〜公安警察 新庄聡一警部補〜
同時刻、警察署でもそのニュースは話題となっていた。
「部長……ニュース見ましたか?」
「ネットでもう大騒動ですよ……」
立花がそう言いながら、上司である部長に詰め寄っていた。
「このニュースを見た裏社会の人間が、これから動き出しますよ!」
「kanadeを手に入れる為に!」
「そして、もしそういう奴らにこの少女が捕まったら、この国の崩壊が始まりますよ!」
「この少女の力はテロをも可能にする、それだけの力です!」
「即刻逮捕すべきです!」
「うーん……確かに恐るべき力ではあるが……」
「でも犯罪はまだしてないし……」
「もう少し様子見てからでもいいんじゃないのか?」
そう言いながら部長は興奮している立花を嗜めた。
そんな二人の後ろから、大勢の人間の足音が聞こえてきた。
そしてその足音は二人の後ろで止まった。
立花が振り返ると、そこには公安警察の団体がいた。
「 公安の皆様がこんなところまで何しに来たんですか?」
立花は無粋な顔をして公安警察にそう尋ねた。
するとその中のトップと思われる人物が、口を開いた。
「kanade……いや、浅井心音をテロリストや裏社会の人間達が狙っているという情報が、公安に流れて来た」
「よって浅井心音を早急に確保し連行することが決定された」
「これよりここに捜査本部を置き、浅井心音確保の拠点を築く!」
そう二人に話して来た人物は、公安の警部補としてこの事件を担当する様に上から命令されてやって来た、公安の新庄聡一警部補だった。
その言葉を聞いて立花は、深い溜息をついた。
「これは俺のヤマなんだよ……公安が出て来る案件ではないんだよ!」
「大体まだ犯罪もしていない少女を指名手配するとか、公安は頭がおかしくなったんじゃないか?」
「我々が何も知らないと思っているのか?」
「現時点で一人未だ起きない人間がいることを我々は知っている」
「何日も経過しているのにだ」
「そして、立花刑事もそのことを知っているのに何故か報告もしていないことも、我々は知っているぞ」
立花は痛いところを突かれて声も出せず、頭を掻いた。
「どんな方法を使ったかは知らないし到底理解出来ることでもないが、一つだけ言えることはこの少女はとても危険な存在だということだ」
「もし、この少女が自分の能力で国家を掌握することが出来ることに気付いたとしたら、あるいは誰かがその能力に目をつけてその力を悪用しようとしたとすれば、それは国家を転覆させる可能性が出てくる」
「そうなってからでは遅いのだ!」
立花は、自分が部長に言っていたことと同じことを言われて、ぐうのでも出なくなっていた。
「わかったか事の重大さが!」
「わかったなら所轄は大人しくしてる事だな」
新庄はそう言い残してその部屋を去り、そこにいた数人の所轄の人間に指示を出して会議室に今回の捜査本部の設置を開始し出した。
立花は部長が止めるのも無視して、一人で署を出た。
そして外に停めていた車に乗り込むと、一人車を走らせた。
(ふざけるなよ……これは俺のヤマなんだよ……)
(絶対……公安より先に絶対見つけてやる……)




