↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『あの世界』の常識に巻き込まれていく話  作者: 渡しログ
カラフルな『あの世界』
543/558

6.5.31


 噴水広場からメモリアへ。


 またやってしまった。

 ここは、おやしろではなく、レクサムコンフィの畑の前。


 そこで風呂桶のように、タオルと石鹸の入ったカゴを抱えて佇んでいた。

 ついでに、レクサムコンフィの家へ寄る。

 そして、モモを10個もらう。


「ねぇ、レクサム」

「おう。コンフィだけどな」


 確率5割なのに。

 まだ1度も当たらない。


「お風呂ある?」

「あるわけねぇだろ。外にタライならあるぞ」


「じゃあ、この近くに、池とか川ってある?」

「あの小川じゃダメなのか?」

「うーん、いいんだけど、もう少し村から離れた場所」

「南西に行くと、灯巫女川っていう大きな川があるが、どうした?」

「あかりみこがわ?」

「おう。大きな川だから、歩いて渡るのはムリだな」

「ふーん」


「念のため言っとくが、ひとりでいくのはあぶねぇぞ。なんか用事か?」

「うーん、そうだよね。なんでもない」


 コンフィからズタ袋を借りて、3度目のモモを10個を受け取る。

 両手でカゴを抱え、右手からズタ袋を提げる。


「7日くらいしたらまた来るね」

「そうか。7日といわず、いつでもいいぞ。シチリも会いたがってるしな」


 嬉しい。

 この村のヒトは、みんないいヒトだ。

 そうだ。次は、ショコラを貰ってきてあげよう。

 どんな顔してくれるかなぁ。


 そんなことを考えながら、畑を離れ、おやしろへ。

 酒場には寄らず、おやしろに直行する。

 距離は体感で3~4キロ。

 ズタ袋を提げる右手が疲れてくると、左手に持ち替えながら道を辿る。


 1時間くらい歩いた気がする。

 おやしろに着いて、荷物はいったん床に置く。

 ログインデバイスを出し、バケツだけもって、噴水広場へ。


 石像の足元から流れ落ちる水は、とても綺麗だ。

 ここで泳いでいるヒトはみたことないけど、そのままガブガブと飲んでいるヒトもマレに見る。

 いったい、どういう理屈でここに水が溜まっているのか。

 どうでもいいことだけど、こんどまゆさんに聞いて見よ。


 わたしは、バケツに水を汲んで、おやしろに戻った。


 水は綺麗だけど……冷たい……

 服を脱ぐと……寒い……


 タオルに水を浸し、石鹸をつけてカラダを拭く。


 はぁ……

 お風呂入りたい。


 カウント24のおうちの近くにあった池が恋しい。

 ソフィアや、まゆさん。

 ルカや、リュウタと浸かった、魔法の温泉。


 そうだね。

 そうしよう。


 わたしは目を閉じて。

 おやしろの中の空気を、サウナに変えた。


 あったかい……




 さっぱりして、噴水広場に戻ると午後の中盤。

 拠点まで歩き、先にモモを、ハンナちゃんに届けた。

 そのあと、石鹸とタオルのカゴを、フリッツに返す。


「それでは、お着換えをいたしましょう」

「うん……」


 クララに連れられて、またあのテントへ。

 どうやらこのテント。

 調理スタッフの仮眠室でもあるらしい。

 ミシェルも、ハンナちゃんも。そしてクララも。

 朝早くから、夜遅くまで、調理に没頭している。

 いつ寝ているんだと思うくらいだ。



 そのテントで、今日もドレスに着替える。


「お色はどちらがよろしいですか?」


 なんとクララは、2色のドレスを用意していた。

 かき氷のシロップみたいな、アイスブルー。

 水色よりもやや緑っぽい、ペールグリーン。

 どっちもいい色だ。


「こっちで」

 アイスブルーにした。

 ショートケープは、さらに白に近い水色。

 ブーツは薄茶色。

 ハーフアップの髪留めも、水色。

 造花ではないカモミールのお花がついている。

 いい香りだ。


 着てみると、なんだか、パジャマのようにも見える。

 でも、カガミは無い。

 今回も、自分で自分を見ることができない。


 最後に、細いソードベルトに剣を吊り、テントを出る。

 陽の角度は、まもなく夕方。


 ミシェルとハンナ。フリッツの姿がなかった。

 仕込みのため、先に現地に向かったらしい。

 代わりに、ルシアとタデクが待っていた。


「ミキ姫ちゃん、今夜もカワイイ!」

「おやめください。ドレスが汚れます」

 ルシアが抱き着こうとしたが、クララが止めた。


 ルシアも、タデクも、いつもと変わらない冒険者スタイル。

 タデクは、左腰に剣を佩いている。

 今夜もタデクは、護衛だね。


「タデク。ミキがセクハラ受けたら、すぐに助けなさいよ」

「あん? せくはら? なんだそりゃ。どういう意味だ?」

「サインを決めておきましょう。髪留めを触ったら助けてのサイン。それでどう?」


「嬢ちゃんが髪留め触っただけで、あのタヌキじじいが斬り殺されるのか。そりゃいいアイデアだ」


「えーっと……ぜったいに髪留めには、触らないと誓う」

「なんだよ。残念だな」

「みきの目の前で、血が飛び散るのはヤメて」


「……とにかく。今日は嬢ちゃんをしっかり守るからな。安心してメシ食ってこい」

「うん。助けてね、タデク」


 タデクが、とつぜん背を伸ばし、両足の靴底をカツンと打ち鳴らした。


「ナッホノルイ、ドゥシェ」

( Na honor i duszę. )


「うん?」

「ポーランド語は、ぜんぜんわからないわね」

「ポーランド語なの?」

「ポーランド語よね? タデク?」

「誇り高き騎士語だ」


「なんて言ったの?」

「今夜も小娘の付き添いかよめんどくせぇ、ってとこだな」


「騎士の誇りはどこよ」

「誇り高き騎士は、ウソをつかない」


 クララが言った。

「そろそろお時間です。参りましょう」

「うん」


「いってらっしゃいませ。みなさん」

 留守番はディル。

 ピエールの姿はない。

 あれから、見ていない。

 どこにいるんだろう。



 ルシア、タデク、クララ。

 4人で、評議会の場所へと出発した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。