ep.12 野外活動2
「高木くん、どうだった私の歌唱力?」
胸に手を当てて片桐が問う。
「いや良かったと思うで」
(本気で歌ってたの片桐さんくらいだったし・・・)
「お花摘み行くから、付いてきて、夜道なんか怖いし」
「うん、ええけど」
(トイレ誘うなら普通女子ちゃうん?)
「あっ、今、連れション行くなら、女子と行けばとか思ったんちゃう?」
「いや、似たようなことは思ったけど、連れションという単語は頭になかった」
「この辺、いのししが出るらしいから、いざとなったら戦って貰わんといかんからね」
「そんなん戦えるか!」
「お、あそこにいるの村中やん、と涼川さん?なんや珍しい組み合わせやな。
ちょっと行ってみる?」
片桐から興味本位のオーラがあふれ出ている。
「なんか話してるっぽいから邪魔せえへんほうがええんとちゃう」
村中と涼川は焚火から少し離れた場所で二人並んで座っていた。
「村中~、こんなところで何してるん?」
「あ、片桐」
「涼川さんと一緒にいるんや、紹介して~」
しゃあないなという様子で村中は紹介を始めた。
「こっちは片桐あずさ、私の中学の頃からの友人でもう一人は・・・」
「片桐さんと同じクラスの高木です」
片桐が笑みを浮かべて言う。
「まあ、そういうことやから涼川さん、よろしく~」
「よろしく、涼川です」
涼川は静かに応じた。
高木はふと思った。
(片桐さんは光属性、涼川さんは氷属性って感じやな)
涼川の隣に片桐は腰を下ろすと言った。
「涼川さんは、デザートとか何が好きなん?」
(え、急やな・・・)
「バームクーヘンとか・・・」
「おっ、バームクーヘンと言えば・・・高木くん」
片桐は人差し指で高木をさした。
「神戸の元町商店街の老舗・・・」
「よく、出来ました」
微笑みながらダブルバッチグーで応える。
「今度、四人で一緒に食べに行こうよ、なあ村中」
「涼川さんがよければ、どう?」
涼川は少し考えた上で言った。
「うん、ありがとう、でも私は遠慮しとくわ」
「そうなん、まあ、無理とは言わへんけど、おいしいで。
そうや、じゃあ、連絡先交換しよう、また、別の機会に美味しいもん食べに行こう」
「うん、じゃあ」
(片桐さん、押しがすごいな・・・)
月明かりを頼りに坂下はトイレに行き、その帰りだった。
人気の少ない道に通りかかった時、ふと、声を掛けられた。
「坂下君、ちょっとええ?」
声のほうを見ると、そこには見知った小柄な少女がいた。
「立川さん・・・」
「ちょっと、話できる?」
立川の声が小刻みに震えている。
「話?うん、ええけど、どうしたん?」
「あの、その、わ、私と・・・」
坂下は立川の次の言葉を静かに待った。
「私と・・・
私と付き合ってくれへん・・・?」
立川公佳は、詰まり詰まり震える声を絞り出した。
・・・・・・
・・・・・・
沈黙、月明かりが二人を包み込んだ。




