17.気に入ってたのは
3ヶ月更新されてませんでした
就職とかバイトとか太鼓さん次郎とか曲作りとかで忙しかったです
就職はワンパンマンでした
一発合格です
「ねぇ、美紀ちゃん」
家を出て数分
行きつけのスーパーに向かって歩いていたら不意に園枝さんから話しかけてきた
あんまりこの人とは話したくないんだけど…
「なんですか園枝さん」
「どこに買い物行くのかしら」
え?
「何も知らないで着いてきたんですか?」
「着いてきたっていうより一緒してきた、かな
買い出しくらいは…って思ってきたんだけど何も聞いてなかったね」
「えぇ…えっと、いつもお姉ちゃんと行ってるスーパーですかね
そこなら近いですし、時間もかかんないです」
「そ、なら先導はお願いするわね」
「それでも年上ですか…」
「大人だからって年下に頼っちゃダメってわけじゃないでしょ?」
「いや、まぁそうですけど」
「それじゃ。お願いね♪」
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そんなこんなで到着したわけです
「えーっと、ここが普段お姉ちゃんと一緒に来てるスーパーです」
丁度家から13分くらいの場所にあるスーパーに到着
大きさはそれほどでもないけど、必要な食品は大体あるから
そこまで不便はないかな
「ふーん、ここが。じゃあここに来れば優樹奈ちゃんとも会えたり?」
「し、知らないです。というかなんでお姉ちゃんにばっかり会いたがるんですか」
小学校の時からそうだ
わたしと会っても一言目が『お姉ちゃんは一緒じゃないの』だの
お姉ちゃんにかかわることしか聞いてこない
「まぁ、いざとなったら教室まで行けばいいかしらね。」
「ちょ、はぐらかさないで下さいよ」
「パンケーキの材料は…あっちね」
また勝手にスタスタと…!
「待ってくださいってば!!」
あれ?そういえば
「園枝さん、お姉ちゃんからお金もらいました?材料の」
「貰ってないわよ?」
ん?
「え、どうやって払うんですか?」
「私が払うんじゃないの?」
「良いんですか?」
「良いも何も…あぁ、そっか。美紀ちゃんは一緒にお出かけ初めてだもんね
いつもお出かけとかする時は、私が奢りなのよ」
「え゛、いつも?」
「そ、いつも。優樹奈ちゃんとお茶でもするときなんかも私の奢りね、
いつも申し訳なさそうに眉を潜めるんだけど、そこも可愛いわよね」
「なんか結構お姉ちゃんと遊んでるみたいなんですけど、教師ですよね?一応」
「一応とは失礼ね、これでも小・中・高全部の学校の教員になれるのよ?」
「園枝さんでもなれるんですか」
「美紀ちゃん、それ私以外に言ったら殴られるわよ?」
「大丈夫です、園枝さんにしか言いませんから」
「それもそれでちょっと…」
なんて園枝さんとお喋りしてたら売り場に到着
といってもパンケーキなんて粉と卵と牛乳程度だよね
「園枝さん、お姉ちゃんから何か追加材料とか聞いてます?」
何かアレンジするなら買ってかないと無いと思うんだけど…
「う~ん、特に聞いてないわね。まぁ皆の雰囲気に合わせて、適当にフルーツでも買っていきましょう」
フルーツかぁ…
「お姉ちゃんならイチゴ買っとけばいいですね」
取りあえず迷ったらイチゴ買っておけばお姉ちゃんは大丈夫だ
「その雑な扱い見てると、ホントにお姉ちゃん大好きなのか分からなくなってくるわ…」
「何か言いました?」
「いいえ、何も。そうね、私はキウイか何かにしておきましょうか」
「さとっちはバナナかな」
「グレープフルーツなんかもいいんじゃないかしら」
「パンケーキにグレープフルーツですか?」
「甘味に柑橘系っておいしそうじゃない?」
うーん、美味しい…のかな?
確かにヨーグルトとかに混ざってたりするけど
ヨーグルトは甘味には入らないよね?
「なんか博打っぽいので止めておきましょう」
「人生…博打も必要よ…」
「なんか悟ったみたいにしてもダメです」
「えー…買いましょうよ、どうせ私の支払いなんだし」
「いや、それで食べられなかったらどうするんですか」
わたし柑橘系はダメだぞ、うん
さとっちも確かダメだ
「食べられるから売ってるんでしょう、恐らく
というわけで、よいしょ」
あぁ…籠の中に博打の元が…
「わたし柑橘系はダメですからね。ホントに」
「はいはい、美味しかったら食べさせますからね」
「え、話聞いてました?ダメなんですよ?食べられないって意味ですよ?」
「ちぇ、つまんなーいの」
「そんな子供みたいにしないでください…」
「され、他のフルーツも見に行きましょう」
「え、あ、もう!だからスタスタ一人で行かないでくださいってば!」
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「美紀ちゃんは亜澄ちゃんと藍佐ちゃんの好きなフルーツとかわかる?」
「会ったのが数日前なので知らないです」
「あら、ツンツンした言い方しないの。でもそっか
じゃあ何買っていけばいいかしらね」
「ん~…阿澄さんはなんかスイカとか好きそうです」
活動的っぽいし
「それって、活動的で元気があるから?」
「うっ…」
「図星かぁ…まぁ、でもそういう勘もいいかもね。亜澄ちゃんはスイカにしましょう」
「こんなんで決めちゃいましたけど、パンケーキにスイカって…」
「さ、次行きましょう」
「ちょ、もう!!!何度も言わせないでくださいよ!」
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「最後は藍佐ちゃんね」
「藍佐さんですか…全く読めないです…」
「そうね、じゃあ学校の成績で決めましょう」
「へ?」
「藍佐ちゃんの成績、テスト合計点は学年内上の中
総合成績は上の上。性格はおっとり」
「おっとり…ですかね?」
「この上で導き出されるフルーツは…メロンね」
「園枝さんそれ前置き関係無く胸が大きいから…」
「さ、メロンも取ってきたし、レジ通して帰りましょうか」
「もう…もう言いませんよ…わたしはついていく荷物持ちですよ…」
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あぁ……袋が重い…
かれこれお店から5分くらい歩いてるけど、袋が筋状になってきて手が…
「結構買っちゃったわね、特に飲み物が重いわ」
いや全然重そうに見えないんですが、むしろ軽そうなんですが!
「園枝さんって、鍛えたりしてます?」
「ん~、何気に教師って体力使うからそれなりに運動はしてるけど…どうして?」
「いや、2Lペットボトル3本をそんな軽々…」
「さすがにこれ持てない人は居ないでしょ…」
ですよねー…その『は?』みたいな顔が普通の反応ですよねー…
「そのー…お姉ちゃんを見てるとそういうのが新鮮で…」
「優樹奈ちゃんもそこまで力無いわけじゃないでしょ?仮にも17になるんだし」
「いや~…その~…あはは」
無いんです、うちのお姉ちゃんはないんですその力が
「……ま、まぁ!昔から病弱だったものね!力無くても可愛けりゃいいのよ!」
無理やりにでも褒めたいのかなぁ…でも
「可愛い…ですか」
昔からこの人はそうだ…可愛いものに目がないっていうか…
「園枝さんは、お姉ちゃんを可愛い可愛いって言いますけど、綺麗ではないんですか?」
「ん?そうねぇ、同年代の目線になったなら綺麗って言うんでしょうね。
私みたいに年取っちゃうともう、あなた達みたいな年齢の子は皆可愛いのよ」
「年とったって…園枝さんまだ25,6かそこらじゃないですか…」
「それでも大体10歳差でしょう?可愛く思えるわよ、妹みたいで」
「妹ですか?」
「ほら、年の差が開いてる姉妹とか居るわけじゃない?羨ましいわぁ」
「園枝さんに妹さんでもいたら、大事にしすぎて駄目人間になりそうですね」
主に可愛がりすぎて
「あぁ、優樹奈ちゃんが妹だったらなぁ」
「そういえば、どうして園枝さんは小学校の時からお姉ちゃんをずっと気にかけてるんですか?」
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『その、なんで校長先生はお姉ちゃんにそんなに親しげなんですか?』
『私は誰にでもこんな感じよ?』
『なんとなくそういうのは分かりますが…なんていうか…他の人への態度とは何か違うんじゃないかなって』
『以外と鋭いのね。そうね…これは一方的だけど、優樹奈さんを私が"気に入ってる"から。それが理由かな』
『"気に入ってる"?』
『そう。"気に入ってる"の』
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「小学校の時に言わなかったかしら?"気に入ってる"のよ
一方的、個人的、私感的にね」
「それ、何年も聞きそびれちゃってたんですけど、どういった意味で気に入ってるんですか?」
ずっと、胸のしこりとして残ってたこの疑問
何かあるたびに思い出してずっと嫌な気持ちにさせられてきた
もし、園枝さんが、同性的な意味でお姉ちゃんを"気に入ってる"んだとしたらわたしは……わたしは?
どうするの?
――わたしは 園枝さんに何をしようと考えたの?――
「あら、嫉妬?ホントお姉ちゃんが大好きなのね、美紀ちゃんは」
「…あんまりその辺りで弄られるの好きじゃないんですけど」
いつもだ、お姉ちゃんをちょっと好きなだけでこうやって弄る人がいる
お母さんとか、園枝さんとか…クラスのちょっと仲が良い友達とか…
「あら、怖い顔…ムカついちゃった?」
「い、いえ、別に…」
「大丈夫よ、私はあなたからお姉ちゃんを奪ったりしないわ」
「…ホント…ですか?」
「ええ、だって私が優樹奈ちゃんを気に入ってるのは」
「気に入ってるのは?」
「妹としてだもの!!!」
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「はい?」
久しぶりで短くてすいませんです
取りあえず視点切り替えだけしておきたかったので