ep.15 両極端
この日は雨が降っていた、宝塚ゆずり葉高等学校、文化研究部の部室に片桐、立川、高木の三人が集っていた。
先日のことがあったから当然といえば当然だが、立川はどことなく元気がない。
気だるそうに片桐が言った。
「二人とも、レポートの進捗どない、私、全然進んでなくて・・・」
「そうなんや、こっちはぼちぼちかな~」
(あんなに食べ歩いているのにまさかの進んで無かった~!)
「公佳はどない?」
「こっちはあんまり・・・」
「そっか・・・」
レポート作りのため、カチャカチャとパソコンをたたく音が響いている。
「公佳、今週末、女子二人でパーッとカラオケでも行かへん、気分転換にさ!」
「そんな気分でも無い・・・」
「そっか・・・」
そんな時、部室の扉が開いた。
「片桐いる~!」
賑やかに入って来たのは、村中だった。
「片桐、ビッグニュースがあるからちょっと来て~!」
(ん、なんか空気重い?)
(こんな時に村中か~・・・)
「ええよ、場所かえよっか」
二人は部室を出て廊下の端に移動した。
「で、どないしたん?」
村中は少し顔をあからめ、もじもじとしながら言った。
「いや、片桐には見られたから言うねんけど、坂下君と正式に付き合うことになってん」
「だいたいそうかと思ってたけど、それはおめでとう」
「ん、なんか反応薄くねえ?」
「そんなことないで、ちゃんと祝福してるって」
(ああ、両極端やからこっちも追いつかんな・・・)
部室に残った立川が小声でぽつりとつぶやいた。
「私って、あずさみたいに魅力ないからな・・・」
「立川さん・・・」
「あ、なんでもない・・・」
そう言うと立川はうつむいた。




