら、警察官であり、土御門家当主でもある者、土御門 高馬との仲を深めていく事になる。

 聖夜にホテルで一夜を共にし、任務の為とはいえ、まるで浮浪者のような生活をする高馬を、海は家族フロアの一室に招いた。

 それから順調に、時を重ねーー


「オカーン! あたし子供できたって! しかも三つ子! すごくね?」


 スパーン! と部屋の扉を開け放ち。

 家族その他に散々、「行き遅れるだろう」と思われていた海は、兄弟姉妹の誰より早く子を授かり、周囲をこれでもかと驚かせるのだが。

 それはまだ先の話。

陸のお相手はもちろんあの人


桜月さまより

高馬くん

お借りしてますー

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