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第14話 ギルドにて

 二人はギルドの酒場のi一番奥の小さなテーブル席に座ることにした。この酒場も閑散としていた。


「エールをくれ!」


 ガルドが大きな声で、カウンターの奥にいる酒場の主人に注文を叫んだ。


「私も、エールをお願い!」


 メグも負けじと大きな声で注文を叫んだ。


 ほどなくして、酒場の主人のおじさんが大きなジョッキを二つ持ってきた。


「乾杯!」


 メグとガルドは、エールを喉に流し込んだ。


「あー、美味しい!」


 メグも結構いける口だった。


「夕食のときは飲まなかったのは何でだ?」


 ガルドの質問に、メグは、


「エールを飲むと、お腹がいっぱいになって美味しい食事が食べれなくなっちゃうのよ」


 と答えると、またエールを口にした。


「これぞ地酒よね。あちこち旅をして、地元の料理やお酒を楽しむのが夢かも」


 そんな会話をしていた二人に、誰かが声をかけてきた。


「よお。あんたら、昼間ギルドに来てただろ。どこから来たんだい?」


 見ると、先に酒場で飲んでた二人組だった。

 暗い酒場なので怪しく見えるが、声の感じからは普通の人達なのだろう。


 誰かに話しかけられたときはガルドが答えることになっている。


「北西の山の先からさ。今は王都に向かっている」


「じゃあ、王都の噂とかしらねぇか」


 少しがっかりした口調になった。


「悪いな。さっき受付から聞いて、驚いたところさ」


「戦争になるのかねぇ。せっかく落ち着いてたっていうのによォ」


「分からん。だがサルマムンド国王や王国軍は反撃するだろうな」


 そんな時、二階からの階段が「ギィー」という音を立てて、誰かが降りてきた。

 話しかけてきた二人組が、降りてきた男に話しかけた。


「おや、ギルドマスターじゃねぇか。今日は、もう上がりかァ?」


「あぁ。この数日の調子じゃ、もう今日は誰も来ないだろうしな」


 軽い感じでギルドマスターと呼ばれた男は返事をした。


「おい、キャサリンも上がっていいぞ」


 受付のお姉さんが「やったー」と声を上げると、あっという間に帰り支度をしてギルドから帰ってしまった。


 男は、そのままメグとガルドのいるテーブルの横まで来ると、椅子をドカンという効果音が出そうな勢いで置いたと思うと、座ってしまった。これで狭いテーブルに三人が座ることになった。その横には先の二人組だ。


「俺はギルドマスターのグライナーという」


「俺はガルドだ」


「私はメグよ」


「さて、客人。どこから来た?」


 すると、さっきまで話していた二人組が答えてくれた。


「北西の山からだってよ! 何も知らねェとさ」


「そうなのか」


 ギルマスは少しがっかりした顔でガルドを見た。


 ガルドは軽くうなづくことで返事をした。


「いろんな話が飛び交っていてな。王都で何が起きているのか、少しでも情報が欲しかったんだが…… 北西ということは北の森から来たのか」


「あぁ」


「それじゃあ、仕方がないな。旅の間は気をつけろよ」


「そうするよ」


 ガルドは軽く相槌を打つと、今度はこちらから質問した。


「それで、これからの旅の参考にしたいのだが、良かったらマスターの知っている情報を教えてくれないか?」


「構わないさ。確かなのは王都で合戦があり、サルマンド国王は王都から脱出したこと。おそらく西の山岳地帯に隠れて、王都の奪還を目指しているとか。それと噂だが王女が捕まったと聞く」


 最後の噂のところで、ギルマスの声が小さくなった。

 やはり噂を話すとき、ひそひそ話すのは誰でも同じのようだ。


「でだな。どうやら占領軍から各領主へ恭順の意を示せとか命令しているらしくてな。そしてサルマンド国王からも同様の檄文が来てるとかでな。領主たちがどうするか大混乱に陥っているらしい」


 酒場の主人がギルドマスターにもエールを持ってきた。

 ギルマスがエールを一気に飲んだ。


「仕事が終わったあとのエールは格別だな。それと面白い噂が、もうひとつあってな。侵略軍は北大陸から地峡を通ってきたという話なんだがな。地峡の砦から五日で王都まで攻めたという話を聞いた」


「そりゃ不可能だろう。距離にして500㎞はあるぞ」


「俺もそう思うんだがな。ただ実際に王都の防衛をするより早く攻められたわけだ。面白いのは、宙に浮く馬車を見たという話があるんだ。今、街道筋じゃ有名な噂だとさ」


「そりゃ、さすがに噂な気がするな」


 ガルドは、ちょっと考えるためエールを口にした。


「幸いなことに虐殺や略奪といった話は聞こえてこない。侵略者は文明人だったようだ」


「文明人が侵略かァ? 笑えるねェ」


 さっきの二人が茶々を入れると笑い出した。


「ところでギルドマスターに聞きたいんだが、今、俺たちは王都を目指してる」


 ガルドの質問に


「ならバイエスタ(縦断)街道はやめといたほうがいいな」


「何か起きてるのか?」


「攻めてきた侵略軍が行き来して混雑してるらしい。物資を運んでいるらしい。さっきの宙に浮くってやつも通ってるらしいぜ。それと砦がいくつか落とされてな。街道は安全だが、周りの治安が悪化しているとかいう話だ」


「なら南ルートか」


「そのほうがいいだろう。まぁ王都に近づかないのが一番だろうがな」


「礼を言うよ」


 その後も、しばらくギルドマスターと話をしていたガルドとメグだったが、あまり遅くなる前に宿に戻ることにした。明日、早めに出るためだ。


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