39話 片付けと俺の本当の魔法生活の始まり
あれから俺達は、いくら訓練でも、しかも新しい魔法を覚えて楽しかったとしても、これはやり過ぎだと。本来なら夕飯を食べている時間までずっと怒られ。
その後、外から見えなくなる結界をシルフに張ってもらい。父さん達の光魔法で、中を明るく照らしてもらうと、みんなで庭の片ずけをした。
燃やしてしまった丸太や草の灰を集め。焦げていてもまだ使えるものは、濡れてしまっているから、シルフに良い具合に乾かしてもらい。
その間に、泥だらけになって、ボコボコになってしまった地面を。まず簡単に、紐のついた大きな板で、綺麗に平らにし。
それでも残った凹み過ぎた場所や、泥のせいで盛り上がってしまった場所は、コロンが調節してくれて。その全てが終わったら、丸太を乾かし終わったシルフに、地面を乾かしてもらった。
また、水のやり過ぎで、育てていた花が逆にぐったりしてしまったため。花の植えてある土の水分量の調整を、プルルにしてもらった。
プルルは花が大好きらしく、花に謝りながら水分調整をしたあと。プルルが持っていた、花が元気になる粉を花にふりかけ、一瞬で元気な花に戻していた。
そしてボロボロのドロドロになってしまった、父さんとタイラーは。俺達が片付けている間にお風呂に入ると、家に入って行き。そのお風呂の火加減調節のために、フルールはそっちをやりに行った。
そうして全てが終わったのは、いつもだったらもうすぐ寝る時間ってくらいで、俺達はもう1度父さん達にきちんと謝ったよ。
「良いか。訓練をすること、考えることは大切だ。だが、やり過ぎはダメだ。次は落ち着いて、少しずつ1つずつ、しっかりと終わらせてから、次の訓練や考えに移るように」
「はい」
『『『ごめんなさい』』』
「よし、この話しは終わりだ。ほら、ハムとリースの挟みパンを作っておいてやったから、それを食って、風呂に入って寝ろ」
『ご飯!!』
『お腹すいた!!』
『ハムだ!!』
『チーズだ!!』
『お前達!! 今の今、落ち着いて行動するように言われただろう!!』
父さんは俺達が片付けているうちに、サンドイッチを作って、待っていてくれたらしい。そのサンドイッチに群がるミルフィー達。そんなミルフィー達を、はぁ、とため息を吐いたあと、苦笑いしながら見た父さん。
俺もサンドイッチに手を伸ばし、ゆっくりとサンドイッチを食べたよ。父さんのサンドイッチは、いつも通りとてもおいしかった。
そしてご飯の後は少しだけ食休みをして、お風呂に入った。が、食休み中に、俺と父さんとタイラー以外全員が、半分くらい夢の国に行ってしまったため。
それでも汚れていたから、なんとか俺達でお風呂に入れて。綺麗になったみんなを部屋に連れていけば、全員が一瞬で眠りに落ちた。
「リョウ、眠いかもしれないが、ちょっと来てくれるか?」
「うん」
父さんにそう言われて、俺は静かにドアを閉めると、父さん達についてリビングへ移動した。まぁ、俺は今は子供と言っても、寝落ちなんてことは早々しないだろう。今も別に眠くないしな。
俺はお茶を人数分入れて、テーブルに置くとソファーに座った。
「リョウ、さっきはいろいろあって言えなかったが、新しい魔法を覚えられて良かったな。しかも一気に5つか。防御魔法の人数分を入れれば9個か。おめでとう」
「ありがとう。ただ俺も、まさかこんなにいっぺんに覚えられるとは思わなくて。庭、ごめんなさい」
「もう良い、終わったことだし、しっかり謝ったからな」
『そうだぞ。気にするなとは言わないが、しかもさっきは言えなかったが。同じような事をカーライルもしたからな。しかもお前達のように子供の頃ではなく、大の大人の今のカーライルがだ。まだトールと契約する前でトールは知らんのだ。あの時片付けるのが、それだけ大変だったか』
「え? 父さんが?」
「おい、それを言うんじゃねぇ!!」
『さっきの注意を聞いていて、思わず笑いそうになったぞ。お前がそれを言うのかと』
「そんなに酷かったの?」
『ああ。まず家の屋根を……』
「ああ、ああ、今はその話しじゃないんだよ。俺は別のことで、リョウと話しがあるんだからな」
『では、別の日にでもゆっくり話すか。うん、それが良い』
「お前な。はあぁぁぁ。もうこの話しは終わりだ、終わり!! それよりもリョウ。ステータスは確認したか?」
「うん、しっかりと新しい魔法の名前が表示されていたよ」
「他は確認したか?」
「他?」
「そう、他だ。ステータスを表示して、全て確認してみてくれ。もしかすると変わっている部分があるかもしれん」
「分かったよ?」
俺は言われるまま、すぐにステータスを確認した。そうしてある部分で止まった俺。そんな俺の様子に気づいたのか、父さんがニコッと笑いながら話しかけてきた。
「そうだ、変わっているだろう?」
「レベルが上がってる!! 父さんレベルが上がってるよ!!」
それは扇風機の表示のところだった。
*固有武器
扇風機(レベルアップにより様々な用途に合わせて進化可能)
癒し3、トリミング3、防御2、攻撃2、飛行1、自動修復10
と。防御と攻撃のレベルが1から2に変わっていたんだ。
「やっぱりな。防御も攻撃も、初歩の魔法かもしれないが。それでも一気に出来ることが増えたんだ。これで上がらない方がおかしいと思ったんだよ」
「レベルが……」
「……リョウ、良かったな。普通の方のスキル、お前はほとんど1だが。それでもなんだかんだいって、ここでいろいろ魔法を使っているだろう? だけどレベルは上がらない。が、レベルを上げることが難しい固有武器の方は、使い始めたばかりだが、しっかりとレベルが上がった。ということは」
「と、いうことは?」
「一般魔法はダメかもしれんが、固有武器はしっかりとレベルを上げられると言うことだ。これからもっともっと強くなれるぞ」
「!!」
「いいか? 落ち着いて、だけど訓練と考える事を、やめるんじゃないぞ。お前は必ず強くなれる、だから頑張れ!!」
「……うん、うん!! 俺頑張るよ!!」
父さんの言葉に、涙が出そうになる。俺の本当の異世界生活は、今日始まったのかもしれない。あ、魔法の方のな。家族としては、父さん達と出会った時から始まっているし。




