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【書籍化】脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。(web版)  作者: サエトミユウ
7章 聖属性の魔法使い、2学年になる!

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第72話 問題児が現れたのである

 クリス君がそうだ、と思い出したように話題を振った。

「今年の新入生、すごいのがいるんだってよ」

 その場にいる全員がクリス君を見た。

 どうすごいのかを言え、って目だね。


「魔力測定の時、いきなり大声で『英雄ガレスになりたい!』って叫んだんだって。大注目されたらしいよ」

 今度は私が見られた。

「目指したいなら目指せばいいんじゃない? 私は関係ないし」

 知らんよ、そんな新入生。

 私は興味なし、レイヴンも同じく。

 フレイヤはちょっと眉を顰めているな。

「……なぜ、そこで叫んだのでしょうか。目指すのは本人の勝手でしょうが、大勢の前で言わずとも黙って目指せばよくありません?」

「その通り! さすがフレイヤ!」

 私も思いっきり同意する。

 フレイヤが苦笑した。

「ここから先は憶測ですが、その叫んだ子息は何かしら含むところがあったんじゃないかと考えますわ。その場で叫ぶことで話題に上り、こうやってリリスの耳にも入るでしょう?」

 と、説明してくれる。

「うわー姑息。それって絶対私に何かしら期待してるじゃん」

 関わらないようにしようと誓ったね!

 フレイヤが私を宥める。

「リリス、推測ですから。気が高ぶって叫んだのかもしれませんわ」

「魔力測定で気が高ぶるって何さ。父様は剣士よ?」

 魔力もあるらしいけど、父様の凄さは剣術だ。魔法は使えるにしろ魔法使いを目指していたわけじゃないよ。

 シエラが首をかしげる。

「あれ? リリスは知らないの? 英雄ガレスは魔法も凄いのよ。オリジナル魔法のようなんですけど、高威力で広範囲の魔法を使うの! まさか属性なしとは思わなかったしリリスから聞く限り初級魔法のアレンジのようなんだけど、それにしても特大魔法レベルの魔法を使うんだよ!」

 シエラが目をキラキラさせて語ったよ。

「えっ、そうなんだ!? 見せてもらったのはどれも初級魔法だったから。……たぶん」

 そういえば……詠唱らしきものはあんまりしてなかった気がする。あ、でもコーデリア・セイジクラウン先生もケルベロス戦のとき、短い詠唱だったよな。当主様は話を聞く限り独学っぽいし、オリジナルは短いのかもしれない。


 そんな話をしていたら、新入生の話は消えてしまった。


 ところが!

 新しいクラスできゃいきゃい話していたときに、クラスにズカズカと入り込んできた奴がいたのよ!

 全員、啞然。

「私は、スコール・ボクシー! 英雄ガレスになる者だ!」

 叫びだしたんですけど……。

 これは、確実にヤバい人です。

「ここに、私のライバルがいると聞いた! 名乗ってもらいたい! 互いに切磋琢磨しよう!」


 そんな奴はいないでしょ。

 ……って全員が思ったが、ふと気づいた。

 そういえば、初対面の自己紹介で近いことを言った令嬢がいましたね……。

「冒険者になりたい」とかなんとか……。


 レイヴン以外の全員がそれに思い至ったのでしょう。

 一斉にフレイヤを見た。

「ち、違いますわよ! 私は『冒険者になりたい』とは言いましたが、ガレス様に憧れているだけですわ! なりたいなどと思ったこともございません!」

 懸命に否定するフレイヤ。

「そうか、貴女か。……まあいい、顔は覚えておく」

 空気の読めない彼は、上から目線でフレイヤに言ったよ。

 爵位が上なのかな? フレイヤより上だと侯爵家とかになるけど。

「覚えなくて結構ですわ。あと、上級生に対しての態度ではありませんわよ」

 フレイヤが笑顔で窘めた。

 すると、スコール何某君は怪訝な顔をする。

「だって、男爵令嬢だろう?」

「いいえ、伯爵令嬢です」

 その返答を聞いて、スコール何某君は眉根を寄せてひと言。

「じゃあ、違う」


 フレイヤが微かに眉根を顰めた。

「……もしかして、下心があってのその発言ですの? 褒められたものではないですわよ。だいたい、わざわざ宣言することなど一つもないでしょう。――本当に憧れて目指しているのなら、黙って目指しなさい!」

 フレイヤが厳しく言うと、スコール何某君は固まった。

 そのままフレイヤを凝視しているので、フレイヤが脅えて一歩下がる。

 これは、何かやらかしそうだなと私は腰を落とし、レイヴンもさりげなく前に進んできたよ。

 あ、クリス君がさりげなく教室を出ていった! 恐らく教師を呼びに行くと思われ。

 緊張感のある数十秒が流れ……。

 誰かが教室に飛び込んできて、スコール何某君の腕を掴み、引っぱった。

「こんなところに来ちゃダメじゃないか! 行こう!」

「うん」

 急にスコール何某君は動き出し、そのままおとなしく教室を出ていった。

 全員が呆然と連れ出されていくスコール何某君の後ろ姿を見送ったよ。


「ナニアレ……」

「暴れ出すかと思ったのに」

「何事もなくてよかった、としておこうか」

 レイヴンが締めくくり、全員がうなずいた。


 お知らせです。

 去年、mixi2異世界恋愛作家部の企画で投稿した中編作品が、このたび発売になりました!

「余りもの令嬢と訳あり令息は意外と相性が良いようです」

 レーベルはツギクル様です!

https://ncode.syosetu.com/n0444kc/

 作者初の異世界恋愛作品の出版となります。

 web版から大幅加筆改稿となりまして、内容もちょっと変わりました。

 何卒よろしくお願いします!

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2026年8月17日 電撃の新文芸より発売
脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。2


著者:サエトミユウ / イラスト: とよた瑣織



― 新着の感想 ―
転生者なのかな? そもそもガレスになると言ってもガレスは元気だしなあ
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