表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
385/404

12/31 ごめんね




「…………」


 予感、だろう、これは。

 いや、もしかしたら。

 〈彼女〉が、呼んでいるのかも知れない。

 それなら、所在(ありか)に選択肢はなかった。


「……年の瀬だけど、まぁ。〈彼女〉には、そーゆー事は、関係がないからね……」


 借りている部屋は。

 綺麗に掃除しておいた。

 大晦日だからね。

 持って来ていた荷物も、一つに纏めておく。

 何があるかーー、わからないし。

 もしかしたら、戻ってこれないかも、知れないし。


「……まぁ。今まで〈彼女〉からのお願いで、そんな事は殆んどなかったけれど……」


 うろな(ここ)は、不思議の町だからね、と所在は呟いて。

 年越し参りにでも行くような気軽さで。

 うろや旅館を後にした。






 その日は(うしお)にとって、とても大切な日だった。

 でも。

 今年はそれが、少し違うという事は、わかっていた。

 それどころか。

 今日を逃せば、もう。

 今まで通りのいつもの日が、来なくなるだろう事が。

 汐にはわかっていた。

 胸に下がる、夜輝石がキラキラと輝く。


 今日は大晦日。

 夜に子供が外にいたとしても、怪しまれる事はない。

 海の家ARIKAで、催し物をする、と(あみ)お姉ちゃんが言っていたから。

 多分、きっと、大丈夫。


「……行くんだろ?」

「うん」


 今回は、フィルと一緒だから。

 本当は。

 一人で行くつもりだったけど。

 行かせてくれそうになかったから。


 「絶対に手を出さないで」


 そう約束させて。

 すごく、すごーく、嫌そうな顔してたけど。


「……危ねぇことは、しねーんだな?」

「うん」


 道すがら、フィルが問うてくる。

 それににっこり笑っていう。

 握る手が、強さを増す。

 安心させるように、握り返す。




 ごめんね。

 本当は嘘なの。


 多分、たぶん汐はーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ