↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『あの世界』の常識に巻き込まれていく話  作者: 渡しログ
シェイプシフトデバイス
460/589

5.9.03


 食事を済ませて。

 ブラシでリュウタをグルーミング。


 旅の間は、ほとんどしてあげられなかったから。

 だから、今夜は、たっぷり梳かしてあげる。

 とくに背中を重点的に。


 リュウタはとっても、気持ちよさそう。

 ときどき、後ろ足を、くいくいと動かしている。


 ふふふっ、かわいい。


 グルーミングしながら、魔法でリュウタの感覚を繋いだ。


 リュウタの記憶。

 それを、見せてもらう。



 あのあとなにが起きたのか。

 リュウタが見たもの。感じたもの。嗅いだもの。


 それを全部みた。


 最初に見えたのは、おにいちゃんと……リュウジさん?

 必死になって、リュウタを呼んでいた。

 その横で、まゆさんが、祈っている。

 どこかから、わたしの声も聞こえる。


 だからリュウタも、仕方なく、おにいちゃんの背中に飛び乗った。


 そのあと、ルミナス・コアへ。

 そして。ルカの死。

 未希を追いかけてきてくれたルカが、最後にわたしの匂いを嗅ぎながら死んじゃった。

 お腹をすかせたまま、冷たくなっていくルカの匂い。

 そのルカと、お別れをするリュウタ。



 それから、ソフィアが倒れて。

 わたしと、リュウタが弾き飛ばされた。

 でも、リュウタがわたしのクッションになった。

 痛いっ……わたしの下敷きになるリュウタの痛み。

 けど、安心するリュウタの感情。


 そしたら、まゆさんが、血塗れになってて。

 おにいちゃんと、なにか話しているけど。

 リュウタには聞こえない。


 そのあと、おにいちゃんが、立ち上がって、剣を抜いた。


 あれが、神様?

 匂いがしないから、リュウタには誰だかわからない。

 でも、リュウタが感じた、神様の魂の色が、まゆさんと同じ色。


 最後の瞬間だけ、ちゃんと見えなかった。

 リュウタの目に映っていたのは、お人形さんみたいに眠りこけてるわたしの顔。

 リュウタはずっと、わたしのほっぺを、心配そうに舐めていた。


 そして、わたしといっしょに、光の中へ。




 記憶を見てる途中も。

 見終わった今も。

 

 涙が止まらなかった。


 なきじゃくるわたしを見て、リュウタが耳を寝かせて心配している。

 涙を拭いてから、右手を叩いて、ログインデバイスを出す。


『 ELAPSED 00:03 』

『 Remaining Stay 69:52 』


 まだ3分。

 残り時間は、69時間。


 記憶の回廊に行く文字は表示されていない。

 おにいちゃんが、ぜんぶ壊しちゃったのかな。


 おにいちゃん、すごいなぁ。

 シェイプシフトデバイスは、どうなるのかなぁ。


 もう、おにいちゃん、どこ行っちゃったの。


「キャンっ……」

「あ、ごめん」


 ブラシで引掻いちゃった。

 リュウタのお腹の毛。


「ごめんね、ごめんごめん」


 明日が寝不足になっちゃうけど、いいよね。

 このまま、リュウタと、いっしょに過ごそう。


「リュウタ、あしたは何が食べたい?」



 ジャーキー、生肉、骨付き肉……


 えーっ。

 さっき、あんなに食べたじゃん。


「みきはもう、お肉はいいよぅ……」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。