第二十四話
茉莉は病院を抜け出して、自分の通っている小学校へと来ていた。
2年3組へと入っていく。だれもこちらを見ない。ちょうど休み時間で、元気な小学生たちは教室でも走り回っている。
自分がいなくなってもいつもと同じように過ぎている教室の時間。茉莉はさびしくなった。
誰か、茉莉にきづいてよ・・・
ただ、ゆみちゃんとなつきとまきちゃんは違った。
いつも遊んでた友達。茉莉が病気で入院してからよくお見舞いに来てくれていた。
3人は椅子に座って集まっていて、うつむいて静かにだまっていた。
「ねえ、ほんとにまりちゃんのとこいっちゃだめ?」
「だめって言ってた。先生が・・・」
「でもまりちゃん死んでしまうかもしれんのでしょ?」
なつきがそう言うと、みんな泣き始めた。
「茉莉ちゃんとこ行きたい・・・うっ、う・・・」
「泣いたらだめだよ、あたしらが泣いたら茉莉ちゃんも悲しくなるって、先生言ってた・・・ぐすっ、、」
みんな、茉莉はここにいるんだよ・・・。誰も気づいてくれないけど。
みんなの隣に座りたかったけど、自分とみんなはなんだか違う存在のように感じて足が動かなかった。
なんで、茉莉だけこんなことになるの?
死んだらもう教室にもこれなくなるのかなあ。
そんなのさみしい。
「死神さん、今日はもう5件目?多いねー」
通り過ぎた公園の時計を見ると12時50分。あたしはあくびをしながら言った。
「これで最後だからがんばって」
はあ。死神さんにそう言われたらがんばるしかない。
あたしって単純・・・。
リストをぱらぱらとめくる。
お・・・行き過ぎた。
「ん?薄い・・・?」
それはしあさってのページだった。
小学校低学年くらいの、二つ結びの女の子が載っている。こんな小さいのに・・・とも思ったが、もっと驚くところがあった。
この子のところだけ、異常に薄いのだ。水で薄めすぎた墨汁で書かれたみたいに。
「死神さん・・・この子なんでこんな薄いんだろ?」
ちょっと気になったので、死神さんに見せた。そんなに重大なものとも思っていなかったんだけど。
リストを受け取った死神さんの目が驚きで見開かれる。
「え?なんかまずいの・・・?」
死神さんは視線をリストからあたしに移して、気の毒そうな顔をした。
うわ、なんでこんな表情にも色気あるんだよーー!!!
「真千子ちゃんって・・・今までで一番忙しいよ、たぶん」
「へ?」
しまった、また変なこと考えてきちんと聞いてなかった。
「今までの助手で、地獄送りと幽体離脱者を3か月ちょっとで経験したのはいなかった」
「幽体離脱?って、その・・・体から離れるアレ?」
なんか、えらくオカルトだ。
あたしの適当すぎる認識に死神さんは少し笑った。
「うん大体そんなもんだね。でも、これはちょっと―――厄介だ」
三日月が雲に隠れた。
まるで、良くない展開を暗示するみたいに。
子供の使う標準語がよくイメージできない;;




