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『あの世界』の常識に巻き込まれていく話  作者: 渡しログ
カラフルな『あの世界』
556/569

6.6.07


 ログインしたけど。

 わたしは、することがなかった。


 1日目は、メモリアへ行って、アロハの家へ遊びにいった。

 アロハは、薬剤師だった。

 家には、たくさんのハーブや根っこ、それに砂とか油とか。

 乾燥したよくわからないものとか。

 錬金術師というやつかもしれない。

 部屋の中の匂いは悪臭に偏っている。


 飼っているヤギとロバは、アロハの嫁入り道具だった。

 ヤギのミルクも、薬に使うらしい。

 ハセと2人で、2匹の家畜を連れた、遠くスピカの街からの旅の話も聞いた。


 村には医者はいない。

 病気になったときは、とにかくアロハ。

 頼れるのはアロハだけのようだ。



 2日目は、評議会の敷地へ。

 出資金の受け取りに、ウィルツおじさんのテントを訪れた。


 渡されたのは、片手鍋の蓋みたいな大きさの半透明コイン。

 中央に大きく4と言う数字と、その右側に6個のゼロ。

 額面は400万ジェノ。みたことのない大金だった。

 これ1枚で4千万円。


 怖いから、すぐにアルベールに渡した。


 まだジェノは、ほとんど流通していない。

 経済が回り始めるのも、1カ月くらい先らしい。


 それでも、大工さんに材料費や給料を支払うことで、大工さんは買い物ができるようになる。

 大工さんが買い物をしたお店も、得た利益で店舗を拡充し、販売の品数や種類を増やすことができる。


 他にもいくつかのギルドが、最初の出資を得るらしい。

 フォリオ・ノーメルシも、アルベールのハッタリで、信頼エレメントにおける、経済のキックスターターとなった。

 しばらくは、お金をばら撒いて、信頼エレメントの経済に火を点ける。

 エレメント・ノードの経済が動き始めることになる。



 3日目。

 ピエールが発見された。

 遠くの森で、迷子になっていたところを、狩りに出ていたハンターがみつけた。

 ピエールは、新しい家族の絵画を描き上げた。

 森に棲む、ツグミの親子の絵だ。

 めちゃくちゃカワイイ。



 4日目の夜にログアウトした。

 ログイン時間は、50分だった。

 現実世界の時刻は、0時50分。


 寝る。




 4月21日、金曜日の早朝。

 まゆさんからメッセージ2連打。


『22日は無理だよ! 飛行機に16時間乗るんだよ!』

『23日のお昼以降にして』

 ごめんなさい。


 世川君とは、学校では一切話さなかった。

 まだ嫌がらせは続いているようだが、世川君は、わたしに助けを求めない。

 イケメンだ。

 助けてあげなくて、ほんと、ごめん。



 世川君へのメッセージは、学校が終わってから送った。


『23日のお昼でもいい?』

『はい。どこに行けばいいですか?』


 待ち合わせは、わたしの家の、最寄り駅にした。

 また、ネカフェのカラオケブースでいいかな。



 あ……



 わたし、おカネない。



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