67話 ハッチのハーチー採りに出発
「よし、この辺りに荷物を置いておこう。自分で持ってきた自分用のハーチーの入れ物は、入れ終わったら、この樽の横にでも置いておけ。その後の家族用のは、たくさん入れ物を持ってきたから、自分で使いやすい入れ物を選んで、採ってきた物はこの樽に入れろ。急いて戻らなくちゃいけないって時は樽の横に置いて、別の入れ物を使えば良いからな」
樽をそのまま持って行って、直接入れる事もできる。だけどそれだと、最初のうちは良いけど、1つの巣だけじゃ、樽はいっぱいにならないからな。他の巣へ移動しなくちゃいけなくて、後半になればなるほど、樽が重くて動かせなくなる。
だからまずは小さな入れ物にハーチーを入れて、そのハーチーを樽に入れていくんだ。だからそのための、小さな入れ物をたくさん持ってきてある。
もう5分も歩けば、ハッチ達の巣がある場所に着くから。俺達はちょうど少しだけ、開けている場所を見つけて、そこに持ってきた荷物を置いた。
それぞれ自分用のハーチーを入れる、俺の顔よりも少し大きな、木の実の入れ物を持ってきていて。最初は自分専用のハーチーを採ってくる。
その後は家族で食べたり、使ったりする用のハーチーを、地球の平均的な大きさの樽2つ分に溜める事になっているぞ。
ハッチの体は大きいだろう? 巣もそれに合わせて、いや体に見合わず、かなり大きいため。俺にとっては多いと感じる量でも、全体から見れば、ハッチ達の巣からもらうハーチーは、全体の1%にも満たないぞ。
『プルル、一緒にやる?』
『う、うん!!』
『コロン、俺とやろうぜ!!』
『良いですけど、ちゃんとやってくださいね』
『ボル君、一緒にやろ』
『うんなの!!』
『ぼくは、リョウパパとトールおにいちゃんと!!』
『うむ、頑張る』
それぞれ組みを作ってハッチに挑む。1人がハッチの相手をし、1人がハーチーを採る感じだ。シルフとプルル、フルールとコロン、フィノとボルクス、俺とミルフィーとトール、そして父さんとタイラーで組んだ。
なんだかんだ今回で3回目のハーチー採り。フルール達がくる前に2回ほど、父さんとタイラーの手伝いをした。
でも今回は父さんに、もう1人でハッチの相手をできるだろう、と言ってもらえ。そしてハーチーの採り方も分かっているから、自分だけで対処してみる事に。
と、いう事で、今回は1人で対処するため。ハーチーの方はミルフィーとトールに任せ、俺はハッチの相手に専念する事にした。
それと、採ってきたハーチーをそのままにしておいて、ハッチ達が追って来ないのか? だけど。
ハッチはもちろん、ハーチーを採っている時は怒って襲ってくるが。でも採られた分が少ないと、取り返すよりも集めた方が早いと。採った物に関しては、興味を示さないから問題ない。
なぜそれが分かるか。魔獣使い能力でハッチと契約する人もいるわけで、その契約したハッチから話しを聞いたらしい。ついてに言えば、俺達が言葉が分からなくても、魔獣同士は言葉が分かるからな。話しができる魔獣に話しを聞けば良いわけで。
それでハッチ達の習性が分かったから、俺達は採っている最中の戦いは別として。採ってきたハーチーは、ほぼ安全に持って帰る事ができる。
『楽しみだねぇ』
『今回はセンプウキがあるからな』
『い、入れ物いっぱいにしたい』
『完璧に入れなければ』
『お菓子楽しみだねぇ』
『カーライルのご飯も、リョウパパのお菓子も、とっても美味しいなの!! ボル君、大好きなの!!』
『リョウパパ、クッキーいっぱいがいい。うもれるくらい』
『うむ、それが良い』
「埋もれるくらいって、どれだけクッキー好きなんだよ。美味しいって喜んでもらえるの嬉しいけど。そんなに作っても、すぐに食べないとサクサク感がなくなって、しめしめになって、美味しくなくなるぞ」
『う~ん、それはダメ。でもうもれてみたいの』
『うむ、しめしめはダメ、でも諦めがたい』
「それじゃあ、全員一緒に行くぞ。ここに戻ってくる時は、戻ると言ってから戻れ。それと怪我をしたらすぐに言うんだぞ。俺がポーションを持ってきているからな。ここに戻って来られそうならここで、その場から動けないなら、その場で治療する。ブルクスは治療ができるが、お前が治療している最中に攻撃されると困るから、今日は治療しなくて良いぞ」
『うんなの!! 前、僕おしり刺されて大変だったなの。すぐに治したけど、痛い痛いはダメなの』
ハリが大きいから、刺されるとな。毒はないんだけど出血が。それから噛み攻撃が強いから、それにも注意だ。指を噛まれて、切断されはしないけれど。それでも噛まれたら、たまったもんじゃない。
『誰が戦うか、しっかり決めたか?』
『『『は~い!!』』』
「よし、じゃあ行くぞ」
俺達はそっとそっと、なるべく音を立てないように、ハッチ達の巣へ近づいて行く。そして少しするとブーンッという、羽の音が聞こえてきた。音の感じから、かなりの量のハッチがいる事が分かる。
『ここ最近では、1番大きな群れだな。いつもよりは対処が大変かもしれない。が、奴らが集めていた花の蜜が、美味しいやつだったんでな。期待できるぞ』
『良いね! やっぱりここは、たくさん採って帰らないと』
『頑張るぞ!!』
さらに進む俺達。そこからは誰も話さず、俺と父さんとタイラーは真剣に前を見て、他の面々は……。涎を垂らし、ニヤニヤしながら進んだ。
もう少ししっかりした方が良いんじゃないか? 全員で涎を垂らして。もしこの姿を誰かに見られたら、何だこいつら? って変な顔で見られるぞ? せっかくみんな可愛いのに、可愛いが台無しだ。
「よし、止まれ。みんなは気配でちゃんと分かっていると思うが。リョウ、確認してみろ」
とても小さな声で、俺に話しかけてきた父さん。気配を感じなくても、羽の音ですぐ目の前にハッチがいるのは分かったが、それでもきちんと目で確認する。
草をすこいだけ避け、前方を見れば。そこには大量のハッチと、大量の巣があった。うん、これは良いハーチーをたくさん採れそうだ。




