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『あの世界』の常識に巻き込まれていく話  作者: 渡しログ
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5.2.06 - 捜索任務


「それで、仕事の依頼ってなんだ」

 こういう話し合いの担当はオレだ。


「エレメント・ノードに潜伏している、裏切者の捜索だ」


「裏切者って確か……アメリカ人とスペイン人の3人」

「そうだ。おまえ達も、顔くらいは覚えているだろう」


 最初の旅で、未希とストームにちょっかいを出してきた、スペイン人のふたり。それと、アメリカ人のエルハムとかいう男。

 おぼろげだが、覚えている。


「まだ生きてるのか。その3人は」


「どこかに潜伏している。これまでにも、何度も妨害工作を仕掛けてきている連中だ。ヤツらを排除しないかぎり、旅は安全にならないし、エレメント・コアの開放もできない」


「そいつらを探して、殺せばいいのか」

「君らの身の安全を優先してかまわないが、可能なら生け捕りにして尋問したい」

「……尋問ね」


「エレメント・ノード内の脅威を排除が優先だ。しかし可能なら、彼らがどこのエレメントのスパイなのか。なにが目的なのか。それを把握しておきたい」


「大軍を派遣するんじゃだめなのか?」

「不用意に大勢を派遣しても、また罠に嵌められて虐殺されるだけだ」

「オレ達にだって、その危険はあるだろ」


「君らは精鋭だ。捜索能力も高く評価している。今回の捜索任務でも、最適な存在だと私は考えている」


「オレ達4人だけでいくのか?」


「今回もミラーを連れていけ。

 それと、スペイン語の通訳ができるものを同行させる。

 アッシュバレルからも、別動隊を出す手はずになっている」


「別動隊?」

「守備隊から選抜される精鋭だ。10人前後の予定だが、アッシュバレルの守備隊は、最も実戦経験豊富なプレイヤー達だ。君も含めてな」


 ダメだな。

 いずれにしても、危険な任務だ。


 潜伏している3人はずる賢く、凶悪。そして残忍だ。

 今日まで、何カ月も森のどこかに潜伏し、エレメント軍に被害を与え続けている。

 たった3人に、百人以上のプレイヤーが退場させられている。


 しかも、あいつらは、銃に似た武器を持っている。

 何百メートルも先から狙撃してくる連中だ。

 リスクが高すぎる。


「悪いが、その任務は」

「……いいよ。やろうよ」


 オレの言葉を遮って、ストームが、声を上げた。

「おい……ストーム」


 ストームがアーネストに尋ねた。

「潜伏している3人は、敵対エレメントのプレイヤーなんだよね?」

「そうだ。確実なことはなにも言えないが、他のエレメントに関わりがある可能性は高い」


「おい、ストーム。リスクが高すぎるぞ」

「大丈夫だよ。わたし達のほうが強い。それにわたしも、その3人に聞きたいことがある。見つけ出して捕まえる」


「どっから湧いてくるんだよ、その自信は」


「ソフィアもいい? 危険だから今回は外れてもいいよ?」

「あら、ひどいわね。行くにきまってるでしょ。私も好きよそういうの。楽しまなくっちゃね」


「みきさんは、絶対必要だから来て。リュウタもね」

「うん。面白そうだね」


 こいつら。

 楽しいだとか、面白いだとか。

 オレには嫌な予感しかしない。


「話はまとまったようだな。旅に必要な物資は、こちらで全て用意する。準備が整いしだい、捜索に向かってくれ」

 アーネストが立ち上がった。


 用が済んだと言わんばかりに、背中を向けて歩き始めた。

 去り際に、顔だけオレのほうを向けた。


「ヤツらは狡猾だ。出し抜かれるなよソウジ」



 いや、オレは。

 行きたくないんだが。



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