6.3.01 - 旅立ちの前に
お掃除は、暗くなってきたところで切り上げた。
といっても、わたしがガラクタ認定したものを外に出しただけで日が暮れた。
お腹もすいたし。
お風呂にも入りたい。
だから、ログアウトした。
ベッドはまだほこり塗れなので、床の上で。
ニフィル・ロードにいたのは50時間。
ログインしたのは30分。
お母さんが買い物に出かけて、まだ1時間くらいしか経ってなかった。
まゆさんにメッセージしとく。
シェイプシフトデバイスのメモリアは、パパから受け継いで、おにいちゃんが使っていたデバイスの、過去の世界だった。
それをまゆさんに伝える。
そして、ルシアが来てくれたこと。
150年前からログインしてるポーランド人のこと。
伝えたいことたくさんあるなぁ。
やっぱり会いたいなぁ。
まゆさんに。
わたしが、長文を送ったら、すぐに返事がきた。
いま、日本は午後の15時だけど。
ボストンは何時なんだろ?
『ルシアがいたの? どういう繋がり?』
『よくわかんないけど、おにいちゃんに言われて来たんだって』
『じゃあ、総司はまだどっかで生きてるんだね』
『うん、そうみたい』
『連絡ないの?』
『ぜんぜんないよ』
『カウント25にログインしたらいるかなアイツ。あのデバイスは総司が持ったままだよね』
『うん。そうだよ』
『わたしもまだ、忙しくてぜんぜん行けてない』
『まゆさん、そっちの生活はどう?』
『すでにホームシックだから、5月に1回帰る』
『ええ、なにそれ。大学は?』
『学校は9月からで、いまは慣らしだから大丈夫』
『そうなんだ。じゃ、また会えるね』
『ん。いろいろ聞かせて。カウント22のこと』
『うん。あ、ところでさ』
『なに?』
『みきのパパとママって、どのエレメントだと思う?』
10秒くらい間があってから返信。
『信頼か知恵だろうけど、どっちだろうね。もう選んじゃった?』
『うん。信頼にした』
『知恵な気がする……』
『えーっ、なんで?』
『うーん、なんとなく』
『信頼にしちゃったよう』
『ええ、なんで』
『なんとなく』
『知恵にいるんだとしたら、また大冒険だね。いいなぁ。わたしも行きたい』
『まゆさんにも来てほしいよぅ』
『じゃあ、カウント25でシェイプシフトデバイス狙う』
『あはは、おにいちゃんの神様に勝てるの?』
『ん……ムリかも』
『カウント25は、ポンタさん達を手伝うんでしょ』
『ん、そうだった』
次の文字を打っていたら、まゆさんから続けてメッセージ。
『知恵か信頼か、カウント25に入って、ポンタに聞いてみようか』
『あ、聞いてほしい!』
『っていうか、なんで、聞かなかったの24で』
『だって、あんな急に終わるなんて思わなかったし』
『そうだね。シェイプシフトデバイスが手に入るかどうかも、わかんなかったんだしね』
また、まゆさんのメッセージが続く。
『ん、もう寝る。明日、お昼からバイトあるから』
『バイト? って、ボストンは今何時?』
『夜中の2時』
『うわ、ごめーん』
『大丈夫。いつも起きてる。午前中はいつも寝てるけど』
『あはは。わかった。じゃあ、おやすみ』
『おやすみー。がんばってね、みきさん』
まゆさんとの、長いSNS。
バイトって、なんだろ。
どんなバイトしてるのかな。
聞きたいけど……
明日にしよ。




