表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドファイア  作者: ぐれこりん。
PR
6/11

第5話 一通の手紙

花丸は奇妙な夢を見た。巨大な氷山の上からバックパックを背負い、ゆっくりと下へ降りていく夢。氷山の上は凍てつく寒さで身も凍るような吹雪が吹き荒ぶ。


ぼごぉ、、!!


マグマ。氷山の下には灼熱のマグマがグツグツ煮えている。


花丸

「……、、」


花丸はまるでマグマの中から誰かが手招きされているかのように、底へ底へ導かれている。落ちれば死ぬかもしれない……。しかしそこへ行かなくてはいけない使命感が心を支配している。花丸は無我夢中で下へ降りていく。そしてついに下へ辿り着いた。


花丸

「あ、ああ…、、!!」


迷うことなくマグマの中に足を踏み入れる。足に強烈な熱と痛みを感じるが躊躇うことなく身を投じた。


花丸

「くっ、はぁ、はぁ、、。…うわ、びっしょり汗をかいてやがる」


そこで目を覚ます。研究発表会は一昨日。どうやら研究室で寝てしまっていたようだ。花丸は額に大量の冷や汗をかいていた。普通なら目覚めたら大抵忘れてしまっている夢であるが、今しがた見た悪夢は鮮明に脳裏に焼き付いている。マグマへ飛び込む悪夢。焼き付いた悪夢を振り払うようブンブンと頭を振るう。すると研究室の扉が開く。


「あ、花丸教授。研究室で寝ていたんですね。頭どうです? あれから異常はないですか?」


花丸

「頭どうですって…問題ないぜ。誰かに乗っ取られているだとか肩になにか重たいものが憑いているだとか、そんな感覚はない。気分はあまり良くないがどこにも異常はないかな」


「ふぅ。良かった〜。花丸教授があの友栗って女性と意識が合体してそのまま戻らないのかと気が気ではなかったんです。異常が無いみたいで安心しました」


花丸

「…うーん、友栗ねぇ。珍しい苗字だし、あったことも聞いたこともない」


「調べてみたら実際にいた女性みたいで、自宅の寝室で亡くなっていたみたいです。死因は自殺になっていて状況が分かりませんが、花丸教授が言った事と間違いなく同じ状況であることは疑いようもないですね。誰がなんと言おうと私は花丸教授を信じますよ!」


花丸

「…はぁ、だが研究発表会では認められることはなかった。あんな騒動を起こしたとなれば評価は絶望的だろう。光くん…。身辺整理をした方がいいぞ。時期にうちの学科は生徒が入らなくなって無くなる。大学生自体減っていることに加えてウチはマイナーなオカルト学科だ。存続は絶望的だな」


「…うーん、あまりにも勿体ないです…。このマテリアルスコープ、幽霊を見る為だけではなく他にも何かに利用出来る可能性を秘めていそうなのですけど…」


花丸

「…チッ。光くんまでそれを言うのか。学部長にスコープを全否定された後、同じ様に同情されたよ。だがたとえ友栗という女性が存在して、他殺か自殺か判断できない状況であまりにも詳しい状況を説明すれば、僕自身が加害者の容疑をかけられかねない。僕のアリバイを証明できたとしても、共犯を疑われる可能性も充分に有り得る。安易な行動を取るべきではなかったと反省している」


「余計なことまで知りすぎてしまう…。もしかすれば人類全体がこのスコープの存在を肯定出来ていないのかもしれません。存在そのものがフライング気味なのかも」


花丸

「言うな。誰しも後暗い秘密を持ってる事自体が問題なんだ。そんなことではこの分野はいつまでたっても先へは進めない、そんな連中の為に僕の研究が潰えてたまるか!」


花丸は声を荒らげて言った。光が驚いているのを見てハッとする。


花丸

「…すまない。少々気が立っていた、、。君に当たったところで解決するわけでもないのにな…」


「いえ、大丈夫です。花丸教授の言うことはご最もです。ですが今すぐになにか新しいアイデアが生まれるとは思えませんし…今日はゆっくり休みをとってまた次に備えましょう」


花丸

「次があるとも思えないのだが…。ただでさえあんな事を起こしてしまったあとだからな。最悪出禁で別の研究発表会にも出ることが出来ないかもしれない。はは、僕の研究生命はここで潰えてしまったのさ」


花丸は力なく項垂れた。すると研究室の扉のポストに手紙が投函される。


「うん?手紙ですか。」


花丸は少しドキリとして恐る恐るポストから手紙を取る。もしかすれば先日の研究発表会でやらかした為、警察に出頭命令が来たのではないかと悪い予想が頭を過る。


花丸

「…桜梅桃李(おうばい)株式会社…。どこだ?全く覚えがないぞ?」


「私も初めて聞きました。誤ってどこかに機材の受注をしてたのでしょうか…」


花丸は手紙の封を開け、一通の手紙を引っ張り出す。


花丸

「…??先日の研究発表会の件でお話があります。下記のURLにアクセス願います…」


花丸はびくっとした。研究発表会の件。今はネガティブな予想しか頭に浮かんでこない。このタイミングで送られてきた一通の手紙。嫌な予感しか思い浮かばない。


「え、なんか危なくないですか…?でも気になりますね…。どうします?開きます?」


花丸

「間違いなく僕に対しての通達だろう。居場所も住所も特定されている。URL…下のパソコン室のフリーパスワードで見てみよう」


「花丸教授、ウィルスやらを懸念していますね…自分のパソコンを使わないあたりなんとも…教授らしいです」


光はふっと吹き出した後、花丸と共にパソコン室へ向かう。


「…ふむ」


光と花丸はURLのリンク先へ飛び、内容を確認する。


花丸

「ナニナニ? 先日お世話になった倉柿冬之助と申します。貴殿が作成したマテリアルスコープに関して、幾つかお伺いしたいことがございます故、少々お時間を頂きたく存じます。何故内密な話ですので、直接話し合いたい所存です。下記の場所にて会議室を貸切しますので、ご都合のよろしい際に、予定を組ませていただけますでしょうか」


「倉柿と言うと、あの人ですね」


花丸

「だな。訴訟の準備をしてるから、話し合いに来いって事だろうか、、」


「内容はさっぱり明かされてませんので、その線は無いかと。多分ですけど。結構近場のシティーホールですね」


花丸

「日程は、2日後にしようか。とりあえず話を聞くしかないよな」


「ですね。このままにしておくのも良くないと思います」


花丸はリンク先の解答欄に予定日と文言を入力する。


花丸

「こんなとこか」


「私も同席していいですか?」


花丸

「助手も同席していいか聞いてみるか」


光も同席可能か入力する。


『返信ありがとうございます。今回は花丸教授のみの参加でお願いします』


花丸

「早! ダメみたいだ」


「残念、、」


花丸

「それほど重要な話なんだろう。仕方ないぜ」


「どんな内容だったか教えてくださいね?」


花丸

「それは内容によるかな?」


了解致しましたと返信し、URLのリンクを閉じた。


花丸

「穏便に済めばいいんだが」


「訴訟とかお金の絡む話なら、弁護士を通したりするかもしれません。なので研究に関する話で間違いないでしょう」


花丸

「そうだな」


2人はパソコンルームを出て研究室へ戻った。光はスマホを取り出す。


「桜梅桃李株式会社は、電子部品の会社らしいです」


花丸

「電子部品か。何作ってんだ?」


「カメラとかプリンターとか、精密機器も取り扱っていますね」


花丸

「カメラにプリンターね」


「もしかしたら、教授のマテリアルスコープの権利を売ってくださーいって言われるかもしれませんね」


花丸

「売らねーな。まだ試作段階だし、まだまだ研究する必要がある」


「もしくはヘッドハンティングとか? 教授が転職するなら私もついてこっかな〜?」


花丸

「ポジティブで結構だが、現実そう上手く転ぶもんでもないぜ。期待してショックを受ける位なら、初めから希望を持たないようにした方がいい」


「誰かさんが落ち込んでるので励ましてあげようとしてあげたのに」


花丸

「余計なお世話だ。それより助手の仕事をしっかりこなしてくれ。レポートの確認頼むぞ」


「はいはい」


2人は各々の仕事に取り掛かる。


花丸

「…何事も無ければいいんだが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ