ED(ゲーム)
「あ、ああ、……エマか? なんか印象が違う」
「キャバリアを脱いでおりますので。あ、まだ動かないでくださいまし。癒やしの術が破れます」
「そうか、皆はどうしている?」
「今お仲間の装甲勇者様方は残党がいないか見回りにいかれております。あの……その……、一つ言わなければならないことが」
「ん?」
「あの、お仲間のお一人、一番小さかった方が預言者の自爆に巻き込まれて、消失した、と。骨の欠片も残っていなかった、と報告を受けています」
「そう……か。残念だが仕方ない。ブラックキャバリアのフォードは?」
「ありがとうございます。おかげさまでフォードめはぴんぴんしております。ブラックキャバリアはフルメンテしないと使えないでしょうが」
「そうか。たぶん俺達は唐突に消える。前回と同じようにな。だから宴とかには付き合えない」
「やはりそうなのですが。可愛いドレスとか用意させましたのに……」
やべぇ、着せ替え人形にされるところだったようだ。
「言ったそばから帰還のようだ……。じゃあ、またな」
「はい、戻られたら確に……」
イベントアバターなので通常の登録アバターに変更になります。
「ふう、やっぱ元の体に近いこれの方が落ち着くわ」
「おかえり。ヒジリさん」
直接俺はフライハイトのマイルームに戻ってきたようだ。そこにはサントノーレ、しぶいおっさんのアバターではなく、向こうでの彼女そのものの、弓子ちゃんが待っていてくれたようだ。
「あー、えっと、すまんなサントノーレ。NPCを優先してしまった」
彼女が薄く笑った。うーむ、この子ぜったいに将来美人になるだろうな。
「結果としてそれが正しいと思う。この通り私は無事だけど、彼はそうはいかないだろうしね」
「ん? どういうことだ? もしかして知っていたのか? あの世界も【実在】である、ということを」
「【実在】とはどういう意味か、と問うことも出来るけど、概ねヒジリさんの把握で正しいと思う。聖王長は私の友達だよ」
「そうなのか。実は君は宇宙人だ、と言われても納得してしまいそうだ」
「えー、それは酷い。私がたこに見えるの?」
「たこって。一体何十年前の宇宙人のイメージだか。サントノーレの今の姿は現実そのままだけど、俺のは若干違うだろ? そういうことさ」
「サントノーレはあのおじさんアバターのつもりなんだけどね。会社の人からはよくいい趣味をしていると言われるね」
「会社?」
「ええ、お父さんが関連している会社にこのゲームの開発運営会社が含まれていて、私はそこに出入りしているからね。それもこれも聖王長の頼みだよ」
「なるほどね。俺、らは聖王長に踊らされてたってわけだ」
「……うん、でも、楽しかったよね?」
極上の笑みでそんなことを言わないでほしい。今の俺の年齢なら大丈夫だが、同い年ぐらいだったらころっといってるぞ、今のは。
「ああ、殺し合いを楽しいと言っていいのかは分からないが、俺にとってはまだゲームだ。皆とも、君とも出会えてよかった、と今は思う」
「そうか、よかった。嫌気が差しているかも、と」
そういって椅子から離れて立ち上がった。
「そろそろ他の皆も返ってくるっぽい。まだ皆さんは気づいていないみたいだから、ね」
そういって片目を瞑り、口に人差し指を立てて当てる。




