第49話 帝国侵攻
そろそろ日没の時間、真っ赤な夕焼けのころ、サルマン国王と航海士が戻ってきた。
陽が沈む前には戻るという国王の話通りの時間だ。
「おう、食事の具合はどうだい?」
「最高ですね。あれを食べたら船内食には戻れないですよ」
「そりゃ最高だ。ビールもたっぷりもらえたか?」
「そこはもう奮発していただきました」
航海士は国王に頭を下げた。
サルマン国王だが、さきほどまでと比べると少し緊張した面持ちだ。
「少し遅くなってしまい、申し訳ない。本当は我々全員で見送りたかったのだが、悪い報告が入ってしまってな。今は対策を協議中だ」
「悪い報告か。俺たちも聞いていい話か?」
国王はうなづいた。
「もちろんだ。帝国軍が侵攻を開始した。推定5万の兵が南下を始めた」
艦長が口笛を吹いた。
おそらく5万という数字への反応だろう。
「それから帝国補給部隊への攻撃が失敗した。部隊は壊滅的な損害を被ったのだが…」
航海士が言葉をつづけた。
「どうやら戦車が出たらしい」
艦長が妙な顔をした。
「戦車だと? まさかキャタピラ付きの?」
「まさかな。おそらく浮揚型じゃないかな」
「どちらにしても古いものを持ち出してきたな」
ガルドが手を挙げて、質問した。
「すまん、戦車とはなんだ?」
艦長が謝った。
「すまん、説明しねぇとな。物理シールドで守られた戦う馬車だな。ただし馬で引くんじゃなくて、中にいる魔法の力でちょっと浮いてるのさ。泥道でも自由に進めるぞ」
「例の浮遊カートみたいなものか」
「まぁな。そいつに分厚い装甲とでっかい砲をくっつけた兵器だな」
メグも、ちょっと腑に落ちていなかった。
「でも、最近は使われないわよね? どうしてなの?」
「まぁ、動きが遅いからな。今や強力な対結界弾やブラスター弾があるからな。でっかい的になっちまった。しかも強力な大砲も、今の歩兵なら避けるのは簡単だしな」
「我々には対抗手段があると考えて問題ないか?」
サルマン国王の質問だ。
「うーむ、対抗は不可能じゃねぇが、分が悪りいな」
艦長の答えを聞いて、ガルドは少し考えこんだ。
「つまり、こっちの被害が大きいということか?」
「戦車一台なら戦いようはある。だが10台なら話は別だ。それに5万の軍隊。さっき渡した武器の10倍あっても足りねぇな」
サルマン国王もガルドも黙ってしまった。
そのときメグが立ち上がった。
「艦長、まだ武器はあるわよね? 局長からもらった予算で武器を買えるだけ買いましょう」
艦長の代わりに航海士が返事をしてきた。
「遅配はどうします、艦長?」
それにはメグが代わりに返事をした。
「局長から連絡してもらうのはどうかしら?」
艦長が不思議そうにメグのことを見た。
「連絡する? どうやって?」
「さっき構成間通信装置を設置済みだっていったでしょ。 本部に連絡すれば、何とかしてくれるはずでしょ!」
「そんなこと言ってたな! よしクィーブル、ありったけの武器を持ってくるようにゼレン号に連絡だ」
「でもキネティックキャノンは無理よ。予算オーバーだから」
艦長が笑って答えた。
「了解だぜ、女神様!」




