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第27話 ステータス、開放

「ちょっと待ってくださいね。今、ディープシンキングしますから」


「……」


 もうそれ、完全にAIじゃないですか。

 名前をアス姉からチャットG●Tとかに変えたほうがいいんじゃないの?


 1分待ったら、答えが返って来た。


「勝率は、1%~99%です」


「ええ……」


 まったくわからないということですね。

 自身満々に答えてるけど、それ、まったく答えになってないですから。


 ああいや、相手をこき下ろすのはよくないない。0%はありえないという回答を得られただけでも前向きに捉えようか。


 さすがに質問が大味おおあじすぎたのだろう。

 時間は気になるが、さすがにもう少し情報を整理したほうがいいかも。


「シャンバラヤってなにかわかる?」


「はい。王立魔法学園グリンガムの伝統的クランバトルですよね? 3:3のチームに別れて、勝ち抜き戦で戦うアレですね」


 ここらへんは問題ないようだ。


「アリスト・ルエ・デリシャリスは知ってる?」


「はい。メアリーベル・アシュ・クリストフへの強姦未遂ごうかんみすい罪で終身奴隷の刑に処させれている、バンビーノ・ルエ・デリシャリス元伯爵の息子さんですね」


 ここも問題ない。次。


「僕がアリストとシャンバラヤで戦う日時は?」


「今日からちょうど6日後の16時ですね」


 情報鮮度も良好だ。

 知識データの中身が古いということもなさそう。


 ただ、ここまでは僕が当然にして知っている話だ。ここからは僕が知らない情報を聞く。


「アリスト側の参戦メンバーを教えてほしい」


 言ってみれば、これが今もっとも知りたい情報だ。ゲッティちゃんもこの件はまだ調べ切れていない様子だった。


 事前に敵を知れれば、対策の立て方はいくらでもあるね。


「えーっと。まだ決まってないみたいですね」


 いや、ホントに?

 もう6日前だよ? 勝つ気あるのか?


「候補者もわからない?」


「候補者はですね、アークさん、メアさん、カナデさん以外の対象者全員ですね」


 もはやなにもわからないと答えられているのと同義だな。もしかして、アリストに僕の動きが読まれている?


 神の視点で探らせたのに、ここまでボンヤリとした情報しか得られないというのは、敵がなんらかの対策をしていると考えるほうがむしろ筋が通っているか。


 あの優秀な密偵であるゲッティをもってしても、今のところまったくと言っていいほど敵の情報を暴けていないのだから、推して知るべしといったところか。


「わかった。あ、いや。わからないけど、もういいや」


「お役に立てず、申し訳ありません」


 別に謝らなくても……

 初対面でいきなりこんな質問、どちらかというと僕のほうが失礼に当たるだろう。


 ここへも僕が勝手に入って来ただけだし。


「こちらこそごめんね。いきなりやって来てヘンな質問ばっかりして」


「いえいえ、全然です。私は今日、貴方に会えてとても嬉しかったです」


 そう言ってもらえると助かる。

 時間も時間だ。そろそろ家に帰って食事にしなきゃだな。


「それじゃあ今日はもう帰るけど、実はまだキミには聞きたいことがたくさんあってさ。迷惑かもしれないけど、明日もまた来てもいいかな?」


 忘れてはいけいない。

 僕にとって最も重要な課題はメルトだ。そしてミルちゃんが懸念けねんしているサリエルのことも絶対に聞いておかなくてはいけない。


 近々に迫っているシャンバラヤのことを先に聞いてしまったが、本題はこっちだ。そこを聞かずして、この出会いに意味はないだろう。


 あ、しまった。

 

 深刻なことを考えていたら、表情筋が引き締まってしまっていた。もしかしたら今の僕、かなり不機嫌な顔をしていたかもしれない。


 大丈夫かな?


「(トゥンク)も、もちろんですっ!」


 ああ、よかった。

 自分で思っているほど怒った顔にはなっていなかったようだ。


 むしろ彼女の声は嬉しそうに聞こえたから、まぁ問題ないだろう。


 よし、帰ろう!


「あ、あのっ!」


「ん?」


 アス姉に背を向け、入口の扉へ少し歩き出したところで呼び止められた。

 まだなにか言いたいことがあるのかな?


 もう時間がないから、話の続きは明日にしてほしいんですが。


「さっきからちょっと気になっていたのですが……」


 前置きはいいよ。なに?


「アークさんのステータス、どうして部分的に一般開放されていないのですか?」


「えっ?」


 一般開放ってなんだ。

 公開しなきゃいけない義務でもあるのか、僕のステータスは。


 ……いや、ちょっと待て。

 思い当たるフシはありすぎる。


 もしかして今、彼女が言っていることって……


「攻撃力とか魔力とか。重要なステータスの数値が見れないようになっていますよね? それ、ワザとなんですか?」


 そんなワケない。

 見たくても見られないだけだ。


「いや、見たいのは山々なんですが」


 その方法がずっとわからない。


「もう! ミルってそういうとこありますよねっ! せっかくアークさんの彼女になったんだったら、そのくらい気を利かせて見れるようにしてあげなきゃダメですよねっ!」


 彼女ではない。

 断じて彼女ではないです。


 どんな解釈したらそうなるのでしょうか。意味がわからない。


 いやいや、そんなことよりも。


 なんかその言い方、さもミルちゃんは知ってて教えてくれなかっただけで、私なら簡単に見れるようにできますよって聞こえるけど。


「アス姉、まさかこの難攻不落なんこうふらくの“?”を取り除けるの?」


「楽勝ですっ!」


 僥倖ぎょうこうが過ぎる。まさかこんなところで往年おうねんの課題がひとつ解決するとは。


 1回のメシよりはるかに“?”解除のほうが優先順位は高い。今日はもう夕食抜きでも別にいいや。


「すぐできる?」


「はいっ! あ、でも、その……」


「時間のことはもういいよ。今はこっちを優先したいから。あ、アス姉の都合が悪いんだったら明日でもいいけど」


「それはないですっ! えっと、その、私のほうからも、お願いが……」


 対価だね。まぁ当然だよね。

 ステータスがしっかり確認できるようになる対価だ。相応のお値段は覚悟しなければいけないかもしれない。


 あ、彼女本だし、別にお金なんかいらないかもしれないな。


 なにをしてほしいんだろうか?


「お願いって?」


「あのっ! わ、私は別に2番目でも、3番目でもいいですから……ア、アナタの、彼女に……あっ! や、やっぱり今のナシ! 冗談です、冗談っ! 忘れてくださいっ! あは、あはは……」



 なに言ってんの?



ーーーーーーーーーー



 ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。


 ステータスの内容は次話で明らかになりますので、少し引っ張って申し訳ないですが、ご期待いただけますと幸いです。


 それでは引き続き、アークと最強ヒロインたちの活躍をお楽しみに!

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