72話 特別なクッキー
『面白いって何!?』
『べつ? べつ……?』
『うむ、ここにあるお菓子じゃなく、別にもお菓子がある』
『ほんとう!? リョウパパ! どこ!?』
『面白いって!?』
物凄い勢いで、お菓子をそれぞれ食べながら、みんなが俺の洋服に引っ付いてきた。
「待て待て、順番に説明するから、一旦俺から離れろ! これじゃあ説明もできないだろう!!」
ポイポイと俺はみんなを剥がしていく。タイラーも手伝ってくれたよ。だけどその後も、引っ付かないまでも、俺の洋服に着いている紐にぶら下がったり、ポケットに入ってきて、そこから顔だけ出したり。何かしら動きずらい事をしてきた。しかもお菓子を片手に。
ポケットの中で食べるのはやめてくれよ。中にお菓子の粉や砂糖が落ちて、ベトベトになったら面倒じゃないか。俺は被害が出る前に、サッサと説明することにした。
まず1つ目はフォンダンショコラをつくったんだ。この世界にもチョコのような食べ物がある。また魔獣は地球の動物のように、チョコがダメ、玉ねぎがダメとった、食べ物に関してほぼ病気になることがないようで。このチョコレート風な食べ物も魔獣に大人気だ。
だからフォンダンショコラみたいな、割ると中からドロっと出てくるのを、喜んでもらえるかなと思って試しに作ってみた。
クッキーの作り方、ケーキの作り方、ひと通りのお菓子の作り方は、以前街に行った時に、クッキー屋さんやケーキのようなお菓子を売っているお店を何軒か回って、基本的な作り方を教えてもらった。
あとは俺のもともとの、お菓子作りの知識と合わせて作ったよ。俺、お菓子作りが趣味と言うほどでもないけど。仕事でストレスが溜まった時に作って、ストレス発散してたんだ。それで一緒に、隣の斉藤さんの飼い猫、ミーちゃんのためにもお菓子を作ってたんだ。
ミーちゃん元気かなぁ。俺の大好きなミーちゃん。そういえば、この世界に来た時にカバンに入っていた、ミーちゃんにプレゼントしようと思っていた、にゃんこ用おもちゃ。あれは今、チビもふ達が気に入って遊んでいる。
しかもだ。街でおもちゃで遊んでいたら、魔獣専門のおもちゃも販売している、ガナッシュさんに、是非ともうちで売らせてくれと頼まれて。商業ギルドで登録をし、俺に売上が入ってくることになった。
それと、かなり激しく遊んでいるのに壊れないな、と思っていたところ。リリースさんに鑑定してもらったら、なんとおもちゃにも自動修復が着いていたよ。そりゃあ壊れないわけだわ。
「いいか、これを真ん中から割ると……」
中からチョコレート風の物、そうそう名前はチョーコが、トロッととろけて出てきた。うん、成功だ!!
『わぁ、何これ!!』
『見たことがありません!!』
『とろ~、とろ~なのぉ!!』
『あ、甘い匂いがふんわりと!!』
うんうん、みんなの反応もバッチリだ。チョーコが溢れた瞬間、みんなの目が輝いた。
「面白いだろう。ただ、食べる時は、このチョーコがとても熱くなっているから気をつけるんだぞ。それから冷める、とろっが固まっちゃうから、その時は誰かに温めてもらえ」
『はいはい!! 俺があっためるぞ!!』
『良いけど、焦がさないでよ』
『僕、タイラーパパにあっためてもらう』
『僕もなの!!』
『じゃあ僕もそうしよ!』
『おい!! 俺は焦がさないぞ!!』
盛り上がっている中、次のお菓子の説明をする。見た目は泡をそのまま固めたようなクッキーなんだけど。いや、確かに泡を固めたんだけど。ただの泡を固めたんじゃない。
小さな子供が喜ぶご飯がある。ハンバーグのような食べ物で、それにソースをかけるんだけど。そのソースに、モコという植物から取られる粉を入れてソースを作り。食べる直前フォークを刺すと、ソースに入れたモコが反応し、もくもくもくと雲のようにソースが広がるんだ。
これが子供心をくすぐり、今街ではモコハンバーグが子供達の間で1番人気で。どのお店にも置いてあるぞ。
俺はこれをクッキーで再現。ハーチーと卵の卵白とモコ。それから食料品店で、これも普通に売っている、泡が消えにくくなる材料を入れ。できた物をスプーンですくい、フライパンで焼けば、ひと口サイズのクッキーの出来上がり。
そっと刺激を与えないようにお皿に乗せ、食べる前にフォークか何かでクッキーを刺せば。もこもこもことクッキーが膨れるぞ。俺がしっかり試したから大丈夫だ。
「よし、刺してみろ」
『えい!!』
もこもこもこもこ~!!
『『『ひょおぉぉぉっ!!』』』
これまた目を輝かせ、大はしゃぎのみんな。全員で並んで一斉にクッキーを刺して、もこもこ同士でくっつけ大きなクッキーを作り、さらに大喜びしていたよ。
次はミルフィーとトールのクッキーだ。
「ほら2人共、そこに並べ」
ミルフィーとトールに、俺が木の皮で作ったランチョンマットの上に乗ってもらい、2匹に頭を守るように言った。そして2匹が翼で頭を守るのを確認すると、俺は頭の上からクッキーをかけてやった。
クッキーに埋もれるミルフィーとトール。そしてボケッと自分と、自分の周りのクッキーを見る2匹。
「クッキーに埋もれたいって言ってたろう。クッキーをそのままっていうのはさすがにな。自分で全て食べるのは良いとして、地面に触れたものや、サクサク感がなくなるのもちょっとだし。だから1つずつ、全部紙でクッキーを包んだんだ。そのままじゃなくて悪いが、これで勘弁してくれ」
『クッキーに埋もれる……』
『クッキー、いっぱい。クッキーのなかにいる……』
「どうだ? 2人共」
『『ふおぉぉぉー!!』』




