32話 ミルフィーによる扇風機勉強会という名の遊び
『ことばあそび、ぼくがせつめいします!!』
『おう!!』
『よ、よろしく』
『楽しみにしていました』
俺達は今、みんなで庭に出ている。フルール、プルル、コロンと契約してから2日。この2日間は本当に大変だったよ。というかずっとバタバタしていた。
まず、契約した時の事だけど。余程嬉しかったのか、契約した途端に家から飛び出し、結界ギリギリを飛び回ったフルールとプルルとコロン。それに加わり一緒に飛んだミルフィーとトール。
が、飛びすぎて、戻ってきた時にはフラフラになってしまい。チビもふ達が全員ダウン。そんなみんなを回復しなくちゃと、父さんが作った回復のポーションを飲んでもらい。その後爆睡したチビもふ達は、次の日のお昼ごろまで寝ていて。
そしてお昼ご飯を食べて、完全に回復してからは。もちろん扇風機で遊びたいと言ってきたけれど。ここで暮らすなら、シルフの時のように、先に家のことを知ってもらわないといけなかったし。
それから花鳥のことも、みんな分かっていたけれど。それに関連して、ほら証のこととか、その証を付けていないとどうなるかとか。説明しなくちゃいけないってことで。みんなには遊びよりもまず、案内と説明を聞いてもらうことにした。
みんな最初はブーブー言っていたけど。でも俺の話しを聞いて、これから一緒に暮らすうえで、本当に大切なことだから、と説明したら。みんな分かってくれて、しっかりと案内と話しを聞いてくれた。
また、街に行って証を作るのは、父さん達の見回りが済んで。その報告をリカードさんにしに行く時、ついでに作ろうって事になった。
そのためそれまでは一応、一応な。家族だって事が分かるように。父さんがパーティーを組んでいた頃につけていた、パーティー名と自分の名前が入っている、ペンダントがあるんだけど。それが予備を含めちょうど3つあったから。みんなにはそれを付けてもらう事に。
これでこの間のリリースさんのように、誰かが訪ねてきても。父さんの名の入った物を身につけていれば、みんな家族だと納得してくれるだろう。
他にも急いで用意した物がある。みんなの寝床だ。みんな俺のベッドに寝ればいいが、それでもやっぱり、自分だけのゆっくり寝られるベッドは必要なわけで。
この間遊びに来た魔獣達が出してくれたワタを使い、父さんがみんなのクッションを作ってくれた。
それからみんなの食器も用意したし。父さんがミルフィー達の、小さな椅子とテーブルを作ってくれていたんだけど、それもみんなの分作ってくれて。みんな大喜びだったよ。これだけたくさんの物を、1日で作ってくれた父さんには感謝しかない。
早く俺がいろいろとできるようにならないとな。今はワイバーンの事があって、中止になってるけど。実は父さんに、こういった物の作り方を習っている最中なんだ。
だから早くできるようになって、父さんの手伝いをしたいし。みんなの物は、俺が作れるようになりたいんだ。
そうしてそんな、案内と説明で終わった昨日。明日はいよいよ扇風機で遊べると、それでみんな盛り上がり過ぎて。結局朝方まで寝られず。俺が起きる少し前に、ようやく寝たみんな。
一昨日と昨日、見回りができなかった父さんとタイラーが、今日はさすがに見回りに行かないとって事で。そんな父さんを見送った後。ようやく寝たみんなを、お昼まで寝かせてやり。その間にいろいろ家事を済ませた俺。
お昼になって、みんなをなんとか起こし。お昼ご飯を食べた後は、みんなで庭に出てきて。これからミルフィーがみんなに、扇風機の言葉遊びを教えるところだ。
『それでは、ことばあそびのおべんきょう、はじめます!!』
『おう!!』
『う、うん』
『よろしく頼む』
『まず、リョウパパに、センプウキをうごかせるようにしてもらいます。リョウパパ!! センプウキ、まりょく!!』
「はいはい」
扇風機に魔力を流してやると、まずは強、中、弱のボタンの説明から始めたミルフィー。そして実際にボタンを押して風を出すと、歓声の声が上がった。
『おおおおお!! 凄い!!』
『ほ、本当に風が出た!?』
『これは凄いですね!?』
『いま、おしえたところをおすと、かぜの強さがかわります! やってみます!!』
『本当だ!! この文字が1番強いのか』
『こ、これが真ん中、こっちは静か』
『面白い文字ですね。見たことないです』
『つぎにうしろのうえのところのボタン、ここをひっぱると、センプウキがうごきます!! おすととまります!!』
『な、何だよこれ!! 動いてるぞ!?』
『わ、わわ、凄い!?』
『こんな動きまで!?』
『ここまでが、センプウキのうごかしかたです!!』
『へぇ、こんな簡単に押すだけで、いろんな動きをするんだな』
『お、教えてくれてありがとう』
『ありがとうございます』
『つぎに、ことばあそびです!!』
『お、いよいよか!!』
『た、楽しみ』
『きちんと説明を聞かなければ』
『まずは、あっちにこっちに、うごいていないセンプウキでれんしゅうです。でも、すぐにできます。さいしょはちかたが、まんなかがいいです。センプウキのかぜのでているとことに、ちょうどいいくらいちかづいて、そしてこえをだします。さいしょは『あ』がいいです。やってみます。『あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛』』
『『『!?』』』
そこからはずっと、大騒ぎになった。というか、誰がやるかで喧嘩になりそうになって、順番にならばせたよ。俺が勝手に決めた。文句を言ってこようとしたけど、もし文句言うなら遊ばせないぞって言ったら、みんな仕方なくって感じで並んだよ。
自分の名前を言ったり、自分は~だと言ったり。途中からは言葉だけではなく、鼻歌で試してみたり、その辺に落ちていた木や石を持ってきて、音をだしたり。よくまぁ、いろいろと思いつくなと思った。
ただ、近づきすぎて危ない時があったから。その時はみんなを止めて、扇風機についての注意点を話した。隙間から何かを入れたら、その何かが壊れるかもしれないし、もしかしたら自分が傷つくかもしれないからな。
それにこの前、これは絶対に確かめろ、って父さんか言われて。ちょっと扇風機に傷を付けてみたんだけど。自動修復レベル10のおかげで、まさかの直ぐに自動で修復されるっていう。傷ついたところが一瞬光って、すぐに直ったんだ。
だから何かを、回ってる羽根部分に入れてしまい、扇風機が壊れてしまっても、直ぐに直るから問題なけど。愛用してきた扇風機だからな。できたらなるべく壊さないで、使ってもらいたい。
そうして注意が終われば、みんなちゃんと分かってくれて。その後は必要以上に近づかなかったし、誰かが何かしそうになったら、誰かが必ず注意してくれた。
こうして扇風機遊びは、父さん達が帰ってくる夕方まで続いたんだ。
だけどまさか、この時の俺の注意が、あり物の進展につながるなんて。その時の俺は考えもしていなかった。そしてその事に気づいたのはシルフだった。




