表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
396/404

12/31 何が出来るというのじゃ?




「……妾の望み、とは」


 はて? と首を傾げる。

 わざとらしいほど、可愛らしい仕草。

 ——同じ顔だから、わかるんだから。


「お姉ちゃんの欲しいもの。

 それを手に入れるために、こんなことをしたんでしょ?」

「こんなこと、とは?」


 くるり、と空中で一回転する。

 ふわふわと揺れる栗色が、無垢な様を際立たせる。


「たくさんの人を巻き込んでるもん。

 〈継承者〉も、〈守護り〉も、その家族も!」

「人とは脆弱(ぜいじゃく)な生き物じゃ。守りがなくば、すぐ死するだけじゃ」

「でもっ、それで苦しんでる人もいるんだよ!?」


 にんやり、と神様が笑う。


「幸か不幸かは、その者が決めることじゃ。

 お主は言い切れるのかぇ? 皆がみな、不幸だったと」

「っ……」


 押し黙る。

 耳に、ほほほ、と笑う神様の声が嫌に残る。


 本当に?

 継承者は、

 守護りは、

 その家族は、

 みながみな、本当に不幸だったのか?

 ひと時も、幸せな時はなかったと?

 それはただの、思い込みではないのか?


 色んな声が耳に聞こえてーー

 汐は目を瞑り、小さな手を握り込んで。


「それでもっ!」


 叫んで、顔を上げる。

 夜輝石の小瓶が、キラリと光った。


「汐は、このままでいいなんて思わない!

 こんな悲しいのーーだめだよ……」

「ならば、どうする?」


 含みを込めた、見下ろす視線。


「その小さき身体で、お主にいったい、何が出来るというのじゃ?」


 汐は、迷わず手を差し出した。

 微かに瞬かれる、神様の栗色の瞳。


「……お姉ちゃん、欲しいんだよね?」


 まっすぐに見上げ。


「〈こっち側に来られる身体〉」

「だから」


 目を離さず、はっきりと告げた。




「汐の身体、貸してあげる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ