56話 すんなり進んだフィルとボルクスのこと
「はあぁぁぁ、まったくお前達は。街に来てずいぶん大所帯になったな、と言われたと思ったら。帰りはより大人数になって帰るとは」
俺達は今、森の入り口に向かって歩いている。そう、街の警戒が解除されて、家に帰っている途中なんだ。
あの、フィノとボルクスの話しをしようと決めてから。結局話したのは、お昼になる前だった。
俺達がいるって事で、先に休憩の行って良いとみんなが言ってくれて。俺達は近くにあった宿を借りる事に。宿の店主はいなかったけれど、こういう襲撃があった場合や、何か事件が起こった時は、自由に使えることになっているんだ。
もちろんみんな、綺麗に宿を使わせてもらうし、もしも汚く使うような冒険者や関係者が居れば。みんながそういう人達に、特別な《《注意》》をするので。汚く使った人達は、最後にはちゃんと綺麗にしてから宿を出る。
それにみんな、元々の料金を知っている人は、受付台に料金を置き、知らない場合は様子をみて、適当にお金を置いていくらしい。
とこんなふうに、別に決まっているわけじゃんしけれど。みんなそれぞれの事を考えて動いている。
そして俺といえば、初めてのことだらけで、気持ちが昂っていたのか。夜中はぜんぜん眠くなかったのに。宿に行き、ベッドに座った途端眠気がきて、すぐに眠ってしまった。
起きたのは、お昼少し前。交代前に少し何か食べておこうと、父さんが起こしてくれて。俺達はマジックバックにしまってあったサンドイッチを、みんなで分けて食べた。
食材や料理をマジックバックに入れておくと、バックの中は時間の経過がないらしく。食べ物も腐る事がないので、心配しないで食べる事ができるんだ。
そして食事が終わっても、少し時間があったから。俺はフィノとボルクスについて、簡単にだけど話す事にした。
俺達の話しを聞いた時の、父さんとタイラーと言ったら。声を発する事なく、口を開けて驚き固まってしまっていたよ。まぁ、そりゃあ、そうなるよな。ワイバーンの襲撃の時に、ワイバーンと接触するどころか、契約までしたなんてさ。
うん、とても怒られました。非常時に何をやっているんだ。勝手にいなくなったと思ったら、知らないところで、危険なことをしているなんて。しかも契約だと!! って。他にもいろいろ怒られた。
だけどその後は、その行動によって、救われただろう命もあるし。相手が助けを求めているのならば、助けるべきだ。
契約については、家族問題でもあるけれど、結局決めるのは本人なのだから、自分達は最後、決める時は口を出さない。お前は契約したいと思ったのなら、それが最善なんだろう。と、言ってくれて。フィノとボルクスのことを、家族として迎えてくれた。
ホッと胸を撫で下ろした俺。そしてすぐに父さんは動いてくれた。俺達の休憩が終わり、後半の人達と交代して、夜になってまた交代したんだけど。
その時すぐに休憩に行かずに、リカードさんの所へ行ってくれて。寝ているリカードさんを起こし、フィノとボルクスのプレートを作らせてしまった。
魔獣の証は、冒険者ギルドでも商業ギルドでも、どちらでも作ってもらえて。プレートを作ってくれる職人が、その場で作ってくれる。だけどその時は職人は避難していたから、作る事ができるリカードさんを起こして作らせたんだ。
寝ているリカードさんのは、申し訳ないことをしたけど。まさかプレートまで、ササッとを作ってもらえるとは思っていなかったので。また次回来る手間が省けたし、すぐに一緒に行動できると、とても嬉しかった。
また、リカードさんが、ワイバーンと契約した者がいるから、街で見かけても、慌てないように、と情報を流してくれると。だから次回街に来る時は、問題なく連れて来られるだろうって。
さすがに今回はな。やはりワイバーンに襲われたばかりでは、攻撃される可能性があるから、街はやめた方が良いと言われた。
その事を伝えにとプレートを持って、フィノとボルクスの所へ行けば。2匹はとっても喜んでくれたよ。
ちなみに最初にリカードさんに、フィノとボルクスの話しをした時。リカードさんは驚いたものの、そのあとすぐに大笑いしていた。そのうち魔獣だらけになって、家に全員入れなくなるんじゃないかって。短期間で、かなり家族が増えたからな。
それとこのドタバタしていた時に、いつどこで契約したんだ? とも聞かれたけど。適当に誤魔化しておいた。荷物を運ぶ手伝いをしていたら、隠れていたワイバーンがいたから、森に逃した。という感じに。
そして今だ。結局ワイバーン達は、あれから1度も襲ってくることはなく。ワイバーンの追跡をしていた冒険者や騎士達から報告も、問題ないとのことだったので、警戒は解除。
俺達はすぐに街を出て山により。誰も見ていない所に、シルフ達にフィノとボルクスを連れてきてもらって、ここでようやく家族全員が揃った。そして今、森に向かって歩いているところだ。
『ふわぁ、これ気持ちいね!!』
『うん、気持ち良いなの!!』
『とってもきもちいい。ぼくだいすき』
『僕も』
『みんな大好きだよね!! 僕が風の精霊王で、どんな風も吹かせることはできるけど。センプウキの気持ちい風は、どうしてもダメなんだ』
『それに、大きくなるなんてな!!』
『と、とってもビックリ』
『気持ちのいい風が、さらに気持ちよくなりました』
『これで何でもできるなの? 凄いなの!!』
『うん、何でもできるんだよ。でもまだ分からないこともあって、それは考え中なんだ』
俺と父さんとタイラーの少し後ろ。チビもふ達とフィノとボルクスがフラフラとついてくる。ちなみに今は、フィノが上手に扇風機を持ってくれているんだけど。
実は森へと歩き始めて少しした時、ある事件が起こったんだ。




