12/31 何が出来るというのじゃ?
「……妾の望み、とは」
はて? と首を傾げる。
わざとらしいほど、可愛らしい仕草。
——同じ顔だから、わかるんだから。
「お姉ちゃんの欲しいもの。
それを手に入れるために、こんなことをしたんでしょ?」
「こんなこと、とは?」
くるり、と空中で一回転する。
ふわふわと揺れる栗色が、無垢な様を際立たせる。
「たくさんの人を巻き込んでるもん。
〈継承者〉も、〈守護り〉も、その家族も!」
「人とは脆弱な生き物じゃ。守りがなくば、すぐ死するだけじゃ」
「でもっ、それで苦しんでる人もいるんだよ!?」
にんやり、と神様が笑う。
「幸か不幸かは、その者が決めることじゃ。
お主は言い切れるのかぇ? 皆がみな、不幸だったと」
「っ……」
押し黙る。
耳に、ほほほ、と笑う神様の声が嫌に残る。
本当に?
継承者は、
守護りは、
その家族は、
みながみな、本当に不幸だったのか?
ひと時も、幸せな時はなかったと?
それはただの、思い込みではないのか?
色んな声が耳に聞こえてーー
汐は目を瞑り、小さな手を握り込んで。
「それでもっ!」
叫んで、顔を上げる。
夜輝石の小瓶が、キラリと光った。
「汐は、このままでいいなんて思わない!
こんな悲しいのーーだめだよ……」
「ならば、どうする?」
含みを込めた、見下ろす視線。
「その小さき身体で、お主にいったい、何が出来るというのじゃ?」
汐は、迷わず手を差し出した。
微かに瞬かれる、神様の栗色の瞳。
「……お姉ちゃん、欲しいんだよね?」
まっすぐに見上げ。
「〈こっち側に来られる身体〉」
「だから」
目を離さず、はっきりと告げた。
「汐の身体、貸してあげる」




