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第十七話

必至で走る。走る。

間違いなく人生でいちばん必死な瞬間。

捕まったらあたしは…。

考えたらダメだ!

余計なこと考えて少しでも速さが落ちたら終わりーーー

ほら今こうして考えてるのだって、、、

気配が消えた?

走りながら後ろをみてみる。

いない。

!!

いた!上だーーー。

大きな鎌が月の光でギラリと光っている。

空中で鎌を振り上げてまさにあたしに襲いかかろうとしていた。

こいつはなんであたしを狙ってる?

どうすれば。

何か身を守るもの!

何でもいい…。

とっさに思いついたものがあった。

思いついたと同時に手を契約印に当ててすべらせる。あらわれたのは地獄の鍵。

これしかない。

鎌が振り下ろされる。

あれをこの鍵で受けるのは無謀だ。間一髪でよける。

コンクリートの地面に鎌が突き刺さった。

女死神はすぐ鎌を抜いて、またあたしに向かって構えた。

来るっっ…!

耳が痛いほどの金属音。腕にビリビリと衝撃が走る。

「うっ」

顔がゆがむ。あたしは地獄の鍵で鎌を受け止めていた。これだけでも奇跡だ。

ものさし対金属バットみたいなものだ。

あんな細い腕で、こんな強い力!?

腕が悲鳴をあげている。

持ちこたえるのはそろそろ限界だ。

「かわいいのね、そんなので抵抗できると思ってるんだぁ」

女死神は鎌を下げた。

腕が軽くなる。

緊張がとけたのもつかの間、今度は蹴られて後ろに飛ばされた。

「…っ!」

背中が痛い。

思いっきりぶつかったのは地獄の門。

あたしが出したんだ。

「あら、イイもん出してるじゃない」

女死神に手首をひねられる。

いけない、鍵を持ってる方の手だ…。

「いっつも送り出すばっかりでつまんないでしょ?見てみたくない、この門の中」

「いやっ!い、いやだ、やめて!」

泣き叫んでいた。

手首をひねる力が強くなる。

何があっても鍵だけははなしちゃだめだ!

地獄に送られてしまう!!

しかし、人間の力では死神にはかなわない。

いとも簡単に、鍵を取り上げられた。

真千子は絶望した。

うそでしょ…

あたし死ぬの?

「いやだ…やだよ、助けて…助けて死神さん」

「もう無駄なのに…黙りなさいよ!」

地獄の門がゆっくりと開く。

そこに向かってずるずると引きずられる。ろくに抵抗もできない。

「離してよ!離して!離してってー!」

深い闇が目の前まで迫ってきた。

あたしは目を閉じた。

もう逃げられそうにない。

でもあたしは、ここまで来てもまだ、死神さんが助けに来てくれると心のどこかで信じていた。

信じて、正解だった。

門と反対側の、明るい生の世界に自分の体が出た。ふわっと浮かぶように。

あたしは死神さんの腕の中にいた。

「ほんとに、来てくれた…」

あたしは死神さんに抱きついた。

死神さんが優しく微笑む。

でもまだ終わっていない。

女死神は私たちの方に鎌を向けた。

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