30話 大人の対応?
「待て待て待て待て!! ちょっと待て!!」
『そんな大きな声出して何? 次の話し、っていうか。ついでだから契約の話しまで、さっさと終わらせちゃおうよ。それでその後は契約をして。それからクッキーとジュースね。センプウキも見ないとだし』
「だから待てって、精霊王って何だ!! 全員精霊王って何だ!!」
『え? 何でそんなに驚いてるの? 僕ちゃんとリョウに話したよ?』
「話した!?」
『うん、僕の仲間が遊びにくるって、それで契約もしにくるって。何回もそう言ったでしょう? なのにどうしてそんなに驚いてるの?』
『シルフ、ちゃんと話したのか?』
『び、ビックリしてる』
『確かに私はシルフから、しっかり話したと聞いたんですが』
『だから話したって。トールもミルフィーも聞いてたでしょう?』
『うん、仲間が来るって言ってた』
『なかま、なかま』
「だから、その仲間が、どんな仲間が来るか、言っていなかっただろう!!」
いや、うん。友達と仲間の違いの時に、気づかなかった俺もあれだけど。森の友達が来た時の感じで、魔獣が来るって思い込んでいたのもあるけど。精霊王達が来るなんて!! しかも3匹も!!
『えー、だから仲間って言ったもん。僕、ちゃんと伝えたのに、何で怒るのぉ?』
『みんな聞いてるなら、シルフはちゃんと言ったって事だな』
『う、うん言ったみたい?』
『じゃあシルフは問題ありませんね』
いやいやいや大ありだよ。と、俺がまた話そうとした時だった。何故か見回りに行ったはずの、父さんとタイラーの声が聞こえて。みんなが一斉に声が聞こえた方を見た。
「え? 父さん?」
「リョウ、何があった!!」
『シルフと変わらない、大きな力を感じたからすぐに戻って来たんだ!!』
「大丈夫か!? 何か問題は……」
父さんとタイラーが、俺の前にいた精霊王3匹を見た。そして数秒の沈黙の後、父さんとタイラーが大きな溜め息を吐いたんだ。
その後、見回りも大事だがこっちの方が大事だと、父さん達は見回りを中止。とりあえず一旦家に入り、話しをする事になった。
が、ここでもちょっとし騒ぎになり。作っておいたクッキーとジュースを、みんなが来て、すぐに食べられるように、すでにテーブルに並べてあったんだけど。それを見た3匹が、良い匂い! 美味しそうな飲み物!! と大騒ぎになっちゃって。
落ち着かせるには食べさせるしかないと、そこから1時間ほど、みんなが気の済むまで待つ事になって。結局話しを始めたのは、家に来てから2時間くらい後だった。
そして話し合いが始まると、俺はみんなが来た時の事をささっと話した。まぁ、来るまでの過程は、父さん達も知っている事だしな。
「はぁ、タイラーが家の方から、シルフと同じ強力な力が3つ、突然現れたと言われてな。誰かが遊びにくると分かっていたが、もしかしたらその誰かがくる前に、何かがあったのかと。まだそんなに離れていなかったからな、急いで戻って来たんだ」
「そうだったんだ」
『今回は全員、気配を消してこなかったようだからな。一気に力が現れたから、本当に驚いたぞ』
そうして俺と父さんとタイラーの間に流れる沈黙。その横でクッキーの感想を言っている精霊王3匹と、クッキーについて語るミルフィーとトール。
『でも、僕、本当に今度は、みんなにお話ししてたからね』
そんなちびっ子達の中、唯一俺達と話しをしてくれているシルフ。
「分かってる。お前は確かにちゃんと言っていたよ。お前は悪くない。悪いのは俺達だ。リョウ、今回は俺達がいけなかった。ちゃんと考えるべきだったんだ。所々で気づくチャンスはあった。友達ではなく仲間と言ったこと、一瞬でここへ来られると言ったこと、いろいろだ」
『それと、リョウがさっき言ったことだが、思い込みも悪かったな。魔獣がくると思い込んでいた』
『そうだよ。僕はちゃんと言ったもん、みんな気づいてると思ったのに』
「そうだな。シルフ、驚いて悪かった」
「ごめんな、さっきあんなに驚いて」
『うん! ちゃんと分かってくれたなら良いよぉ~』
確かに今回は俺達が悪かったから。しっかりとシルフに謝ると。シルフはすぐに、。ニコッと笑って許してくれ。サクサクとクッキーを突き始めるた、でもなぁ、何とも言えない気持ちだよ。確かに悪かったけどさぁ。
と、シルフがクッキーを突いている間に、父さんがこそっと俺に話しかけて来た。あれで気づくの無理がある。そして確かに考えなかった俺達にも非がある。が、ここは俺達が悪かった事にしておけ、その方が話が収まる、てさ。
どうやら父さんも、モヤモヤはしていたらしい。だけどここは大人の対応って感じなんだろう。向こうの方がかな~り歳上だけどな。俺は苦笑いをしながら、父さんに頷いたよ。
そしてタイラーからは、今度からはどこに誰がくる、まできちんと聞いた方が良いなと言われた。うん、それは今度からは絶対だ。
『ふぅ。謝ってもらったから、クッキーがもっと美味しくなった』
「ああ、そう」
『それじゃあ、次の話しして良い?』
「契約のことか?」
『うん!!』
『お! やっと契約か!!』
『け、契約ドキドキ』
『予定より待ったので、すぐに契約しましょう』
「待て待て、契約についても話しがあるんだ」
『何だ、まだ話があるのか?』
『ま、まだ?』
『どうしてですか?』
どうしてですかって、それはお前達が精霊王だからだよ。精霊王3匹だぞ。シルフを入れたら、4大精霊王が、全員ここに揃っているんだぞ? どう考えても異常な状況だろう。
それに、それを抜きにしたって。本当に契約したいのか、ここでの生活の仕方とか、いろいろ話さないといけないのに。シルフの時もそうだったけど、みんな契約を簡単に考えすぎじゃないか?




