12/31 死んじゃった?
「あれ……?」
汐は、栗色の瞳を瞬いた。
白い。
どこまでも、白い。
足元も、空も、境目がない。
踏んでいるのか、浮いているのかさえ、分からない。
「……お父さんは?」
さっきまでーー所在の記憶を、引き戻していたはずだった。
なのに、ここには何もない。
白だけ。
胸の奥が、少しだけ冷える。
そのくせ、鼓動だけがやけに速い。
「……汐、もしかして死んじゃった?」
「死んではおらんの。今は仮死、といったところじゃのう」
「!?」
いきなりした声に、びくっと振り返る。
——いない。
「……空耳……?」
「な、わけなかろう。上じゃ、上」
言われて見上げた先。
白の中に、ひとりだけ「形」があった。
それがふわり、と。
こちらに降りてくる。
栗色の、柔らかな髪。
同じ色の瞳。
見覚えが、ある。
ぱちくりと、目を瞬く。
「……ばぁば?」
声が、かすれる。
写真でしか、知らないはずのその姿。
けれど、間違えようがない。
——永遠。
今の自分より、少しだけ大人びたその姿で、目の前に立っている。
「妾も驚いたわ。トワが言っておった通り、見事に瓜二つじゃの」
ころころと、楽しげに笑う。
距離が近いのに、どこかその声が遠い。
触れられそうで、触れられない間合い。
首を傾げる。
「ばぁばを知ってるの?」
「さよう。トワも、アリカもーーお主のことも。継承の流れにある者は、みな」
「……!」
それはつまり。
この人はーー




