31話 どんどん問題を解決していくちびっ子達、全てを放棄した大人達
「よし、話しを始めるぞ!」
誰からも返事がなく確かめれば、あれだけ美味しいクッキーと騒ぎ、クッキーについて語っていたみんなが、ジト目で俺のことを見てきていた。しかもその後、とっても嫌そうな顔をして。その顔が、鳥の姿なのに、口をへの字にしているんじゃないかと思えるほどで。
そんなみんなを見て、ミルフィーもジト目の顔から、への字の顔に変わった。この様子だとミルフィーは、何でみんな嫌そうな顔をしているのか分からないのに、みんなの真似をしているって感じだろう。
まったく、可愛い顔が台無しだ。嫌そうな顔は真似しないように、後でちゃんと言っておかないと。って今はそれは良くて、みんなとちゃんと話しをしないと。
「嫌そうな、文句のある顔をしたってダメだぞ。契約っていうのは大切なことだからな。ちゃんと話しをしないといけない。みんなだって後で契約解除できるからと言って。契約してから、やっぱり契約しなければ良かった、と思いたくないだろう?」
『それなら、ないんだぞ』
「ない?」
『俺達ずっと、リョウ達がどんな人間で、毎日どんな事をしていて、どんな遊びをしていたか。ずっと連絡もらってたから、だから大丈夫だ!!』
『う、うん。毎日連絡』
『寝てる時にも連絡が来て困った』
「……ああ、そう」
いつの間に連絡してたんだよ。というか毎日連絡してたのかよ。シルフ、楽しいことばっかり話したんじゃないのか? だからみんなここへ来る前から、契約する気になったんじゃ?
「この森のことは? ここは危険な森なんだ。だから……」
『それも大丈夫だぞ!! 俺達その辺の魔獣だったら負けないし!! なぁ』
『ぼ、僕はすぐに隠れる。隠れるの上手』
『結界を張って、気配を消せば問題ありません。でもいざとなればやります』
「……そうですか」
『ね、ほら、みんな問題ないよ。だから契約できるよね!!』
「待て待て、確かにみんなには問題ないかもしれないが。今度は俺達の、俺の方の問題だ」
「え~、何か問題あるのぉ?」
「大ありだろう。俺がもしも、みんなと契約したとなれば。俺はまさかの、精霊王4人と契約することになるんだぞ? 父さん、タイラー、そんな人間がいる?」
「いや、いないな。多いのは妖精か? で、稀に精霊と契約する奴がいるくらいだ。稀にだぞ? 精霊ってだけでも稀なのに、その王だからな。今、精霊王と契約しているやつは、リョウくらいだろう」
「ほらな。精霊と契約しているなんて、ただでさえ稀なことなのに。俺は普通の? 精霊どころか、精霊王のシルフと契約してるんだぞ? それだけであり得ないのに、さらに3人と契約だなんて。これがどういう事か分かるか? 俺はそれだけ珍しい人って事で、俺の所に知らない奴らが集まって来る可能性があるんだ』
『ああ、危ない奴らが来るかもしれないってやつだろ?』
『でもさ、それ、解決したじゃん。僕は花鳥って。街に行った時問題なかったでしょう? それにこの前来た人間も、新しいスタイルの花鳥ね、って納得してたし。みんな花鳥で大丈夫だよ』
『危ない方も大丈夫ですよ。何かあれば魔獣のように、サッサとやりますから』
『ね、だからこの問題も問題なし』
やるって、魔獣同様消すってか。
「……ああ、そうですね。確かに問題は解決ですね。《《俺のほう》》は。だけど、まだ家族のみんなには、俺と契約いても良いか。家族になっても良いか聞いてないだろう?」
『トール、ミルフィー、みんな家族になって良い?』
『かぞく、ぼくとおなじ? おにいちゃんいっぱいになる?』
『そう、僕達と一緒だよ。家族になるんだ。みんなミルフィーのお兄ちゃんだよ』
『おにいちゃん!! リョウパパ!! おにいちゃんうれしいねぇ』
『家族良い。家族3匹でも良かった。だけどいっぱいも良い』
『トールとミルフィーは良いだね。じゃあタイラーは?』
『俺は……』
タイラーが話すのをやめて、父さんと何かを話し始めた。俺達に聞こえないように。そして数分後、今度は俺を呼んで。俺はシルフに待ってるように言うと、父さん達の所へ。
「父さん?」
「リョウ。俺もタイラーも契約には反対しない。というか、何も知らなかったことにすることに決めた。」
「え?」
『あの様子では何を言おうが、契約をするまで居座るだろう。それにあいつらは、あんな姿だが精霊王だ。4大精霊王だぞ? もしも奴らの機嫌を損ねてみろ。それこそ何をするか分からん。そのせいで、世界にどれだけの被害を与えることになるか』
「だからそれを阻止するためにも、お前は契約をしろ。何を言われようが、花鳥で押し通せ。そして俺達は、シルフ達の正体を、知らなかったことにする。そう、俺たちは知らないし、ステータスも見ていなかった。うん、そうなんんだ」
「……父さんもタイラーも、自分達の事じゃない。俺と契約したいって言ってるからって、全部押し付けようしてない?、確かに契約して欲しいって言われてるのは俺だけどさ。これは俺だけで、どうにかなる問題じゃないんだけど」
「そ、そんな事ないぞ。なぁ、タイラー」
『あ、ああ。そうだぞ。全力でお前を支えるとも』
焦る2人。はあぁぁぁ。まぁ、俺だって答えは分かっているんだけどさ。まったく、大人2人して、何逃げようとしてるんだよ。家族の問題だろう。
『ねぇねぇ、話し終わった?』
「あ、ああ、終わったよ」
『じゃあ契約ね』
「何だよ、契約はダメって、父さんもタイラーも言ってたかもしれないだろう?」
『言わないよ。だってもう僕と契約してるのに、他のみんなはダメなんて言わないよ。でしょう?』
「ああ」
『もちろん』
『ほら?』
「分かった分かった、みんな契約しよう!!」
『やったぜ!!』
『け、契約、ドキドキ』
『やっと契約ですね』
俺が契約すると言った途端、3匹がスチャッとすごい勢いで、テーブルの上、俺の前に並んだ。
こうして俺は4大精霊王全員と契約することになったんだ。この世界へ来てまだ少ししか経っていないのに。なんだったら、この世界のことさえ、まだまだ分からないことだらけなのに、だ。




