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『あの世界』の常識に巻き込まれていく話  作者: 渡しログ
カラフルな『あの世界』
560/586

6.6.11


 週明けの月曜日。


 学校が終わって家に帰ると、まゆさんが遊びに来てくれた。

 まゆさんも、ヒマらしい。


 まゆさんの帰国理由は、3つ。

 1つは、ホームシックの解消。

 もう1つは、わたしに会うため。

 最後の1つは、会社を興すためらしい。


「なんで会社?」

「ぜんぜんわからないんだけど、大人の事情?」


「じゃあ、まゆさん、社長になるの?」

「そうみたい。お父さんの会社の子会社にするんだって」

「ぜんぜんわかんない」


「バイトで稼ぐおカネがね、そのままだと税金で取られるだけだから、法人化しろって言われた。だからバイトは廃業で、次からは会社で受注することになるんだって」


「バイトって、時給いくらだったの?」

「時給っていうか、1件で、2万ドルとか?」

「えーと……?」

「だからね、ボストンに住む借家とかも、経費にするとかなんとか。わたしにもぜんぜんわかんないよ」


「会社ってことは、社員とかいるの?」

「会計士の事務員がいるけど、所属はお父さんの会社。でもおカネの管理は、ぜんぶその人がやってくれることになった」


「じゃあ、まゆさん、ますますおカネの存在を気にしなくなるね」

「ん……知ってるよ。これで払えばいいんでしょ」


 スマホの画面に映し出された、クレジットカード。

 なんかズレてる気がするけど、おカネではあるのか。



 まゆさんは、晩ご飯を食べてから帰った。

 久々にまゆさんと食べた晩ご飯は、ホワイトシチューだった。

 しかもご飯にかけて食べた。

 まゆさんと食べるシチューは、ほんとうに美味しかった。



 0時の少し前に、ログインデバイスを出してニフィル・ロードへ。

 世川君がいるかもしれないから、探せと言われている。


 とりあえず、噴水広場へ。

 そのまま、拠点の建設現場へと足を運ぶ。


 ここ数日。

 豪華フレンチは、本当にまかないになっていた。


 トマト煮込みとか、野菜と謎肉のシチューとか。

 コース料理の様相はなく、単品1皿とあとはパン。

 とはいえ、美味しい。

 小麦粉も手に入りやすくなったらしく、パンもフカフカ。

 パスタの日もあった。

 変に凝ってないので、庶民の味に近い。

 わたしでも食べやすい。


 いまのところ、接待イベントの予定もない。

 フリッツやミシェルは、食材の調達とメニュー開発を進めている。


 調達は、安く仕入れられるメモリアが基本になるようだ。

 だから、クララやハンナも、メモリアへ渡って活動する時間が多くなっていた。


 お店はまだ先だけど、宿舎の建設は、かなり進んでいる。

 アパートのような外観だけど、すでに骨組みができている。


 ルシアのテントから見て、正面がアルベールの敷地。

 そこがメインホールとバーになるらしい。

 その奥にフリッツの敷地があり、VIPルームにするらしい。

 右隣はミシェルの敷地で厨房設備。

 左隣はハンナちゃんの敷地で、レストランスタッフの宿舎になるようだ。

 ディルの敷地はその奥。そこが、わたしたちの宿舎になる予定。


 ルシアを含めると、敷地はなんと6人分。

 いったいどんな建物ができるのか。

 楽しみではあるけど、実感はない。



 資金はたっぷりある。

 昼間の大工さんも倍くらい増えて、30人くらいになっていた。

 すごい規模だ。

 いったい、だれがギルドマスターなんだ。




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