33話 扇風機のアレについて気づいたシルフ
「今日は扇風機を使った訓練と、いろいろと考えることもあるから、遊ぶのはお昼を食べてからだぞ」
『昨日と同じだな!』
『う、うん』
『でも、訓練大事ですから、僕達は邪魔しないようにしましょう』
『あのねぇ、ぼくはリョウパパといっしょに、まほうをつかうんだよ!!』
『防御魔法ですね。シルフから聞いています』
「そうだ。みんなにも手伝ってもらおうかな。その辺の草や土を、俺に向かって投げてほしんだけど。こんな風にな」
今日は朝から久しぶりの、扇風機を使った訓練だ。まずは防御魔法『エリアバリア』を訓練して。その後は、他の能力について考える。
が、いつもだったらタイラーに、手伝ってもらうんだけど。今日も父さんとタイラーは、森の調査に行っているため、みんなに手伝ってもらうことにした。
俺は土を握り、どのくらいの勢いで俺の方に土を投げてもらうか、みんなに見せる。あんまり激しく投げられたら、まだ慣れていない俺じゃ、守り切れないからな。
言葉遊びの時、順番に並ばせているだろう? ほら、喧嘩になるから。それで自分の順番を待っている時に、暇だったらしく。その辺に落ちていた木の実のからを使って、投げっこをしていたみんな。これが結構な威力で。
あんな勢いで投げられて、もしもバリアができなかったら、俺は草だらけの土だらけになってしまうからな。
『リョウ、勢いはそのくらいですか?』
「ああ。今の俺だとこのくらいが良いかな」
『そういえばタイラーには、土魔法でいろいろな性質の土や砂を出してもらっていたよね?』
『じゃあ、私がお手伝いをします。私は土の精霊王ですから、様々な土を出すことができるので』
コロンが訓練前に、いろいろな物を見せてくれた。さすが土も精霊王。パパッと10種類以上の、様々な土や砂を見せてくれた。
「それじゃあ、それで頼む」
『投げる草も今くらい? でもフワッとなるから、魔法で今くらいの速さで投げようか』
「ああ、そっちも頼む。訓練を始めよう!」
最初は土からって事で、俺とミルフィー、コロン以外は、俺の訓練の見学をする事に。そしてすぐに訓練は始まった。
コロンがどこからともなく、様々な方角から、土や砂や泥も混ぜて飛ばしてくれ。それを俺とミルフィーで防いで行く。
時々当たる時もあるが。自分に当たる場合は、実践時の事を考えて。もしもここに当たったら、動けなくなって困るんじゃないか、と思われる場所には当たらないようにしたよ。
足とか、扇風機を握る手とかな。肩や、お尻とか。その辺は何とかなりそうだと思って、その辺に当てるようにした。
それからミルフィーに当たりそうになった時は。絶対にミルフィーに当たらないよう守ったよ。俺は怪我をしたり、最悪何か良くないことが起こったとしても良いけど。家族のミルフィーだけは、しっかりと守らないとダメだからな。
『そこだ!! しっかり!! いけいけ!!』
『が、頑張って!!』
『ミルフィー、しっかり声出す!!』
『……』
応援してくれるみんな。そんな中、静かな子が1匹。シルフが何も言わないで、じっと扇風機を見ていた。それに気づいたのは訓練の後半。
なんかずっと声を聞いていないな、と思い、砂をバリアしながら、シルフの方を見ると。静かに扇風機を見つめているシルフの姿が。その姿を、その後何回も見たんだ。
具合が悪いのかとも思ったけど、サクサク、バリバリと、クッキーとお煎餅は食べていたし。ジュースもがぶ飲みしていたから、具合が悪いってわけでもないんだろう。なら何で、いつも元気に喋りまくっているシルフが、こんなに静かなのか?
「コロン、訓練の手伝いありがとう。また今度頼むかもしれないけど。その時はよろしくな」
『これくらいなら、いくらでもやります。何ていったって、私は土の精霊王ですし、私の家族訓練ですから!!』
コロンに嬉しい言葉をもらった後、俺はすぐにシルフの所へ行った。
「シルフ、どうした? いつも元気の良いシルフが、ずっとおとなしいなんて。クッキー、お煎餅やジュースは、食べて飲んでるから大丈夫だと思うけど。もし具合が悪いならすぐに言うんだぞ。父さんの作った薬があるから……」
『違うよ、僕考え事してたの。僕は元気元気』
「そうか? なら良いけど。それで考え事って? 何をそんなに真剣に考えていたんだ?」
『あのさ、リョウが今使えるのは、防御魔法が1つだけでしょう? 他の防御魔法はないよね?』
「ああ、そうだよ。それがどうした?」
『う~ん、たぶんだけどさ。そのうち防御魔法、他にも使えるようになると思うよ。他の魔法と同じ。火魔法だけでも、いろいろな魔法があるでしょう? あれと同じ。だから頑張って、防御魔法を練習した方が良いよ』
「そうだな。しっかりと練習しないと」
『あとさ、防御ができるなら、攻撃もできた方が良いでしょう?』
「それはもちろんな。だけど攻撃の方は、まだ何も分かっていないんだよ。どんな詠唱をするのか、どんな感じで攻撃できるのか。その様子を思い浮かべることもできていなくてさ」
『その攻撃のことだけど、僕ね昨日、リョウの扇風機の注意を聞いて、あれ? って思ったんだ』
「あれ? 俺何か変なことを言ったか?」
『変なことじゃないよ。えっと、回っている羽に触ると、怪我しちゃうかもしれないってやつ』
「ああ、羽の話しな」
俺は扇風機を持ってきて、羽の部分を見せてやろうと。掃除をするために、周りのガードが開けられるようになっているから。ガードを止めている留め具を外し、ガードを開けてやる。下の部分でくっ付いているから、ガード自体は完璧には取れない仕様だ。
『あれ? これパカッと開くんだ』
「ああ、掃除のためだな。羽に埃がついた時や、汚れた時なんかに、開けて掃除ができるようになってるんだ」
『う~ん。これができるならやっぱり……』
「シルフ?」
『あのさこの羽で、怪我しちゃうかもしれない羽で、攻撃できないかな?』




