6.6.07
ログインしたけど。
わたしは、することがなかった。
1日目は、メモリアへ行って、アロハの家へ遊びにいった。
アロハは、薬剤師だった。
家には、たくさんのハーブや根っこ、それに砂とか油とか。
乾燥したよくわからないものとか。
錬金術師というやつかもしれない。
部屋の中の匂いは悪臭に偏っている。
飼っているヤギとロバは、アロハの嫁入り道具だった。
ヤギのミルクも、薬に使うらしい。
ハセと2人で、2匹の家畜を連れた、遠くスピカの街からの旅の話も聞いた。
村には医者はいない。
病気になったときは、とにかくアロハ。
頼れるのはアロハだけのようだ。
2日目は、評議会の敷地へ。
出資金の受け取りに、ウィルツおじさんのテントを訪れた。
渡されたのは、片手鍋の蓋みたいな大きさの半透明コイン。
中央に大きく4と言う数字と、その右側に6個のゼロ。
額面は400万ジェノ。みたことのない大金だった。
これ1枚で4千万円。
怖いから、すぐにアルベールに渡した。
まだジェノは、ほとんど流通していない。
経済が回り始めるのも、1カ月くらい先らしい。
それでも、大工さんに材料費や給料を支払うことで、大工さんは買い物ができるようになる。
大工さんが買い物をしたお店も、得た利益で店舗を拡充し、販売の品数や種類を増やすことができる。
他にもいくつかのギルドが、最初の出資を得るらしい。
フォリオ・ノーメルシも、アルベールのハッタリで、信頼エレメントにおける、経済のキックスターターとなった。
しばらくは、お金をばら撒いて、信頼エレメントの経済に火を点ける。
エレメント・ノードの経済が動き始めることになる。
3日目。
ピエールが発見された。
遠くの森で、迷子になっていたところを、狩りに出ていたハンターがみつけた。
ピエールは、新しい家族の絵画を描き上げた。
森に棲む、ツグミの親子の絵だ。
めちゃくちゃカワイイ。
4日目の夜にログアウトした。
ログイン時間は、50分だった。
現実世界の時刻は、0時50分。
寝る。
4月21日、金曜日の早朝。
まゆさんからメッセージ2連打。
『22日は無理だよ! 飛行機に16時間乗るんだよ!』
『23日のお昼以降にして』
ごめんなさい。
世川君とは、学校では一切話さなかった。
まだ嫌がらせは続いているようだが、世川君は、わたしに助けを求めない。
イケメンだ。
助けてあげなくて、ほんと、ごめん。
世川君へのメッセージは、学校が終わってから送った。
『23日のお昼でもいい?』
『はい。どこに行けばいいですか?』
待ち合わせは、わたしの家の、最寄り駅にした。
また、ネカフェのカラオケブースでいいかな。
あ……
わたし、おカネない。




