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『あの世界』の常識に巻き込まれていく話  作者: 渡しログ
カラフルな『あの世界』
525/555

6.5.13


 テントから出た。

 タデクが、肩透かしを食らったような顔で立っている。


「あれ、ルシアは?」


 フリッツが辺りを見渡した。

「姿が見えませんね」

「ほっとこう。私達は、とっとと退散だ」

「それがよろしいですね」


「タデク」

「なんだよ、ちくしょう」

「機会はいくらでもある。いまは剣を研ぐだけにしておけ」

「……わかってるよ。軍団長閣下」


「そんなに悪そうなヒトじゃ、なかったと思うけど?」

「フッフフ。君がそう感じたなら、今日の会談は成功だ」

「ふーん」

「君のおかげで、すんなり200万ジェノを約束させた。よくやった」


 200万でも2千万円。

 このヒトたち、庶民の敵だ。


「あとは、フリッツ」

「ウィ、ムッシュ」

「5日後はおまえの戦場だ。やれるか?」

「問題ございません。ご予約の件。すべてこのフリッツにお任せください」


 ルシアを探したが見当たらない。

 アルベールはまだ用事があるというので、タデクとフリッツと3人で、先に帰る。



 戻るとすぐに、対策会議。

 5日後のディナー。

 なぜか、わたしも招待されている。


「ミシェル。明日の昼までに、メニューを考えてください」

「ウィ、ムッシュ。肉料理でよろしいのですか? ジビエはどうなるのでしょう?」


「そうですね……タデク様」

「うん?」


「ウサギ以外で、なにか捕まえることはできますか?」

「見かけたのは、イノシシ、アカジカ、アナグマ。少し遠いがヤマシギも見たな」


「アカジカがよろしいですかね」

「支配人。ヤマシギを食べ……調理したいです。ヤマシギにしましょう」

「本気ですかミシェル? 調理器具はフライパンと鍋しかありませんよ?」

「問題ありません。ポワレか、ロティで調理し、サルミソースで食べましょう。ああ……おいしそうです……食べたいです」

「あなたが、食べるわけではないのですが……」


「おいおい……森にこもって、ヤマシギを捕まえてこいってか」


「明日か明後日中に捕獲していただきたい。4羽、可能なら5羽」

「一晩中かかりそうだな……」


「それと、タデク様」

「なんだ」

「念のため、アカジカも1頭捕まえてきてください」

「まぁったく……注文がおおいな。オレ達も食わせてもらえるんだよな?」

「もちろんです」

「……わかった。捕まえて来よう」


「ねぇ、フリッツ」

「ウィ、マドモワゼル」

「みきもなにかお手伝いできる?」

「お嬢様のお手を煩わすなど、とんでもございません」

「えー、なんか手伝いたいよう」

「そもそも、お嬢様は、ご予約されているお客様ではございませんか」

「えー……っ」


「申し訳ございませんが、マドモワゼル」

「はい」

「まだ打ち合わせておくことがございますので、いったん失礼させていただきます」


「はい……」


 むーぅ。

 また、邪魔者扱いされてる気がする……






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