口裂け女
私は口裂け女。
生まれながらにして口の裂けている女である。
そんな私は恋をした。私の恋心など全く知らないであろう塾帰りの青年マサトに
「口裂け女さ~ん」
マサトはとても霊感が強く私が見えるらしい。
「今日もマスクしてるんですか?暑くないですか?」
私がマスクをしている理由はただ1つ口が裂けてるのを知られたくないからだ。
もっともそんな事はもう口裂け女だと言われているからバレバレだが
「マスクの取れた口裂け女さんが見たいです!」
「どうせ口裂けの裂けている女だと珍しいからって動画投稿サイトやらに載せるつもりでしょ?」
「しませんよそんなこと!したら僕の口を裂いてもいい!」
マサトは真剣な眼差しでハリセンボン飲ますじゃなく口を裂いて良い約束をした。
私は馬鹿みたいに口だけじゃなくお洒落もしようと普段は履かないスカートを履いて、目も二重にしたりとにかくありとあらゆる事をした。
そしてマサトと会う約束の時間になった。
「あっ!口裂け女さん!」
初めて素の状態で街を歩いた。下着でも見られてるんじゃないかと思うぐらいの羞恥心が私を襲った。
「口裂け女さん?」
マサトが首をかしげたやはり私は所詮口裂け女だから不気味に思われたのだろう。
「何か最近綺麗になりました?目が違いますよね?後いつもズボンなのに今日はスカートですし」
マサトは口の事より服装やメイクの話をしだした。
「そうかしら?」
得意気にあしらってみた。
「思いきって裂けた口も直しちゃいませんか」
マサトの突然の発言に普段より大きく口が開き思わず笑ってしまう。
「何それ(笑)それじゃ私口裂け女じゃなくて口裂けてない女じゃない、て言うかもうそれただの女じゃない(笑)」
私の怒濤の突っ込みがマサトを襲う
「口裂け女さんはただの女いや僕だけの女になって欲しいんです!」
からかっている風には見えなかった。マサトは本気で私を一人の女性として見ようとしている。
「触れることもできない女って需要があるのかしら?」
人間と妖怪の恋なんて実ってはいけない、高望みしないでマサトに諦めてもらおうと思った。
「需要があるか無いかではなくそばに居て欲しいから付き合って欲しいんです。」
「・・・・・浮気したら呪い殺すわよ?」
脅しじゃなく本気で言った。
「望むところです!それに僕の家は神社なので皆霊感があります。貴方がいくら普通の女性になろうとしても真実はいとも簡単に見抜かれてしまいます。故にあなたは外見は女だとしても唯一無二の口裂け女で居られるって訳です。」
私はここまで自分を愛してくれる男を見たことが無かった。一人の女としても大事にしてくれる上に口裂け女であることを尊重してくれる彼。気付いたときには
「よろしくお願いします。」
と言ってる自分が居た。
彼はそれに答えるように
「こちらこそ」
と言った。
もし彼がやっぱり生身の触れられる人間が好きだと言ってきたらその時はまた口裂け女に戻れば良い所詮私はただの妖怪なのだから。
だから神様どうかそれまで私に夢を見させてください。




