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『あの世界』の常識に巻き込まれていく話  作者: 渡しログ
カラフルな『あの世界』
587/588

6.6.38


 評議長の部屋を出た。


 通路を戻り、階段を昇る。

 昇り終わったところで、アルベールが口を開いた。

「まぁ……よくやった。好感は得た」

「えーっと……なにがだろう……」


「ミキ」

「うん?」

「どうやって、カウント24から、カウント22に入れたんだ? 誰かからデバイスを譲ってもらったのか?」

「そうだよ。デバイスを貰った」

「それは、評議長におしえてもいいことか?」

「おしえてもいいかな……?」


 貰ったってことだけなら、おしえてもいい。

 ただし、シェイプシフトデバイスだってことは、おしえたらダメだ。

 アルベールにも、それは知られたくない。


「他に、評議長と取引できそうな情報はあるか?」

「取引? って……?」

「評議長が喜びそうな、この世界に関する未来の情報はあるか?」

「うーん……あるような、ないような……」


 たとえば、神様のトモダチだとかなら……


「ふむ。まぁいい。ルシア、ちょっといいか」

「なにかしら?」

「私とここに残れ。ウィルツと3人で話しがしたい」

「まぁ、いいけど。なんの話し?」

「君にもやってほしいことがある」

「それって、ミキのためになることかしら?」

「無論だ」

「わかったわ。とりあえず話しは聞くわ」


「みきは?」

「君は、タデクとふたりで、暗くならないうちに拠点に戻れ。今日の仕事は終わりだ」

「うん。わかった」


「あとは頼むぞタデク。戻るまで常に警戒しろ。油断するな」

「はいよ」




 ルシアとアルベールは、建物に残り、わたしとタデクだけで拠点に戻ることになった。

「んで、あのヒョロガキと、ミキの嬢ちゃんは、なに喋ってたんだ?」

「うーん、魔法のこととか?」

「また、魔法かよ……まぁオレもいい加減慣れてきたが」


「変なヒトだったね」

「よくしゃべる、生きる屍のようだった」

「宇宙人でしょ」

「宇宙人? なんだそりゃ?」

「うーん……ソラに住んでるヒト?」

「ソラって、神様とか天子様とかか」

「それとは違うね」



「嬢ちゃん」

「うん? うわっ」


 わたしの右腕を掴んで、そのまま、タデクの右前あたりまで引っ張った。

 なに? 大胆すぎない?


「この距離から離れるなよ」

「え?」

「まっすぐ前だけ向いて歩け」

「うん……?」


 タデクが掴んでいた右腕を離した。

 言われた通り、離れないように歩く。


 評議会の敷地から、噴水広場の拠点まで。

 徒歩で20分くらいの距離だけど、まだ建物も道もなく、林沿いの原っぱが続いているだけ。

 その林の中に、複数人の体格のいい男性の姿が見えた。

 6人、いや、7人かな。

 腰に剣を提げている。

 みんな、あまありいい人相とは言えない。

 そしてこちらを凝視している。


 タデクの誘導で、林から距離を置いて歩く。

 走るわけでも、早歩きでもなく、歩行のペースは変えずに、噴水広場を目指した。



 ちょっと緊張した。

 でも、何事も無く、噴水広場周辺が見える場所まで、辿り着いた。

 すれ違うプレイヤーも、多くなっている。


 タデクが言った。

「ひょっとしたらこの先、護衛もひとりじゃ、足りないかもな」

「え?」

「今回は、ミキの嬢ちゃんが目的じゃなかったみたいだ」

「さっきの男のヒト達?」

「あんなとこに、たむろしてる理由なんて、3つくらいしかねぇ」

「どんな理由?」


「ひと休みしてたのか、それとも、待ち合わせをしていたのか」

「うん? そうかも?」

「あるいは、ダレかを待ち伏せしていたのか」

「え……?」


「考えすぎかもしれないが、用心しておいて損はない」

「そうなの……?」

「とにかく、噴水広場や拠点から離れるときは、必ずオレに言えよ」

「うん……ひとりで出歩くとしたらメモリアくらいだと思うけど」

「それならいいが、ミキはフォリオ・ノーメルシのキングだ。簡単にチェックメイトされるのは困る。オレの名誉にもかかわる」


「うん……って、なにそれ」


 もしかして。

 最初に狙われるのも、ギルドマスターの仕事なの。


「ねぇ、タデク」

「なんだ?」

「キングじゃなくて、クイーンじゃない?」


「…………」




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