ep.13 恋愛は残酷
週末、宝塚駅付近のハンバーガーショップで片桐と高木は昼ご飯を食べていた。
窓際で外の景色が良く見える良い席だ。
宝塚歌劇を観覧する客だろうか花のみち(歩道)には、多くの人が往来していた。
「エビバーガーも捨てきれなかったけど、今日はてりやきくんが勝利したのだよ」
「俺のエビバーガー、あげへんで」
「ふっふっふっ、もらうのはフレンチポテトくんだけで十分」
言うや片桐は高木のフレンチポテトを数本、かっさらった。
(こいつの食い意地、もはや神だな・・・)
「ああ、てりやきの醤油ダレが甘辛くて最高!」
パシャ、高木は幸せそうに食べる片桐の写真を撮った。
食レポのため食べる前の料理の写真と食べている片桐の写真を撮るのが、高木の役目になりつつあった。
二人があらかた食べ終わる頃だった。
「そうそうこの前の野外活動で、とうとう涼川凛の連絡先を手に入れたで~」
そういうとスマホの画面を高木に向けた。
「涼川さんの連絡先もらってどうするつもりなん?」
「学校で一二位を争う美少女を攻略するってそそられへん?」
(たぶん争ってる美少女の片割れって片桐さんのことなんやろうな・・・)
「えっ!」
片桐が両手で口をおさえる。
「どうしたん?」
窓の外、片桐が指さす先に立川公佳と男子が花の道(歩道)を歩いていた。
男子の名は、確か坂下だったか、中華街であったことがある。
「立川さんってあの男子と付き合ってたんか?」
「高木くん、これって二股やんね・・・」
「いや、まだ断定は・・・」
「なにさらしとんねん・・・」
「えっ?」
「あんガキ、私の連れに二股とか、なにさらしてくれとんねん!」
片桐はテーブルを激しく叩いて立ち上がった。
(片桐さん、学校のアイドル・・・)
「と、とりあえず落ち着いて片桐さん」
高木は両手を前に出してなだめる。
「高木くん、後を追うで」
そう言うと片桐は勢いよく店を出ていく、高木はその後を追った。
立川と坂下は、花のみちを歩いた後、武庫川の河川敷に降りて行った。
二人は並んで河川敷で腰を下ろした。
二人はしばらく黙って座っていたが、坂下が重い口を開いた。
「この前の課外活動で言ってもらったことの返事やけど、自分なりに考えたけどやっぱり立川さんと付き合うことは出来へん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「うん、わかった・・・」
「ごめん」
そう言うと、坂下は立ち上がり、背を向けて歩き出した。
立川公佳は、座ったまま小さくうずくまった。
勝手に涙が溢れてきた。
それに抵抗せずに小さく声を出して泣いた。
少し離れた場所からその光景を片桐と高木は見ていた。
「そっか、公佳、頑張ったんやな・・・」
(みんなが幸せになれれば良いと思うのに、恋愛は残酷だ・・・)




