第69話 パーティ名を考えたのである
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「……ってことでさあ。結局蛇は狩りに行けなくなった。父とロムルスさんとで厨二病……じゃなかった、闇ギルドを撲滅するんだってさ」
戻ってレイヴンに伝えると、レイヴンがお腹を抱えて笑ってる。
「……ちょっと……リリス、やめてってば……」
レイヴンって笑い上戸だよね。
でも、ガッカリするかと思ったからよかったけど。
「あと、ちゃんと謝るね。騙してごめん。ロムルスさんがちょっとかわいそうになっちゃったのと……うちの父と正反対だったから。……父様は、貴族令嬢が苦手だからって弁解して、私の腹違いの姉のケイラお嬢様から逃げて、ちゃんと向き合ってあげなかったの。だから夢見がちな子になっちゃっててさ……。それもあって、一度話し合ってほしかったんだ」
私が頭を下げると、レイヴンが笑うのをやめた。
そして私を見る。
「……そうか。私も話さなかったから、リリスには気を遣わせたな。事情を説明するよ」
そう言うと、一つ呼吸を置いて語り出した。
「私には、兄がいる。歳が離れているし、かわいがられていた。幼少期は仲が良かったんだ。私も兄が好きだった。……当然歳の離れた長兄がいるんだ。彼が次期当主になるのは当たり前だろう? 今までそう期待され、そう育てられてきたんだから」
「あ、うん。もちろんそうだね」
私はうんうんとうなずく。
そりゃあそうだよ。うちで言うなら先に生まれた上に正統な血筋のケイラお嬢様が男爵家の後を継ぐのが当たり前だからね。そういうものでしょ。
レイブンが、「ところが」と続ける。
「くだらない理由から私を後継にするべきだという声が上がってきた。私が父の容姿と似ている、そして風魔法が得意、それだけでだ! 意味がわからないだろう!?」
「わかる。すっごーくわかる」
もはや赤べこのようにうなずいている私。
「私が父を嫌う理由は、もともとの後継である兄をないがしろにしたからだ。私には次期当主になる野心もないし、そもそも長兄を差し置いて、私を後継に据えようとするのが気に入らない。……出奔した理由は他にあるのだが、父がガレス殿の依頼を受けてここに来た理由のは、私を説得して辺境伯領に戻し、後継に据えようとしているからなんだ。だからリリスに『放っておいてくれ』と頼んだ」
そういうことなのね……。
「うーん、ロムルスさんがやり手だったわ。私に向かって『娘に冷たくされている、溺愛しているけど年頃で扱いが難しい』って嘆いたから、よけいなお節介をしちゃったんだよ。……溺愛した結果、当主にしようとしてんのか。そりゃあ嫌だねえ」
全面的にロムルスさんが悪い。
レイヴンが濁して逃げることはないから、言っても無駄って思われるほどしつこくしたか、言わずに画策したので怒って出奔したかでしょう。
「話してくれてありがと。レイヴンがもう二度と話したくないのなら、私は協力するよ。私だって、ケイラお嬢様という正式な娘がいるのに浮気してできた私を後継にする、とか当主様が言い出したら嫌だもの。ロムルスさんはレイヴンのことがかわいいのかもしれないけど、そこはキチンとしないとダメでしょ、って私も思う」
私がそう言うと、レイヴンが笑顔になった。
「……ありがとう」
「二人で冒険者になろうよ! 私も父様みたいに、世界を旅してみたいんだ! ドラゴンも倒してみたいし!」
私がそう言うと、レイヴンは笑顔のまま、手を出した。
「なら、お互い次期当主にならないよう、改めてパーティを組もう。よろしくリリス」
「ん! よろしく! パーティ名は『お互いパパから愛されててつらいよね』は、どう?」
レイヴンの手を握りながら私が言ったら、
「絶対、嫌」
って返されたー。
*
その後、当主様とロムルスさんが闇ギルドを壊滅したと聞いた。
「見たかリリス!」
当主様が自慢げに言う。
「さすがですね!」
よくわからないけど、拍手した。
「依頼人を捜し出せなかったのが心残りだが、闇ギルドに頼れない以上、自分の伝手でやらねばならない。依頼人の名を伏せられるのは闇ギルドしかないからな。冒険者ギルドにそんなことを頼めばすぐにバレるし、傭兵も同じだ。ならば、個人的に頼むしかない」
ロムルスさんが言うと、当主様がうなずいた。
「ここを襲ってくれるなら、捕まえて依頼人を必ず吐かせる。学園に忍び込んだとしたら、王家の暗部が動くだろ。継承権を外れたとはいえ王子サマがいらっしゃるからな」
そうなんだ?
当てにならなそうだけど、ま、いっか。
ということで、平和に学園に行けそうだと思っていたんですけどね……。
またしても、とんでもない事件が舞い込んできたのだった。




