表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
387/404

12/31 なんで?




「お父さん、なんだよ?」


 その瞬間。

 空気が、ひび割れた。ような気がした。


 びきり、と。


 目には見えない何かに、亀裂が走る。


「……っ、(セキ)!!」


 フィルの叫びが、遅れて届く。

 所在(アリカ)が、驚きに目を見開いていた。

 栗色の瞳の奥で、何かが呼び起こされたかのような。

 所在の手にある腕輪が、夜輝石がキラリと夜に光りを弾く。


「……いま、なんて……」


 汐は、ごくりと息を飲み。

 そっと、その一歩を踏み出した。

 岩場に靴が擦れる音が、やけに大きく耳に響く。


「お父さん、だよ」


 揺れる所在の瞳を見つめ。

 はっきりと、言い切る。


「汐のーー」


 口にした瞬間。

 天に送られたはずの光りの筋が。

 こちらへと迫り、弾けた。

 ぶわ、と。

 天へ伸びていた光が逆流するように崩れ、所在の体に叩き込まれる。


「ーーーー」

「!?」

「所在さんっ!?」


 それ、は。

 身体を傷付けるものじゃない。

 そういう類のものじゃない。

 それはわかっている。

 わかっている、でもだからこそーー


「お父さんっ!!」


 汐は叫んだ。

 いつの間にか、庇うようにして前に立ったフィルを押し退けて、必死に手を伸ばす。


「ダメだ、(セキ)! おっ前、危ねぇ事はしないって、言ったろ!!」


 フィルの力強い腕に抱きしめられて、身動きが取れない。


「フィル離して! お父さんがーー」


 だが、汐がそう呼べば呼ぶ程。


「——ッぁ、あ……ああぁっ!!」


 所在が、頭を押さえて呻めき苦しむ。

 がくりとその場に膝を付く。

 栗色の瞳が揺れ。

 呼気が荒く乱れる。


「おとうーー」

「やめろ!!」

「っ!?」


 初めて所在が、鋭い声を上げた。

 汐は、びくりと身を竦ませる。

 所在の、いつも穏やかなその瞳は。

 汐の瞳を、強く射抜いた。

 まるで、責めているかのように。


 ぽろり。

 汐の栗色の瞳から、光の雫がこぼれ落ちた。


「……なんで……?」


 しかし、汐が何かいう前に。


「それ以上は……、ダメだ。ーーお前のためにならない」


 所在が、苦しげに声を絞り出した。




「ーーえ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ