6.2.13
ガロムちゃんは、仕事があるからと言って、酒場に戻った。
わたしは、おやしろの探索を続ける。
中途半端な密室の中でほこり塗れ。
具合が悪くなりそうなくらいだけど、問題ない。
ここはニフィル・ロード。
病気になったら、ログアウトすればいい。
目が慣れてきたので、部屋の奥の方もうっすらと見えている。
ハンガーラックに掛かっていたのは、穴だらけのマント。
それと胴衣と袴。黒カビでくすんでいる。
この衣装は、パパが記憶の回廊で着ていたのと同じものだろうか。
きっとこの部屋は、22年か23年。放置されていたんだと思う。
長い年月、だれも訪れなかった、パパの家。
見上げると、2階の床が見える。
半分以上が吹き抜けになっていた。
奥に細い階段があって、そこから上がれる。
わたしは、壊れないか注意深く確認しながら、薄暗い階段を昇った。
ギシギシとお約束のような木の階段のホラーサウンド。
2階は狭い。1階の3割くらいのスペースしかない。
そこにあるのは、ベッド。
それと椅子がセットになった机。
棚もひとつある。
机の上にはなにも置かれていない。
棚には、小さな木彫りのお人形さんが飾られている。
ドレスを着た女の子の人形かな。
引き出しを開けたが、暗くてよく見えない。
そうだと思い出し、ログインデバイスを出した。
デバイスの灯りでも、少しは見えると思う。
そしたら!
パっと明かりが点いた。
とても明るい白色灯。
現実世界と同じくらい明るい光。
見渡すと、天井と壁のつなぎ目のところに小さな石。
あれは、室内専用の魔法の電灯だ。
ログインデバイスの作動に反応して光る石。
カウント24のまゆさんちにもあったやつ。
すごい!
すごいすごい!
パパも、魔法が使えたのかな。
それとも、ママからもらったのかなぁ。
とにかく、部屋が明るくなった。
2階の床の上から、あらためて室内を見渡した。
吹き抜けになっているから、1階もよく見える。
1階の壁際に並んでいたのは、いろんな木を削って作ったような木刀。
その脇の棚には、斧とかノミとか、工具がたくさん並んでる。
ぜんぶホコリをかぶってるし、斧のノミも、ここからでもわかるくらいの茶色。
錆び錆びだ。
ベッドもほこりまみれだった。
見た目は普通のベッドだね。
こじんまりとした、ひとり用の木枠のベッド。
ふれてみると、カサカサの掛け布団。でもその下からマットレスの弾力。
やっぱり、普通のベッドだ。
でも、手をもどすと、手がほこり塗れだった。
これは。
掃除だ。
それしかない。
このおうちを、ピカピカにしよう。
そう意気込んだところで、わたしはまた、途方に暮れた。
いくら探しても掃除道具がない。
木のバケツはあるけど、外に井戸もない。
水は、近くの川か井戸を探さないといけない。
雑巾は……
あれでいっか。
ハンガーに掛かってる、穴だらけのマント。
それと、糸がほつれまくった、カビだらげの道着。
見渡すと、使えそうなのは、ベッドや机といった家具。
それとオイルランタンくらい。
あとは全部、ゴミ……だなぁ。
引き出しの中には、きんちゃく袋。
それと、錆びたナイフが1本。
きんちゃく袋は、ズッシリとしている。
中には、錆び錆びのコインが入っていた。
たぶん20枚くらい。
見た目は、アロハに見せてもらったコインに似てるけど。
例外なく錆びてザラザラだった。
たぶんおカネだと思うけど。
使えるのかなコレ……
まぁいいや。
とりあえず、ゴミを外に出そう……




