62話 様々な能力のトリミング魔法
『どう? ちゃんと載ってる?』
『これ、面白いね、人間って面白い物作る』
『私達の事も勝手に載りますからね』
『き、きっとちゃんと載ってるよ』
『リョウパパ、載ってる?』
『うむ、しっかり確かめる』
待てって、今確かめるから。まったく煩いな。それに近寄りすぎだ……。うぷっ!? シルフ! 俺の顔にへばりつくなよ。ミルフィーも、俺のプレートを持つ手にぶら下がるな! 手が動いて画面が揺れるだろう!
みんなもだ!! 画面に張り付くように、前を塞ぐんじゃない!! みんなは見ても分からないだろう!! 俺はみんなを手で払う。まったく、確認したいのならどいててくれよ。
「ほら、離れろ離れろ。まったく。はぁ、やっと見られる。……と、うん!! しっかり載っているぞ!! 問題ないしだ!!」
わあぁぁぁ!! と歓声が上がる。でもそれは少しの間で、すぐにどんな魔法なのかを聞いてきた。
まず『エアリーブラッシュ』だけど。これが1番基本的な魔法かな。ブラシの毛のように細かい風の流れを作り、風のブラシで毛並みや羽毛を、サラサラ、ふわふわにする。
次に『シルキーウインド』は。毛や羽をサラサラにする風を発生させて、艶やかに仕上げる。
続いて『エアダスター』だ。この魔法は。シャンプーをしていなくても、毛や羽についた、埃や汚れを吹き飛ばし綺麗にする
4つ目の『フラッフィーブリーズ』は。ふわふわの心地よい風を出し、魔獣達の毛並みや羽毛をボリュームアップする。
そして最後5つ目が『スムースコート』だ。濡れた毛や羽毛を乾かし、まとまりのあるサラサラな毛に仕上げる。
うん、何だろう。これは俺に美容師にでもなれと言っているのか? 俺はせっかく異世界に来たんだから、異世界らしい暮らしがしたいんだけど。
魔法の内容について声に出してやれば、それを聞いたみんなはまた大喜びだ。
『なんか、細かいことは分からないけど、良い感じなのは分かるよね』
『いっぱいサラサラ、ふわふわって言ってたよ!!』
『リョウパパ、サラサラ、ふわふわ、すぐやって!!』
「すぐやってって言われてもな。まずはシャンプーをした方が良いだろうし。いや、シャンプーをしていなくてもって、表示されてるのもあったよな?」
俺はもう1度ステータスを見てみる。『エアダスター』か。これはみんなシャンプーをしなくても、できたりするのか? いや待てよ。
本当はシャンプーした方が、より綺麗になるんだろうけど。この『エアダスター』を使えば、とりあえずの埃や汚れが取れるんだから。その後に他の魔法をやってみれば……。
『リョウパパ。はやくぅ』
「待ってくれ。今いろいろ考えているんだ、今からシャンプーをしていると、時間がかかるからな」
『ねぇねぇ、シャンプーってなになの?』
「ああ、シャンプーっていうのは、よくみんな、体を綺麗に洗うだろう? 水浴びだ。その時に石鹸を使って綺麗にする事を、シャンプーって言うんだ」
『へぇ』
「俺の魔法を使うには、みんな石鹸を使って水浴びした方が、もっともっとサラサラ、ふわふわになる」
『リョウ達がお風呂で使っている、泡がいっぱい出てくるやつですね』
「ああ。だけど、それを今からやると、俺も初めての経験だから、時間がかかり過ぎて、夜ご飯までに終わらないかもしれない。いや、ご飯自体、食べられない可能性がある」
『ご飯食べられない!?』
『ご飯食べられないのはダメだぞ!!』
みんなが一斉に頭を振った。みんなご飯が大好きだからな、ご飯抜きなんてあり得ない。
「だから今日は、1つの魔法だけやってみて。他は明日から1匹か2匹ずつ、順番に魔法を使おうと思う。そしてみんなが全部の魔法を確認したら、その次からは、自分がやって欲しい魔法をやる。っていうのが良いと思うんだけど。どうだ?」
『1、2匹?』
「ああ、俺も初めてだって言ったろう? 全員はいっぺんに無理だよ。それにみんな、中途半端なサラサラ、ふわふわよりも、しっかりとしたサラサ、ふわふわの方が良いだろう?」
『それは確かにですね』
『魔法が失敗して、変な毛になったら大変だもんな』
『み、みんな、どう?』
みんなが相談を始めたから、俺はその間にプレートをしまい。綺麗にするなら外の方が良いだろうと、窓から場所を確認する。
綺麗にするって、ゴミが出るよな。シートを敷いてやった方が良いか? 風で飛ぶだろうから、ちょっと大きめのシートを敷いて。最後にゴミをまとめて捨てる。庭にそのままゴミはダメだからな。
なんて庭の確認をしていると、話し合いが終わったみんなが俺の所へ。話し合いの結果、俺の言った通りで良い、という事になったから。すぐに俺達は外に出て、魔法の準備を始めた。
シートは種の選別や苗の選別、森で取ってきた木の実や果物を広げて確認する用の、薄い木の皮でできている、シートのような物があるんだけど。
父さんが、そろそろボロくなったからの捨てる、と言っていたシートがあったから、それを使う事に。みんなの汚れを拾う用だから、ボロくても構わないし、ちょうど良いだろう。
それから作業時に、もしかしたら俺が使うか、誰かが使うかもしれないから。小さな丸い木の椅子を用意した。
「さて、これで準備は終わりだけど。全員できるかは、まずやってみないと分からないからな。とりあえず、どんどん魔法ができるように、順番を決めてくれ」
『『『はーい』』』
こうしてじゃんけんで決まった順番に、始めてのトリミング魔法を使う事になった。




