第86話 みんな試験勉強をしていないのである
無事、調理実習が終了した。
やれやれ、死人を出さなくてホントによかったわー。
コーデリア・セイジクラウン先生からもめっちゃ感謝された。
本当に胃が痛かったらしい。
先生の胃の痛みの半分くらいは私のせいかもしれないので、聖水をあげたよ。
でも、精神的なものだとしたら効くかわからないな!
*
もう少しで王都に来て二度目の冬期休暇だ。そして感謝祭だ。
今年もやろうと話している。
そんなところに下僕スコール・ボクシー君が現れた。
「僕も参加させてください!」
……って。
みんなが顔を見合わせる。
うん、困ってるよね。私も困ってる。
正直に言えば、
「クラスメイトでやってるからさ、君は君のクラスの子たちとやりなよ」
ってズバンと告げたいのよ。
でも……この子、クラスで浮いてるじゃない?
だから二年生の私たちに交じりたがっているのかもと考えると、言いづらい。
しかも、将来は魔法士団じゃなくて冒険者を目指してるんでしょ? だからこそギークリーさんのクランに入りたがっているみたいだし。
つまり、団体行動ができなくても、最悪ソロで冒険者をやれればいいし、魔物が狩れるのならちょっぴり情緒不安定で言動がおかしくても問題ない。
……なので、学生時代に思い出を作りたいって考えて私たちに交じりたがっているのかなと思うとね……。
悩んだ結果、うなずいた。
「…………いいよ」
「ありがとうございます!」
喜んでいるので、みんな『しかたないか』という気持ちの笑顔になった。
冬期休暇が迫ってくるということは、冬期試験も迫っているということ。
実技は満点の私、筆記試験も満点を取りたい!
……なんだけど、習ってない問題が出るのよねえ。
こればっかりは、今の学園の授業(補習を含む)だけではどうにもならないので、図書室で参考書を読み漁るしかない。
レイヴン以外の他のメンバーは、そこまで点数にこだわっていないようで、あまり試験勉強をしないのよ。
いや勉強はしているんだけど試験勉強じゃなくて好きな勉強をしている。
シエラは植物に関しての勉強、クリス君は魔法に関しての勉強、他のみんなもめいめい試験に関係ない勉強をしている。
「試験勉強はしないの?」
って聞いたら全員にキョトンとされたし。
「筆記試験は、貴族科用だよ。魔法科の生徒がいい成績をとっても特に何があるってこともないし、悪い成績をとっても何かあるってこともないから」
と、クリス君が教えてくれた。
レティシアものんびりと付け足す。
「私たちは~、就職先が決まってるから~。そこで役立つ勉強はするけど~、試験のための勉強はしないかな~」
あ、そういう考えね……。
この辺り、前世の私の記憶に引っぱられているのかな。
じゃあレイヴンはなんで勉強してるのさ?
『調べ物はもういい』って言ってなかったっけ?
って思ってレイヴンを見たら、肩をすくめたんですけど。
「もしかして私の勉強している理由か? 言っておくが、私も試験勉強をしているわけではないよ。冒険者は、知識が豊富なほうがいい。経験の浅い私は、それを知識で補う。だからさまざまな書物を読み、知識を増やしているんだよ、リリス」
「あっ、それはそうだね。理解した」
その結果、たまたま試験勉強につながる問題が出ただけなのか。
となると……レイヴンの知識量がハンパない可能性があるわ。
「そうなんですのね!?」
とはフレイヤ。
うん、フレイヤはもっと勉強したほうがいいよ! 特に一般知識をね!




