12/31 救われてんじゃねぇよ!!
フィルくん
「いやあああぁっ!! 汐、うしおっ!」
悲鳴とともに駆け出した太陽を、フィルは間一髪で捕まえた。
見えない鎖が、がしゃりと音を立てる。
「?! フィル離して! 汐がっ!!」
「ダメだ、太陽さんっ! 今踏み込んだらーー何が起きるかわからねぇ!」
夜輝石の光は、まだ収まっていない。
ふわり、ひらりと漂う光。
それは、ただの光じゃない。
ーー想いの、光。
ここはもう、〈心〉が形になる場所だ。
最悪を思い描いたまま、むやみやたらと飛び込めば。
それがそのままーー現実になる。
「汐、うしおっ!!」
叫びが、空間を震わせる。
フィルだって本当は助けたい。
だが、鎖がそれを許さない。
「……さん……?」
その時、声が落ちた。
所在が、ゆっくりと目を見開く。
「……ひかり、さん……?」
「……!」
太陽の瞳が揺れる。
「所在くん……? まさか……記憶が……」
戻った? この土壇場で?
——だが。
フィルの視線は、所在の腕の中へと向く。
動かない汐。
溢れすぎた光。
(……あいつ……っ!)
冷たいものが、足元から這い上がる。
ーー自分を使いやがったな。
所在の記憶を呼び戻すために。
代償として。
「……っざけんな……!」
感動の再会だろうが、知ったことか。
「所在イイィ!!」
抑えきれずに、叫ぶ。
「おっ前こんなやり方でーー救われてんじゃねぇよ!!」




