ep.25 お弁当食べよ
春から夏へと移り変わるのか、この日は少し蒸し暑い日だった。
昼休みになったので、いつも通り一年二組の教室の自分の席で涼川凛はお弁当を食べようとカバンから取り出したとき、声を掛けられた。
「涼川さん、この間はリレー出てくれてありがとう」
同じクラスの立川公佳だった。
「ああ、立川さん、あまり役に立てへんかったし、気にせんでええよ」
「なあ、涼川さん、迷惑やなかったら一緒にお弁当食べへん」
立川公佳もあまり社交的なタイプではなく、よく一人で弁当を食べていた。
「うん、ええで」
えっ、氷姫が・・・周りにいた生徒たちは少し驚きの目を向けた。
「天気がいいから、屋上いかへん」
「うん、そうしよか」
二人は弁当を手に教室から出て、屋上へと向かった。
屋上は、少し風はあるが、それが体感的には心地よい。
二人は、空いているスペースを見つけて座った。
「立川さんから声を掛けられるとは思わへんかったわ」
「私も涼川さんが一緒に食べてくれるか不安やった」
涼川は弁当のふたを開けながら言った。
「それで、私に何か用があるん?」
立川は首を横に振った。
「一緒にご飯食べたかっただけ・・・」
「そうなんや」
涼川は軽く微笑んだ。
二人はしばらく沈黙の中で、弁当を食べていた。
「文化研究部って、おもしろいん?」
「うん、おもしろいで。
あずさも高木くんもええ人やし」
「片桐さんって、けっこう個性的な人やね」
「うん、あずさは個性的で魅力的で、みんなから人気がある」
「明るい感じの人やしね。
活動って何してるん?」
「今、みんなで食をテーマに資料作ってる」
「ガイド本みたいなもの?」
「私たちの行ける範囲で美味しいものを紹介するような感じかな。
食べてるんほとんどあずさやけど」
「へぇ~、みんなで食べ歩きしてるような感じなんや」
「はじめてまだ間がないけどね。
行ける範囲でかまわへんから、もし良かったら、涼川さんも一緒にいかへん」
「部員でもないのにかまへんの?」
「うん、かまへんよ」
「じゃあ、行けるとき、ご一緒させてもらおっかな」
「うん、大歓迎!」
公佳は嬉しくて微笑んだ。




