6.6.38
評議長の部屋を出た。
通路を戻り、階段を昇る。
昇り終わったところで、アルベールが口を開いた。
「まぁ……よくやった。好感は得た」
「えーっと……なにがだろう……」
「ミキ」
「うん?」
「どうやって、カウント24から、カウント22に入れたんだ? 誰かからデバイスを譲ってもらったのか?」
「そうだよ。デバイスを貰った」
「それは、評議長におしえてもいいことか?」
「おしえてもいいかな……?」
貰ったってことだけなら、おしえてもいい。
ただし、シェイプシフトデバイスだってことは、おしえたらダメだ。
アルベールにも、それは知られたくない。
「他に、評議長と取引できそうな情報はあるか?」
「取引? って……?」
「評議長が喜びそうな、この世界に関する未来の情報はあるか?」
「うーん……あるような、ないような……」
たとえば、神様のトモダチだとかなら……
「ふむ。まぁいい。ルシア、ちょっといいか」
「なにかしら?」
「私とここに残れ。ウィルツと3人で話しがしたい」
「まぁ、いいけど。なんの話し?」
「君にもやってほしいことがある」
「それって、ミキのためになることかしら?」
「無論だ」
「わかったわ。とりあえず話しは聞くわ」
「みきは?」
「君は、タデクとふたりで、暗くならないうちに拠点に戻れ。今日の仕事は終わりだ」
「うん。わかった」
「あとは頼むぞタデク。戻るまで常に警戒しろ。油断するな」
「はいよ」
ルシアとアルベールは、建物に残り、わたしとタデクだけで拠点に戻ることになった。
「んで、あのヒョロガキと、ミキの嬢ちゃんは、なに喋ってたんだ?」
「うーん、魔法のこととか?」
「また、魔法かよ……まぁオレもいい加減慣れてきたが」
「変なヒトだったね」
「よくしゃべる、生きる屍のようだった」
「宇宙人でしょ」
「宇宙人? なんだそりゃ?」
「うーん……ソラに住んでるヒト?」
「ソラって、神様とか天子様とかか」
「それとは違うね」
「嬢ちゃん」
「うん? うわっ」
わたしの右腕を掴んで、そのまま、タデクの右前あたりまで引っ張った。
なに? 大胆すぎない?
「この距離から離れるなよ」
「え?」
「まっすぐ前だけ向いて歩け」
「うん……?」
タデクが掴んでいた右腕を離した。
言われた通り、離れないように歩く。
評議会の敷地から、噴水広場の拠点まで。
徒歩で20分くらいの距離だけど、まだ建物も道もなく、林沿いの原っぱが続いているだけ。
その林の中に、複数人の体格のいい男性の姿が見えた。
6人、いや、7人かな。
腰に剣を提げている。
みんな、あまありいい人相とは言えない。
そしてこちらを凝視している。
タデクの誘導で、林から距離を置いて歩く。
走るわけでも、早歩きでもなく、歩行のペースは変えずに、噴水広場を目指した。
ちょっと緊張した。
でも、何事も無く、噴水広場周辺が見える場所まで、辿り着いた。
すれ違うプレイヤーも、多くなっている。
タデクが言った。
「ひょっとしたらこの先、護衛もひとりじゃ、足りないかもな」
「え?」
「今回は、ミキの嬢ちゃんが目的じゃなかったみたいだ」
「さっきの男のヒト達?」
「あんなとこに、たむろしてる理由なんて、3つくらいしかねぇ」
「どんな理由?」
「ひと休みしてたのか、それとも、待ち合わせをしていたのか」
「うん? そうかも?」
「あるいは、ダレかを待ち伏せしていたのか」
「え……?」
「考えすぎかもしれないが、用心しておいて損はない」
「そうなの……?」
「とにかく、噴水広場や拠点から離れるときは、必ずオレに言えよ」
「うん……ひとりで出歩くとしたらメモリアくらいだと思うけど」
「それならいいが、ミキはフォリオ・ノーメルシのキングだ。簡単にチェックメイトされるのは困る。オレの名誉にもかかわる」
「うん……って、なにそれ」
もしかして。
最初に狙われるのも、ギルドマスターの仕事なの。
「ねぇ、タデク」
「なんだ?」
「キングじゃなくて、クイーンじゃない?」
「…………」




