表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。(web版)  作者: サエトミユウ
6章 聖属性の魔法使い、バケーションで追いかけ回される!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/71

第70話 パパと約束したのである

 あの査問会の後、ケイラお嬢様は実家に戻されたそうなんだけど……塞ぎ込んでいて部屋に閉じこもっているらしい。

 当主様から最初に聞いた話だと、話し合いをして、ショックを受けたようだが納得したようだと言っていたのよねー。

 だが実際は、ずーっと部屋にこもってたらしい。


 奥様がどうしたものかと悩んでいたら、私の名前でお菓子が送られてきたそうな。

 奥様はケイラお嬢様を励ますために、王都の焼き菓子を取り寄せたので食べようと言って部屋から連れ出し、お茶を淹れて食べたら……毒入りだったそうな!


「毒入り菓子なんて送ってないよ!」

「当たり前だろ。お前が送る理由がねぇ。恐らく闇ギルドか依頼した奴の仕業だ。……俺を、領へ帰したいんだろ」

 そういうこと……。


 奥様は倒れ、ケイラお嬢様は奥様の様子を見て悲鳴をあげすぐ吐き出した。

 悲鳴を聞いたママンが駆けつけ、私謹製の聖水を飲ませてなんとかなったそうだけど……。

 ケイラお嬢様は吐き出したので軽症、だけど奥様は寝込んでいるらしい。

 ママンがずっとついて看病しているそうだ。


「私、領へ行きます」

 私が言ったら当主様が首を横に振る。

「いや、いい。罠かもしれん。俺が行く。ただ、水をくれ」

「たっぷり持ってってください!」

 即答した。

 

 でも、ホントに行かなくていいのかな……。

 学園なんかより奥様とケイラお嬢様、そしてママンが心配だよ。

 私が行けば、一発で治せるし。


 私の顔を見て、当主様が頬をつねった。

「そんな顔をすんな。……学園のほうがまだ安全だ。少なくともお前を殺すために大勢で押しかけ皆殺しにするようなことはしねーだろ。あそこは貴族の子女を預かるから、けっこう防犯が厳しいらしいぞ。だからこそ、手をこまねいた挙げ句召喚の魔法陣でケルベロスを呼んだんだろうしな。ただ、手引きした内通者はいる。学園も警戒しているからうかつに仕掛けてこねーだろうが、気をつけろよ」

 安心はできないけどね。


 学園が始まるまではロムルスさんがついていてくれるそうだ。

 当主様は去り際、私を振り返り、逡巡した後に言う。

「……闇ギルドの仕業だと仮定して、もし俺とロムルスの取りこぼしが領に向かっちまった場合……。これから向かっても間に合わねぇかもしれねぇ。覚悟だけはしといてくれ」

 ……私、血が引いたと思う。

 私の顔色を見た当主様がすぐに続ける。

「お前は死なないっつったから、俺はそれを信じる。信じて領に向かう。間に合ったなら、お前の母親も、コンスタンスもケイラも、絶対に守る。……間に合わなかったら、お前を迎えに行く。そして、闇ギルドの残党を狩りだし、殲滅する。その後、国を出る」


 私はうつむき、小さくうなずいた。

「…………パパ。お願い、みんなを助けて」

「わかってる」

 当主様が戻ってきて、私を抱きしめた。

「お前は死ぬなよ。俺は、お前が『殺しても死なない』って言葉を信じてここを去るんだからな」

「それは大丈夫。心臓を貫かれても首を切られても瞬間治癒するし、毒も効かないし。……だから、私も行ったほうがいいと思うんだけどな」

 最後、小さく付け足したら当主様は首を横に振る。

「五割の確率で罠だ。――コンスタンスが即死しなかったっつーことは、俺とお前を領に帰したいってことだと考えるのが妥当だ。連中がお前の聖属性の魔法を知らないで毒入りクッキーを贈るわけがないからな。ただ……お前の魔法の実力を舐めてかかったってのはあるかもしれねーから、半々だ」


 体を離すと肩をつかまれ、真剣な顔で諭された。


「いいか、お前はちょっと自惚れてるところがある。俺からしちゃ、全然まだまだなんだよ。同年代の周囲と比べて抜き出てても上には上がいて、お前が殺しても死なないって豪語しようとも、俺はお前を簡単に殺せる。ロムルスにさえ敵わないだろう。その程度だ。だから、お前は用心を重ねて隙を見せないようにしろ。わかったな?」


 う、耳が痛いことを言われた!

 しぶしぶ私はうなずいた。

「……わかった。今シーズンはできるだけレイヴンと一緒にいるようにする。コーデリア・セイジクラウン先生に言って、常にセラフと一緒にいられるようにもするよ。じゃなけりゃ危険なので自主退学しますって言えば許してくれると思うし」

「そうしろ。……じゃあな」

 ようやく当主様が去っていった。


 ……ということで、レイヴンにも話を通しておかないとな。

 孤高のレイヴンには悪いけど、じゃないと当主様が心配するし。

「――というわけなんだ。レイヴンは迷惑かもしれないけど……」

「いや? 私はリリスとパーティを組んでいるし、こちらこそ学園でも共に行動したいと考えていたのでちょうどよかった」

 レイヴンに話したら、軽く了承されたので拍子抜けした。

 慌てて付け足す。

「探し物、私も付き合うよ」

「それはもういいんだ」

 と、レイヴンに軽くお断りされたので驚いた。

「え? ……いいの?」

 あんなに探していたのに?

「ちょっとね。……それより、金を稼ぎたいな。リリスともっと親密な関係になって二人の結びつきをより強くしたほうが成果が出る気がするから、学園生活でも常に君のそばにいることを誓うよ」

「…………」

 あいかわず、絶好調だね!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2026年2月16日 電撃の新文芸より発売
脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。


著者:サエトミユウ / イラスト: とよた瑣織



― 新着の感想 ―
闇ギルドの依頼人は誰なんでしょうね?王国中枢は無さそうだし英雄の力を知る高位貴族も無さそうだし、中位以下の貴族は単独じゃ資金的にも無理そうだし。 教会とか他国とか貴族で連合を組んでるとかでしょうかね?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ