73話 無事? に終わったパーティー
「ハハハッ、余程嬉しかったらしいな!! で、タイラーは狙われてると。サッサと食べれば良いじゃないか。持ってるから狙われるんだぞ? ククク、その辺の強い魔獣よりも面倒そうだな」
『おい、笑い事ではないんだぞ!! あれは俺が手伝いで特別に貰った、俺の顔サイズの大きな煎餅なんだ!! しかも俺の顔の煎餅なんて、誰が他にやるか!!』
「だと言ってもなぁ。あれは寝ずに狙ってくるかもしれんぞ?」
『それでも俺は逃げ切って、俺だけであの特別な俺煎餅を食べる!!』
「ふっ、まぁ、頑張れよ。それにしても、その2匹はベッタリだな。よほど嬉しかったらしいな。これはまた頼まれるんじゃないか?」
「まぁ、それだけのクッキーを作るなら、そこまで大変じゃないから。やろうと思えばやれるけど」
「それもな、お前が楽しいお菓子ばかりを作ったから、当分の間またやってくれ、またやってくれ、と言われるだろうよ」
「それはもう諦めたよ。それにみんなが喜んでくれたなら良いや、作った甲斐があるよ」
「まぁな。俺もあれだけ喜んで食べてもらえたからな」
今、俺達は夜のご飯パーティーを終えて、片付けも全て終え。リビングでみんなでくつろいでいるところだ。
俺がみんなに用意したクッキーパーティーは、あの後も大盛り上がりで、そのまま終えることができ。また夕飯の父さんのご飯パーティーも、みんなはとても喜んでくれて。どちらのパーティーも大成功だったよ。
だけど、成功したのに、いろいろと問題が発生した。まずさっき、父さんとタイラーが話していたことだけど。
俺がタイラーに手伝いのお礼に渡した物、それはタイラーの顔を形取った、タイラーの顔サイズのお煎餅だった。
なにしろ朝早くから、ずっと俺を手伝ってくれていたんだから。これくらいのお礼はしなくちゃダメだろう?
だからお煎餅を入れた袋にリボンを付けて、お菓子パーティーの片付けが終わった後にあげたんだ。するとそれを見ていたシルフ達が、何でタイラーだけ、そんな特別のお煎餅貰ってるの!? と詰め寄ってきて。
だからきちんと、きちんと説明したんだよ。そうしたら最初は納得してくれたんだけど……。最初だけだった。あんなに大きいんだから、自分達もひと口もらっても大丈夫じゃない? と。隙あらば、タイラーのお煎餅を狙い始めたんだ。
今もソファーの後ろに隠れながら、みんなでタイラーを狙っている。大きなフィノとボルクスは隠れられていないけどな。
当のタイラーはすでに、どこかへお煎餅を隠したようで、後でゆっくり食べるみたいだけど。それができるかどうか。
と、いうことで、俺はもう少しだけゆっくりしたら。少しだけお煎餅を焼くつもりだ。それでみんなには、タイラーのお煎餅を諦めてもらおうと思っている。うん、諦めてくれれば良いけど。
そしてそんな、お煎餅を狙う組と別れて、俺にベッタリくっ付いているのが、ミルフィーとトールだ。
クッキーに埋もれたいと願っていた2匹。直クッキーではなく、紙で包んだクッキーだったけれど、クッキーに埋もれる事ができて、とても喜んでくれて。
お菓子を1つ食べては、クッキーに埋もれる。1つ食べては埋もれる、を何度も繰り返し。本当に嬉しそうにしていた。
そしてクッキーパーティーの片付けが終わると、その後はずっと俺の肩に乗ってきたり、洋服にへばりついてきたり、時には顔にへばりついてきて。ありがとう、楽しかった。クッキーにうもれた、リョウ大好きと。ずっと俺に言ってきた。
今も俺の膝の上に乗り、ぺたぁと顔までつけて、嬉しい、楽しいと2匹で言い合っている。
まさかそこまで喜んでもらえるとは。いや、ミルフィーやトール以外も、みんなタイラーのお煎餅以外は、とっても楽しかった、美味しかった、ありがとう!! と言ってくれて。毎回は無理だけれど、年に何回かは、お菓子パーティーをやってあげようと決めたよ。
「さて、そろそろ、やってこようかな」
「ああ、あれか。匂いがするとみんな集まってくぞ」
「それで良いよ。タイラーから離さないとね」
『よし、俺はその間に……。いや待てよ?』
「とりあえず作ってくるよ」
「ああ、リョウ。お菓子作りで疲れているところ悪いんだが。それが終わった後、ちょっと話しがある」
「話し? 分かった」
「すまんな」
父さんの様子から、深刻な話しではなさそうだけど何だろう? と思いながら。台所に向かった俺は。すぐにチビもふ組は体全体の、大きいフィノとボルクスは顔部分の形を作り、お煎餅を焼き始める。タイラーのお煎餅ほど大きくはないが、これで何とか。
と、焼き始めて5分もしないで、みんなが俺に所へ集まってきた。うん、ていうか、ミルフィーとトールが、まったりと俺にくっつき過ぎていて、俺はお煎餅を作っているのに。みんなが来てから気づくっていう。
「みんな、タイラーもお煎餅は、手伝いをしてもらったお礼の大切なお返しなんだ。だからみんな取らないであげてくれ。その代わり小さいけど、みんなのお煎餅を今焼いてるから、それを食べな」
『わぁ! これ僕!?』
『これが俺か!!』
『ぼ、僕がいる』
『さすがわたいの姿は、ピシッとしている』
『わぁ、ボル君、僕達がいるよ!!』
『僕達のお煎餅なの!!』
『おせんべい!? おせんべい!!』
『うむ、お煎餅。お煎餅は別腹』
この世界にも別腹って言葉があるのか? 今回もお菓子とご飯で、自分の体の何倍以上の量を食べたことか。それを考えれば、もう今日は食べられないと、明日食べてくれればいいと、そう思いながら作っていたんだ。その状態で食べるんだから別腹だけどさ。
『みんな、お煎餅食べよう!!』
『僕達のお煎餅なの!! 嬉しいなの!!』
『お皿を用意しましょう』
『おさら、おさら』
みんながそれぞれ動き出す。そしてみんながお煎餅を食べた後は、タイラーを追いかけることはなかった。俺の作戦がうまくいって良かったよ。
ちなみにタイラーは夜中に、自分だけの隠れ家があるらしく、そこでゆっくりとお煎餅を堪能したようだ。次の日、美味しかったと報告を受けたよ。タイラーがゆっくり食べられて良かった。
そしてなんだかんだ、いろいろあったけれど、お菓子とご飯のパーティーが成功して良かった。




